不正な住所
昨日、商品を発送した先の運送会社とお話しをしました。
〇×△□という事情らしいのですが、配達前で助かりました。
そうしているうちに、今日も注文がきました。
1件はクレジットカード決済代行会社の不正住所照合で調べてみると完全一致と出ます。クレジットカードの決済代行会社というのはしっかりしていて、その住所には発送するのは注意してねと教えてくれるようです。
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注文が来たーと喜んでいたのですが、なんか、違和感があるのです。
個人のお客様が購入されたのですが、どうも違和感があります。
何がおかしいかというと、女性の名前で個人注文なのです。
うちが扱っているような電気電子の回路の基板の客層は99%男です。
電気電子工学科や物理学科の男女比を見ればわかります。
購入者が女性である場合は商社かメーカーや大学の人で、個人の女性客は1%もいません。
それが2件も続けてきたら、何か変なのです。
高周波の信号をON/OFFする回路として、ダイオードスイッチという回路があります。
基本は次の図のような回路です。Vbiasに電圧をかけてダイオードがONしたらVinとVoutの間の抵抗値が低くなり、Vbiasの電圧を止めるとダイオードがOFFしてVinとVoutの間の抵抗値が高くなるというものです。
この図の回路を直列型といいます。
もう一つの構成方法として、並列型というのがあります。
このタイプではVbiasをかけてダイオードがONしている間はVinがGNDにショートされるのでVoutに抜けてこないというわけです。
なお、上の図には描いておりませんが、VinとVoutはGNDにショートされるわけではなく、DCを阻止するためのコンデンサがあるので、Vinの前とVinの後にコンデンサがあると思ってください。
直列型と並列型のどちらでもダイオードスイッチは構成できます。
さて、原理は上で述べたとおりなのですが、回路図どおりに作ると1GHzくらいで使えなくなってしまいます。使えなくなるというのは、ONしていてもOFFしていても同じくらい漏れてくるということです。
以下、その理由を説明します。
ONしたダイオードは抵抗+寄生インダクタ、OFFしたダイオードはコンデンサ+寄生インダクタとして考えます。ダイオードはONするかOFFするかで中身が抵抗になるかコンデンサになるかが変わる素子として考えます。
だいたいの場合、Rsは5~10Ω程度、Rpは100kΩくらいです。RsとRpは結果にあまり影響を与えません。
Lsは1nH以下ですが、これはダイオードの中のボンディングワイヤや配線に起因しています。高速プリント基板の配線をしていれば、配線長1mm≒1nHという関係式が染みついていると思いますのでダイオードのサイズを見ればだいたいのインダクタンスはわかるでしょう。
Csは高周波特性に大きな影響を与えます。高速なPINダイオードだと0.045pFくらいになります。
これらを用いてON時とOFFのインピーダンスを求めますが、順電圧を加えたときの抵抗値をRf、逆電圧を加えた時の抵抗値をRfとすると、
Rf=R+j(ωL) ・・・順電圧(ON)時 (式1)
Rr=R+j(ωL-1/ωC) ・・・逆電圧(OFF)時 (式2)
となります。
次に、ONとOFF時の挿入損失を計算します。挿入損失は、
IL=-20log|2Z0/(2Z0+Zd)| ・・・直列型 (式3)
IL=-20log|2Zd/(2Zd+Z0)| ・・・並列型 (式4)
となります。
ここで、Zdというのは、ON時のインピーダンスRfと、OFF時のインピーダンスRrのことで、直列型の挿入損失を求めるには式3のZdに式1と式2のRfとRrを代入するような計算をします。
まず、「マイクロ波工学」の例題11.1に出ているMicrosemi社のUM9605PINを例に計算してみます。
C#でプログラムを書いて0.1GHz~20GHzまで計算しました。
教科書の例題では1.8GHzで、ILon(直)=0.14dB、ILoff(直)=6.0dB、ILon(並)=0.11dB、ILoff(並)=13.3dBなので、並列型の方がON時とOFF時の減衰の差が大きくなるという答えが載っていて、上のグラフでも同じです。
要するに、ONとOFF時の減衰量の差が大きい方を選べばよいわけです。
灰色の線(並列シャント時のON)にピークが出ていますが、並列時のONというのはダイオードがOFFしているときなので、ダイオードはコンデンサになっていて、コンデンサとリード線やボンディングのインダクタンスが共振して抵抗値0になっているわけです。
スイッチのON(ダイオードのOFF)なのに損失が大きいということは期待したものとは逆の動作ですし、周波数も微妙な加減で決まるので使いにくいと言えるでしょう。
黄色やオレンジの線が青や灰色よりも大きいところでダイオードスイッチとして動作します。
さて、本題に入りましょう。MACOM社のMADP-011029-14150Tというダイオードを使った場合の計算をします。
このダイオードはシャント型で使うことが推奨されていて12GHzまで使えるとのことです。
計算してみると14GHz付近にピークがあります。(もしかしたらLsの読み方を間違っていて、本当は10GHzくらいかもしれません)
ただし、これはOFFしているはずのダイオードが筒抜けになっている状態なので、使いものになりません。使えるのはせいぜい6GHzくらいまででしょう。
最後は本命のMADP-000402-12530Pです。
ガラスパッケージで、すぐに割れて壊れる非常にデリケートなダイオードです。
計算した限りでは変な共鳴ピークはなく20GHzまで使えそうです。
ただし、周波数が高いところではONとOFFの差が少なくなってきて、あまりよい性能が出せません。
これを改善する方法として、ダイオードに並列にLCを入れるというテクニックがあります。
ダイオードがOFFするとコンデンサになるので、Lextとで共振させてインピーダンス∞にしてやろうというわけです。Lextは、ダイオードの中のコンデンサと共振させることで阻止したい周波数から計算して決めます。16GHzくらいにする場合は1.5~2nHとなりました。幅があるのはプリント基板の配線は1mm≒1nHなので、その分を引いた微妙な加減が求められるからです。
なお、CextはDCカットのためのものなので、何pFでも構いません。10pFくらいにしておけば無害です。
ダイオードに並列にLを入れた回路の特性を次の図に示します。ある周波数で直列offの減衰量(オレンジ)が大きくなって大きな減衰比が得られることがわかります。
周波数に依存する特性になってしまいますが、1nH~2nHのインダクタをダイオードに並列につなぐだけで特性が改善できるので効果的なテクニックと言えるでしょう。実際にはここまで鋭いピークにはならず、頑張っても8dBくらいのON/OFF比しか取れませんが、性能は改善できます。
まとめると、
です。
基本的には小さなパッケージのダイオードほどCが小さいので高周波まで使えます。
突然ですが、Design Solution Fair 2024に、ACRiブースの中で出展することにしました。
DSFとは開催される組み込みシステムの展示会で、10月25日(金)に川崎コンベンションセンターで開催されるようです。
突然のことなので、現時点では何も用意していません。
これから10日ほどかけてFPGAの入門的な同人誌を作ろうと思います。
最近のFPGAの入門って、AIや中華系安物FPGAや高位合成に偏りすぎていると思うので、XILINXのFPGAをVHDLを使ってステートマシンを書いて動かすという、非常に古臭い本を書こうと思います。
流行に惑わされず、本当の力になる本を書きたいと思っていました。
なお、同人誌は11月3日の技術書典17で販売予定です。
ご期待ください。
私はMolexのこのSMAコネクタをよく使います。
18GHzまで使えるコネクタではあるらしいのですが、どうしても数GHzで特性が落ちてきている気がするのです。
その原因が、4本のピンで基板を挟み込む部分の基板パターンや、信号線の部分の基板パターンである気がしてきたので、電磁界シミュレータを使って解析してみました。
上のコネクタの特徴としては、4本のピンで基板を挟み込むというところにあります。
実物のコネクタの寸法とは違いますが、基板の厚さを0.3mmのFR-4として、4本のGNDで基板を挟み込んで、芯線を受けるマイクロストリップラインを同じくらいの太さにしてみました。
すると、
おわかりいただけたでしょうか。
コネクタのパネル部分と基板のGNDの間にある空隙のおかげで、横にひろがっていく電磁界が生じてしまっています。定在波が発生してしまいます。
次に、芯線を受けるパターンを太くして、MSLよりもずっと太くします。そのかわり、コネクタを受ける部分の基板の厚さを1.57mmとし内層を抜いて芯線からGNDまでの距離を長くします。そして、GNDの部分にはViaを打って内層とつなぎます。
それでも、コネクタのパネルとGNDの間には電界が誘起されるようなのですが、
このとおり、17GHzくらいまでフラットな特性が実現できました。
つまり、GNDのピンで基板を挟み込むタイプのコネクタは、GNDと芯線の距離が長くなるから、その部分でインピーダンスミスマッチが発生してしまいます。それを防ぐには、コネクタの芯線を基板で受ける部分のパターンを太くして、内層を抜いて厚さ1.57mmのMSLとするということです。
この問題が起きるそもそもの原因は、基板のリファレンスとなるGNDとコネクタのGNDの間がべたっと接続できないことにあります。
そこで、基板の内層のGNDを露出させて伸ばしてコネクタに突き刺さる形のデザインにしてみたところ、
パネル部分での定在波はさらに少なくなりました。
シミュレーションでは、0~20GHzの領域で減衰は2dB以下となりました。
やはり、基板のGNDとコネクタパネルのGNDの間に間隙が生じてしまうことが原因といえるでしょう。
したがって、下の写真のような全面GNDと接続できるようなコネクタを使って、銅箔テープや半田盛り盛りで接続すれば、よりマッチングが取れると思われます。
自分で巻いた円錐コイルがあまりにも汚いので晒上げます。
これは6GHzまで増幅できるはずのアンプなのですが、アンプのICにバイアスを与えるためのチョークコイルを自分で巻いてみました。
市販の1608サイズや2012サイズのチップインダクタは300MHzとか、せいぜい1GHzまでしか使えません。そのあたりにインダクタンスが最大になる共振点があって、それ以上だとインダクタンスが下がってきてしまうからです。
その問題を解決するために円錐(コニカル)コイルというのがあるのですが、納期がかかるので自分で巻いてみたというわけです。
アンプの性能を試したいのですが、VNAは学生さんが使っているので、任意波形発生器で0GHz~16GHzのチャープ波形を出力し、オシロで振幅を測って包絡線を目で見るということで、ざっくりとした特性を測ってみました。
上から順に「アンプなしの基板のTHRU特性」「アンプはあるけどきたねえコイル」「アンプはあってCoilcraftの優秀なコイル」の波形です。
きたねえコイルはそこらじゅうに共振やら反共振があるようで、ゲインの凹みが多く観察されました。なお、コイルを触るとゲインの凹みは動きます。実用的にはなりませんが、特定の周波数だけで動けばよいような場合には、間に合わせで作ることもできそうですね。
一番下のコイルクラフトと書いたものは、コイルクラフト社の4310LCというコイルです。円錐コイルではないのですが10GHzまで使えます。しかも、Mouserで1個から買うことができます!値段も$2.65なので安い!
コイルクラフトのコイルは本当に優秀です。
さて、バイアスT回路に使うべきコイルの選定についての知見は得られたのですが、このアンプはなぜか4GHz付近でゲインが大きくなってしまうので、この原因を考えないといけないですね・・
事業再構築補助金の実績報告も大詰めになってきました。
担当者は、「不備の解消」とか独特の言い回しを多用するようになり、はっきりとしたことは何も言わなくなってしまいました。
「約2週間で確定通知を出す」みたいな言い方をすると、なんで2週間経ったのに来ないんだと私が怒ったことが原因であるようなことを言っています。
そのため、はっきりとした表現は何も言わなくなってしまいました。
ですが、この数日の会話を録音して何度も聞き直すことで、微妙な言い回しの違いがわかるようになってきました。
また、審査の内部のプロセスについても知っているかのようにかまをかけて喋ることで、いろいろ情報を引き出すことができました。
その結果をまとめたものをnoteに書きました。
マーコムさんがRFスイッチのICを出していたので、これを使えば20GHzまで使えて周波数に依存しないRFスイッチが作れるんじゃないかとワクワクしていました。
しかし、よく見ると、制御電圧が-5Vと0Vというまさかのマイナス仕様!
中身はPINダイオードスイッチだと思うのですが、なぜマイナスで動かすんでしょうね!ぷんぷん
怒っても仕方がないので、TTLやCMOSのロジックレベルをマイナスに変換する回路を考えます。
まず、市販のECL変換器が使えないかと思ったのですが、無理でした。ECL変換器はせいぜい-2Vくらいしか出ません。
そこで自分でトランジスタを使って作るわけですが、参考にしたのがこの回路。
http://www.nahitech.com/nahitafu/mame/mame2/vi01.html
負の電圧を正の電圧にシフトする回路なのですが、NPNをPNPにすれば正の電圧を負の電圧にシフトできるのではないかと思い、シミュレーションしてみました。
どういう原理かというと、このPNPトランジスタはベース接地で動いています。
トランジスタのベースが0Vなので、エミッタは0.65Vになります。ここに3.3Vがかかると、(3.3-0.65)V/50Ω=53mAの電流が抵抗を流れ、その電流の大半はコレクタを抜けてVOUT方向へ向かいます。この電流は100Ωで電圧降下を起こして-5Vの電源に流れ込みます。5.3Vの電圧降下を起こしたいところですが電源は-5Vなのでそこまでの電圧降下は起こせないのですが、R2の両端には約5Vの電位差が生じます。それゆえ、VOUTの端子は約0Vになります。逆に回路の入力が0Vの場合はPNPトランジスタはOFFなので、VOUTには-5Vが加わります。
よって、3.3V/0Vが0V/-5Vに変換されるというわけです。このトランジスタはベース接地なのでミラー効果による周波数の低下は気にしなくてもよく、周波数特性は良好であるはずです。
そして、この出力をエミッタフォロアで増強したのが下の回路です。
ベース接地の敏感なVOUT出力をエミッタフォロアでバッファしているので、負荷の影響を受けにくくなっています。
そんな回路を考えていたら、マーコムさんに専用のドライバICがあるということを教えてもらいました。
うぐぅ。
両方使えるような基板にして、比較してみることにしましょう。
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