2024.10.14

DSF2024と技術書典17に出展します

突然ですが、Design Solution Fair 2024に、ACRiブースの中で出展することにしました。

DSFとは開催される組み込みシステムの展示会で、10月25日(金)に川崎コンベンションセンターで開催されるようです。

 

突然のことなので、現時点では何も用意していません。

これから10日ほどかけてFPGAの入門的な同人誌を作ろうと思います。

最近のFPGAの入門って、AIや中華系安物FPGAや高位合成に偏りすぎていると思うので、XILINXのFPGAをVHDLを使ってステートマシンを書いて動かすという、非常に古臭い本を書こうと思います。

流行に惑わされず、本当の力になる本を書きたいと思っていました。

なお、同人誌は11月3日の技術書典17で販売予定です。

ご期待ください。

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2024.10.12

SMAコネクタの正しい実装方法

私はMolexのこのSMAコネクタをよく使います。

Molex

18GHzまで使えるコネクタではあるらしいのですが、どうしても数GHzで特性が落ちてきている気がするのです。

その原因が、4本のピンで基板を挟み込む部分の基板パターンや、信号線の部分の基板パターンである気がしてきたので、電磁界シミュレータを使って解析してみました。

上のコネクタの特徴としては、4本のピンで基板を挟み込むというところにあります。

実物のコネクタの寸法とは違いますが、基板の厚さを0.3mmのFR-4として、4本のGNDで基板を挟み込んで、芯線を受けるマイクロストリップラインを同じくらいの太さにしてみました。

すると、

Sma1

Sma2

おわかりいただけたでしょうか。

コネクタのパネル部分と基板のGNDの間にある空隙のおかげで、横にひろがっていく電磁界が生じてしまっています。定在波が発生してしまいます。

次に、芯線を受けるパターンを太くして、MSLよりもずっと太くします。そのかわり、コネクタを受ける部分の基板の厚さを1.57mmとし内層を抜いて芯線からGNDまでの距離を長くします。そして、GNDの部分にはViaを打って内層とつなぎます。

Sma3

それでも、コネクタのパネルとGNDの間には電界が誘起されるようなのですが、

Sma4

 

このとおり、17GHzくらいまでフラットな特性が実現できました。

Sma5

 

つまり、GNDのピンで基板を挟み込むタイプのコネクタは、GNDと芯線の距離が長くなるから、その部分でインピーダンスミスマッチが発生してしまいます。それを防ぐには、コネクタの芯線を基板で受ける部分のパターンを太くして、内層を抜いて厚さ1.57mmのMSLとするということです。

 

この問題が起きるそもそもの原因は、基板のリファレンスとなるGNDとコネクタのGNDの間がべたっと接続できないことにあります。

そこで、基板の内層のGNDを露出させて伸ばしてコネクタに突き刺さる形のデザインにしてみたところ、

Sma6

Sma7

Sma8

パネル部分での定在波はさらに少なくなりました。

シミュレーションでは、0~20GHzの領域で減衰は2dB以下となりました。

Sma9

やはり、基板のGNDとコネクタパネルのGNDの間に間隙が生じてしまうことが原因といえるでしょう。

したがって、下の写真のような全面GNDと接続できるようなコネクタを使って、銅箔テープや半田盛り盛りで接続すれば、よりマッチングが取れると思われます。

Sma10

 

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2024.10.11

きたねえコイルだな

自分で巻いた円錐コイルがあまりにも汚いので晒上げます。

Dirtycoil

これは6GHzまで増幅できるはずのアンプなのですが、アンプのICにバイアスを与えるためのチョークコイルを自分で巻いてみました。

市販の1608サイズや2012サイズのチップインダクタは300MHzとか、せいぜい1GHzまでしか使えません。そのあたりにインダクタンスが最大になる共振点があって、それ以上だとインダクタンスが下がってきてしまうからです。

その問題を解決するために円錐(コニカル)コイルというのがあるのですが、納期がかかるので自分で巻いてみたというわけです。

アンプの性能を試したいのですが、VNAは学生さんが使っているので、任意波形発生器で0GHz~16GHzのチャープ波形を出力し、オシロで振幅を測って包絡線を目で見るということで、ざっくりとした特性を測ってみました。

上から順に「アンプなしの基板のTHRU特性」「アンプはあるけどきたねえコイル」「アンプはあってCoilcraftの優秀なコイル」の波形です。

 

Photo_20241014142501

きたねえコイルはそこらじゅうに共振やら反共振があるようで、ゲインの凹みが多く観察されました。なお、コイルを触るとゲインの凹みは動きます。実用的にはなりませんが、特定の周波数だけで動けばよいような場合には、間に合わせで作ることもできそうですね。

一番下のコイルクラフトと書いたものは、コイルクラフト社の4310LCというコイルです。円錐コイルではないのですが10GHzまで使えます。しかも、Mouserで1個から買うことができます!値段も$2.65なので安い!

4310lc

コイルクラフトのコイルは本当に優秀です。

 

さて、バイアスT回路に使うべきコイルの選定についての知見は得られたのですが、このアンプはなぜか4GHz付近でゲインが大きくなってしまうので、この原因を考えないといけないですね・・

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2024.10.10

審査は完了した!?

事業再構築補助金の実績報告も大詰めになってきました。

担当者は、「不備の解消」とか独特の言い回しを多用するようになり、はっきりとしたことは何も言わなくなってしまいました。

「約2週間で確定通知を出す」みたいな言い方をすると、なんで2週間経ったのに来ないんだと私が怒ったことが原因であるようなことを言っています。

そのため、はっきりとした表現は何も言わなくなってしまいました。

ですが、この数日の会話を録音して何度も聞き直すことで、微妙な言い回しの違いがわかるようになってきました。

また、審査の内部のプロセスについても知っているかのようにかまをかけて喋ることで、いろいろ情報を引き出すことができました。

その結果をまとめたものをnoteに書きました。

5-8 「審査の結果をお伝えします」

 

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2024.10.07

TTL/CMOSレベルをマイナス5V/0Vのロジックに変換する回路

マーコムさんがRFスイッチのICを出していたので、これを使えば20GHzまで使えて周波数に依存しないRFスイッチが作れるんじゃないかとワクワクしていました。

Marcom

しかし、よく見ると、制御電圧が-5Vと0Vというまさかのマイナス仕様!

中身はPINダイオードスイッチだと思うのですが、なぜマイナスで動かすんでしょうね!ぷんぷん

怒っても仕方がないので、TTLやCMOSのロジックレベルをマイナスに変換する回路を考えます。

まず、市販のECL変換器が使えないかと思ったのですが、無理でした。ECL変換器はせいぜい-2Vくらいしか出ません。

そこで自分でトランジスタを使って作るわけですが、参考にしたのがこの回路。

Minus2plus

http://www.nahitech.com/nahitafu/mame/mame2/vi01.html

負の電圧を正の電圧にシフトする回路なのですが、NPNをPNPにすれば正の電圧を負の電圧にシフトできるのではないかと思い、シミュレーションしてみました。

Minus2plus_20241014144501

どういう原理かというと、このPNPトランジスタはベース接地で動いています。

トランジスタのベースが0Vなので、エミッタは0.65Vになります。ここに3.3Vがかかると、(3.3-0.65)V/50Ω=53mAの電流が抵抗を流れ、その電流の大半はコレクタを抜けてVOUT方向へ向かいます。この電流は100Ωで電圧降下を起こして-5Vの電源に流れ込みます。5.3Vの電圧降下を起こしたいところですが電源は-5Vなのでそこまでの電圧降下は起こせないのですが、R2の両端には約5Vの電位差が生じます。それゆえ、VOUTの端子は約0Vになります。逆に回路の入力が0Vの場合はPNPトランジスタはOFFなので、VOUTには-5Vが加わります。

よって、3.3V/0Vが0V/-5Vに変換されるというわけです。このトランジスタはベース接地なのでミラー効果による周波数の低下は気にしなくてもよく、周波数特性は良好であるはずです。

そして、この出力をエミッタフォロアで増強したのが下の回路です。

Minusvolt

ベース接地の敏感なVOUT出力をエミッタフォロアでバッファしているので、負荷の影響を受けにくくなっています。

そんな回路を考えていたら、マーコムさんに専用のドライバICがあるということを教えてもらいました。

Madrcc0005

うぐぅ。

両方使えるような基板にして、比較してみることにしましょう。

 

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2024.10.05

鹿島神宮へドライブ

最近、富士山方面へのドライブばかりで、中央道や東名高速の帰りの渋滞にうんざりしていたので、今週末は東関道を走って鹿島神宮へ行ってきました。

願いはもちろん、アレです。

 

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2024.10.04

コニカルコイル(円錐コイル)

6GHzアンプにバイアスを与える回路の設計でコイルが重要だと思っていたところ、コニカルコイルというのがあるというのを教えてもらいました。

コニカルコイルというのは下の写真の評価ボードに使われているようなコイルで、なんと、40GHzまで使えるとか!

Conical

気になったので原理を調べてみました。

コニカルコイルについては下記のEDNの記事が詳しいのですが、

https://www.edn.com/a-look-at-conical-inductors/

コイルを一巻ごとにLC共振回路とコンデンサであるとみなし、この回路を解いています。

Conical3

記事にはBASICで書かれたシミュレーション用のソースコードが書かれていました。

Conical2

これをC++で書き直して計算して自分でも計算し、EDNの記事と同じような傾向のグラフを得ることができました。

Conical4

 

いろいろパラメータを振って試してみたところ、一番効いているのは、巻くごとにCm(信号線とパワーラインの間の容量)が減っていく係数でした。Ln(一巻のインダクタンス)の減る係数やCn(一巻ごとの浮遊容量)の減る係数はあまり影響がないようです。

わかってきたことは、

コイルを等間隔で巻いていくと、一巻ごとにLCの共振回路を形成してしまうので特定の周波数で自己共振を起こしてしまいますが、何回も巻かれていればその周波数でより強く共振を起こしてしまいます。

円錐コイルは、一巻ごとの半径が変わっていくので特定の周波数での共振を起こさず全周波数領域に分散されます。

また、コニカルコイルの周波数特性が良い、逆に通常のコイルの特性が悪いのは、Cm、つまり巻き線ごとに電源ラインやGNDへ接近して発生する浮遊容量が原因と思われます。コニカルコイルは巻ごとにパワーラインから遠ざかっていくのでCmがどんどん減っていき、高周波側の端ではCmが極めて小さくなります。

こういった理由で最高40GHzという驚異的な周波数帯域と1uH以上という大きなインダクタンスを実現できるのだと思われます。

 

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2024.10.03

アンプの特性をNanoVNAで測ってみた

3GHzでゲインが下がる理由がわかりました。

私がバイアス回路に余計な高周波トラップを追加したため、そのトラップが悪さをして3GHz付近のゲインを下げていたようです。

Nanovna1

RFトラップを削って削除したら3GHzまではフラットに増幅できるようになりました。

Nanovna2

RFアンプを作る場合に、肝になるのはバイアスの与え方であるという知見が得られました。

アンプにICを使う(トランジスタではない)場合、バイアスの与え方以外に工夫すべき場所はありません。

 

高周波に対するインピーダンスは高く、電源に対するインピーダンスは低くしたいのですが、普通のコイルを6GHzとかで動かそうとしてもコイルがコンデンサになってしまってRF信号を通してしまいます。

どうやって高周波に対するインピーダンスを高くするかというのがポイントです。

 

メーカーの評価ボードだと少し大きめ(2012サイズ?)のインダクタを使っていますね。極板間の距離が長いからキャパシタンスが低いのでしょうか?

Lna3_20241014155201

また、メーカーの提唱する参考回路がバイアスをR+Lにしているのは、Lだけだと共振が3GHzくらいにあって、周波数とともにインピーダンスが低くなってしまうのをRで補おうとしているのかもしれません。

インピーダンスを上げるためには、82Ωの抵抗を入れて8Vで動かせということかもしれません!?

 

Lna3

 

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