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2005.04.26

MITOUJTAG BASIC 1.2.1出荷

本日、MITOUJTAG BASIC Version1.2.1の出荷を開始することができました。
ご注文いただいた皆様、大変お待たせして申し訳ございませんでした。

このバージョンではフラッシュメモリ書き込み機能の強化をはじめとした改良が行われています。
このソフトウェアが皆様の業務のお役に立てば幸いです。

今後は、
・ フラッシュメモリアルゴリズムの「かんたん設定」機能
・JTAG ロジックアナライザの大幅な機能強化
などを中心に改良を重ねていきます。

また、MIPS用JTAG ICEの開発や、ARMデバッガの改良にも着手し、来る5月18日開催の展示会(IPAX)では、より進化したMITOUJTAGをご覧に入れたいと考えております。

今後も、機能・操作性ともに改良をつづけて参りますので、皆様、応援よろしくお願いします。

#IPAXのご招待券をご希望の方は、住所・氏名・会社名などをお書きのうえメールでご連絡ください。郵送させていただきます。IPAXでは多くの方と意見交換できれば幸いです。

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2005.04.20

SH4のバウンダリスキャン

SH4、SH7750Rをバウンダリスキャンして、フラッシュROMに書き込みを行う際に、書き込んだデータをベリファイすると、稀にデータが化けて読めることがありました。

JTAGで書き込んだフラッシュROMからプログラムはちゃんと動作するので、JTAG経由でメモリを読み出す時に何か不具合があるのではないかと思い、試行錯誤を繰り返すこと約2週間。ようやく原因が掴めました。

ちなみに、玄箱や、SUZAKU、CQ RISC評価キット/XScalなどでは、全く問題なくベリファイできています。


本原因究明の最初の段階で、『SH4ではバウンダリスキャンを行っている最中にも、CPU内部の「何か」が動いていて、それが低い確率で悪さをしているのではないか』と考えました。

まず、SDRAMのリフレッシュコントローラではないか、と疑ってみましたが、バウンダリスキャンでEXTESTを行っているときには、CPUの外にはそれらしき信号は出てきません。おそらく、内部の何かなのでしょう。

ちなみに、リセットボタンを押した状態でバウンダリスキャンを行ってもダメなようです。

オシロでアドレスバスを観察しながら、水晶の信号を強制的にGNDに落として、供給するクロックを停止してみると、
なんと、クロックが停止してもアドレスバスが動いているではないですか!?

これは、供給されるクロックがなくても、内蔵PLLが中途半端に動作して、CKIOから遅い不安定なクロックが出ている感じでした。

一方、フラッシュメモリ(プログラム)に乱数データを書き込んで試験すると、稀にベリファイエラーが発生しない場合があることに気が付きました。そのときのアドレスバスを見ると、見事に停止しています。

つまり、わかったことは、


  • アドレスバスが動いていない状態で、フラッシュメモリを読むと、ベリファイエラーは発生しない。
  • アドレスバスが動いている状態で、フラッシュメモリを読むと、ベリファイエラーが発生する。

乱数を書いたときに偶然遭遇した「アドレスバスが動いていない状態」というのは、偶然実行した命令の結果、スリープモードか、スタンバイモードに入ったのでしょう。

そこで、プログラム用のフラッシュメモリの先頭に0x001B(SLEEP命令)を書き込んでリセットしてみると、アドレスバスは停止。
その後は乱数データでも、本来のプログラムでも問題なく書き込み・ベリファイできているようです。(現在、実験中)

SH4の中のどの部分がそうさせたのかはわかりませんが、何かの工夫が必要なようでした。

追記 外部から強制的にコアを停止させる方法もわかってきました・・

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2005.04.16

技術士二次試験の申込書を作成

 いまごろ技術士第二次試験の申込書を作成中です。

 今年ははじめての受験申し込みとなるので、少々大変です。この試験は受け付け期間が短いので、うっかりしているとあっという間に過ぎてしまいます。

 願書作成で気になった3つのポイント

(1)技術士補となる資格を有することの証明
 技術士補あるいは修習技術者の場合は、技術士第一次試験合格証(はがき)は大事にとっておくことが必要。なくしてしまうと、技術士会にFAXで証明書を請求しなければならないので日数がかかる。大事にとっておいてラッキーだった。

(2)専門とする事項
 私がいままでやってきたことを振り返ってみると、原子核物理・原子力、半導体レーザー、放射性同位体、基幹情報通信網設計、立体画像計測装置、そしてJTAG。
 ずっと 「電気電子」部門で受験しようと思っていましたが、どうもここ数年を振り返ると私がやってきた「専門とする事項」は「情報工学」に該当するような気がしてきます。
 この選択が効いてくるのは口頭試験で論文試験にはあまり影響がないということを小耳に挟んだのですが、論文試験の過去問には『あなたが受験申込書に記入した「専門とする事項」について・・』となっているので、やはり慎重に選ばなければなりません。

 ちなみに、「電子回路」は情報工学の中のコンピュータ工学に分類されています。数年前は電気電子にあったららしいのですが、毎年少しづつ変わっているのでしょうか。


(3)業務経歴
 願書作成の最大のヤマ場は業務経歴。一説によると記入時点から試験が始まっているとか。これまでやってきたことを紐解いて願書に書きます。
 願書の記述例を見ると、実際に仕事でやってきた「○○殿向けの案件」とい書き方ではなく、辿ってきた役職ごとに大雑把に「○○の設計、監理」みたいな感じで書くようです。

 実務経験は7年の業務経歴もしくは、技術士補4年という選択があります。最近は「一次試験合格&監督下での4年の業務経歴」での受験が可能になりました。技術士補以外の方法、つまり実務経験で受験するには証明が必要です。この証明は、就職していれば会社がしてくれますが、自営業だと取引先に証明してもらう、というのが面白いところです。

 ちなみに大学院の期間を経験を算入するには、修了証書などのコピーが必要です。
 私は、大学院2年+技術士補2年で受験します。大学院の期間があれば、2年を限度に経歴に繰り入れることができるそうです。つまり技術士補なら2年、監督下での業務経験なら2年、あるいは実務経験なら5年でOKとなるそうです。綱渡り的ですが、本当かどうかは受験票が届くかどうかで判断してみます。

 今から全力で受験勉強に没頭すれば何とかなるかもしれませんが、仕事があるのでそうはいきません。でも、それは誰でも皆同じ。何とか仕事の合間に時間をつくって密度高く勉強しようと思います。

 ココログで技術士を検索すると、受験申し込みの話がいろいろと出てきます。
 皆さん、一緒にがんばりましょう。

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2005.04.10

AlchemyでもフラッシュROM書き換え

 今回は、AMDのAlchemy搭載ボードでフラッシュROM書き換えを実践します。
 (結構苦労しました。)

 実験に用いたターゲットボードは、AMDの純正Alchemy評価ボード「CABERNET DBAu1550」です。
 このボードは、CPUにMIPS互換の高性能な組み込みCPUである、AU1550を搭載しており、1GbitものフラッシュROMが搭載されている凄いものです。
alchemy20050410-1

 フラッシュROMは、正副の2バンク構成で、スイッチで切り替えられます。
 両方のメモリにモニタが書き込まれており、片方のメモリの内容を誤って書き換えてしまっても、もう片方のメモリに書き込まれたモニタから復活できるというものです。

 メモリの構成としては、16MWordで16bit幅のフラッシュROM「Am29LV256」が2個並列に32ビットのメモリを構成し、それが2バンクあります。

 MITOUJTAGで、デバイスを自動検出すると、AU1550が検出されます。パッケージの形状がMITOUJTAGに登録されていないので、少し大きめのBGA676を読み込ませています。
alchemy20050409-2

 フラッシュROMライタを起動し、CPUとフラッシュROMのピンの接続を入力します。
  ・フラッシュROMのOEは、CPUのH1番ピンのR_OE
  ・フラッシュROMのCEは、CPUのD1番ピンのR_CS0
  ・フラッシュROMのWEは、CPUのH2番ピンのR_WE
  ・フラッシュROMのアドレスには、CPUの[R_A_25..R_A_2]
  ・フラッシュROMのデータは、CPUの[R_D_31..R_D_0]
  ・CPUの[R_CS3..R_CS1]はPULLUP指定
  ・CPUの[R_A_26..R_A_28]はPULLUP指定

 こうすると、MITOUJTAGからフラッシュROMの中身が読み出せるようになりました。次の画面はCFIコードを読み出している図です。
alchemy20050409-3

 また、開発中のMITOUJTAGには、広大なフラッシュROMのメモリ領域から、データが格納されている領域をすばやくスキャンするための機能も付け加えました。この機能は1024バイトごとにメモリの内容を読み出して、FFではない値が格納されている連続する領域を探してくれるというものです。フラッシュROMの解析に役に立ちます。
alchemy20050410-4

 さて、実験中にこのボードのフラッシュメモリを誤って消してしまいました。表裏のバンクを両方とも消してしまったので、どこからも起動しません。
(ちなみに、サイズの大きいメモリだからでしょうか、メモリ全域を消去するのに、250秒くらいかかります。)

 データを復活させようにも、もとのバックアップを取っておかなかったのでとても困りましたが、評価ボードのCD-ROMには、MIPS用高機能モニタ「YAMON」のバイナリイメージがモトローラ形式のHEXファイルとして入っていたのでこれを利用することにしました。

 ところが、objcopyでHEXファイルをバイナリに変換して書き込んでも、YAMONは起動しません。いろいろ悩んだ挙句、なんとかフラッシュROMを復活させることができました。

 YAMONのHEXファイル「yamon-02.24DB1550.rec.m」には下記のように3つの領域に分かれてプログラムが入っています。
  領域1 0xa0100000-0xa0100d00
  領域2 0xa0110000-0xa014a988
  領域3 0xa0190000-0xa01cacc0

 これは、CPUが動作している状態でMMUを通してメインメモリ上に展開するためのアドレスなので、フラッシュROMにじかに書き込むには、物理アドレスに変換してやらなければなりません。
 このプログラムはフラッシュROMの0x00F00000番地から格納するので、上記のアドレスからA0100000を減じて4で割り、0x00F00000を足したアドレスに変換します。4で割るのは、32bitでアクセスするフラッシュROMの物理アドレスに対応させるためです。すると、

  領域1 00F00000-00F00340
  領域2 00F04000-00F12A62
  領域3 00F24000-00F32B30

となります。

 どうやら、objcopyでHEXからバイナリに変換すると各領域間が00で埋められてしまうことや、各領域の開始アドレスが正しくデコードされないかもしれないことが原因と考え、HEXファイルの変換ツールを自作しました。
 3つの領域のデータを書き戻してやると、見事にYAMONが復活しました。(実際には領域3は書き戻さなくても動作しました。
 書き込みは数分で終了します。

alchemy20050410-5

 バイナリを少し編集して書き込むと、起動画面とプロンプトを変更することができました。
alchemy20050410-6

 まだ、すべての問題が解決しているわけではありませんが、おおむねフラッシュROMの読み書き消去機能は完成に近づいたといえるでしょう。

 これまでに検証してきた結果を反映させ、そろそろMITOUJTAGの新版をリリースいたします。ご期待ください。

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2005.04.09

VirtexII Pro

以前設計したVirtexII Pro基板の実装が仕上がる。
ドキドキしながら電源いれると、電源系のトラブルもなく、特に問題なく起動した。
JTAGでちゃんとFPGAとコンフィグROMが認識され、一応は動作しているようだ。
近いうちにMITOUJTAGでVirtexII Proに直接書き込みできるようにしたい。

VirtexII ProにはRocketIOやPowerPCプロセッサが内蔵されているので、
JTAGと組み合わせて面白いことができないかと考えてはいるが、予定は未定。

EDKを使わずにISEだけでも

component PPC405(・・・);
・・・
U1 : PPC405 port map (・・・

という具合でガリガリ書けば、PowerPCプロセッサは一応動くのかもしれない。
(全信号名はC:\Xilinx\doc\japanese\de\libs\ppc405.pdfを参照)

PowerPCプロセッサの持つJTAGの信号をFPGAの外に引き出してみて、MITOUJTAGをつないでみた。
イメージとしてはこんな感じ
v2pro20050409-2

VHDLでは、

JTGC405BNDSCANTDO => '0',
C405JTGTDO => PPC_TDO_node,
JTGC405TCK => PPC_TCK_node,
JTGC405TDI => PPC_TDI_node,
JTGC405TMS => PPC_TMS_node,
JTGC405TRSTNEG => PPC_RESETJTAG,
RSTC405RESETCHIP => '0',
RSTC405RESETCORE => '0',
RSTC405RESETSYS => PPC_RESETSYS,

自信はないが、とりあえずFITさせ、PowerPCにMITOUJTAGをつないでみる。

IDCODEを持たないので、自動認識はできないが、IRステータスワードを読もうとすると、TDOから何らかの反応はある。

ちなみに、この内蔵のPowerPCプロセッサのBSDLファイルは存在しない。
IRレジスタの長さは、VirtexII Proのサイズ(つまりFPGA内に内蔵されているPowerPCプロセッサの数)によって変化するという面白い仕様だそうだ。

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2005.04.08

花見(千鳥ヶ淵に於いて)

今日は用事のついでに桜を見に千鳥ヶ淵へいきました。桜は満開でした。
春ですね。
隣の日本武道館ではある大学の入学式ということで、すごい人の数。
若いパワーがみなぎっていました。
20050408

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2005.04.07

SH4でもJTAG書き換え成功

次は、SH4です。
アルファプロジェクト製のMS-104-SH4にMITOUJTAGを接続し、SH4に接続されたフラッシュROMをバウンダリスキャンで書き換えてみます。
ms104sh4-20050407-1

フラッシュROMライタを起動したら、回路図を見ながらCPUとフラッシュROM間の接続を入力していきます。
ms104sh4-20050407-2

このボードでは、フラッシュROMはCS0につながっています。CS1~CS6はPULLUPにしておきます。こうするとSDRAMなどと出力が衝突するのを回避できるわけです。

そして、フラッシュROMのCFIコードが読み出せるのを確認し、メモリの0番地をダンプします。

別途SH4のデバッガで0xA0000000番地からの内容をダンプするとぴたりと一致。フラッシュROMの内容が正しく読み出されていると思われます。
ms104sh4-20050407-3

このフラッシュはIntelのStrataなので、富士通系とはコマンドが違うから苦手なのですが、消去に成功。
RedBootを書き戻すと見事起動。ただし、RedBootだけしか復活させていないので、カーネルの読み込みでとまります。

ms104sh4-20050407-4

何か面白いブート方法はないでしょうかねぇ・・

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2005.04.06

玄箱フラッシュROM JTAG書き換え成功!!

 玄箱のフラッシュROMを、JTAGで書き換えることに成功しました。

 まずは玄箱の正常起動時の画面をご覧ください。

通常の起動時

 フラッシュROMの中身を解析したところ、玄箱のCPUはブート時にフラッシュROMの0x300000(物理アドレス)から書かれているコードを実行するのだと推測されました。解析した結果は次のとおりです。
物理アドレス、内容
・0x000000~0x2DE1F6、カーネルイメージ?約3MBytes
・0x300000~0x309553、ブートコード?約40kBytes

 そこで、フラッシュROMを全消去して、バックアップしておいたROMのイメージの0x300000から64kByte分を書き戻し、玄箱の電源を投入します。

ブートコードだけ

 玄箱は、上の画面のようにイメージがないと言ってきます。それもそのはず。消去されたフラッシュROMの内容はすべてFFになるのです。

 ここで自分で作ったコードやRedBootとかを入れてみると面白いのかもしれませんが、あまり時間もないので、元のROMのイメージを多少細工し、0x000000番地から書き戻すことにしました。
 3MByte全部を書き戻すと2時間くらいかかるので、最初の数kバイトを書き込みます。

イメージを書き換えた

 起動画面が、多少変わったのがわかりますでしょうか?
 フラッシュROMに書き込んだのは、下の図のような内容です。Product Nameだけを変更してみました。

メモリの先頭部分

●わかったこと
・フラッシュROMを消去してもDiagのLEDが6回点滅してシャットダウンしてしまう現象は起きる。自動シャットダウンはPowerPC MPC8241の関与しない部分で行われているらしい。(たぶんAVRの仕業)
・「DIAG点滅6回」の問題を回避する例の方法は、フラッシュROMを消去してしまっても有効に使える。

 このように、JTAGを使えば、Linuxやその他のOSやBIOSが完全に破損してしまった状態でも、自由自在にフラッシュROMを読み書きできてしまいます。

 本記事に関するご感想は、nahitafu@nifty.comまでお気軽にお寄せください。

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2005.04.05

玄箱のフラッシュROMにJTAGアクセス成功!!

ついに、玄箱のフラッシュROMにJTAGでアクセスすることに成功しました!!

まず、いつものようにターゲットボードとパソコンをJTAGで接続します。

kuro20050405-1

 MPC8241はJTAGのIDCODEを持たないので自動認識はできません。MITOUJTAGを起動したら、BSDLファイルを用いてデバイスの追加を行い、フラッシュROMライタを起動します。

 フラッシュROMライタでは、MPC8241とフラッシュROM間の接続を入力します。どのように接続されているのかは公開されていないので、バウンダリスキャンのEXTESTを使って一本一本調べます。こうして配線が特定できたら、メモリをダンプしてみます。

kuro20050405-2
クリックで拡大

 すると、このようにフラッシュROMの先頭(物理アドレスで0x000000)の部分が読めました。このフラッシュROM(富士通の29PL32)は、32MBytesの製品で、玄箱では4MWord×8bitとしてアクセスされます。


 ところで、いままで何度か玄箱にチャレンジしてきましたが、フラッシュROMにアクセスしようとすると、データバスの波形が下の写真になってしまっていました。これは、きっとフラッシュROMにはアクセスできていて、ほかのデバイス(SDRAMとかIDEドライバとか、USBコントローラとか、LANコントローラとか)とアクセスがぶつかってしまっているのだと思っていました。

kuro20050405-3

 そこで、本格的に原因究明を行ってみました。詳細な原因はまだ述べられませんが、データバスの方向を制御するバウンダリスキャンレジスタが、32本のバスで1つのレジスタを共有している点にありました。
 JTAGは奥が深いですね。

 いよいよこれからフラッシュROMの書き換えを行ってみます。お楽しみに。

 まずは、ROMをまるごとバックアップします。JTAG経由で読み出しているのでおよそ5時間程度で終わるはずです。これでフラッシュROMを全消去しても安心です。

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2005.04.04

XScale(PXA250)とフラッシュROM

 CQ出版社から発売されているCQ RISC評価キット(XScale)で、Intel PXA250に接続されたフラッシュROMを書き換えてみます。XScaleというのは、IntelがリリースしているARM互換の高速な組み込みCPUです。XScaleにはPXA250とかPXA255とかいろいろありますが、今回実験するのはPXA250です。

CQ RISC評価キット XScaleをJTAGで接続

 まず、上の写真のように、XScale評価キットとパソコンをJTAGで接続します。この評価キットは、TRSTの端子が1.5kΩでプルダウンされています。このためデフォルトではJTAGは無効になっているので、XILINXのパラレルケーブルなどを使う場合は、TRSTを数百Ωでプルアップします。JTAGのコネクタのピン配置は、ARMの20ピンのコネクタと同等です。

MITOUJTAGで認識 MITOUJTAGを起動し、デバイスを自動認識させるとPXA250が見つかります。PXA250には、A1とかB1とか、C2とか、ステップと呼ばれる区別がありますが、気にしなくてよいようです。(厳密にはステップによってJTAGのIDCODEが変わりますが、BSDLの本質はいっしょです)

JTAGロジックアナライザで動作を確認 ためしに、JTAGロジックアナライザを起動してみると、アドレスやらデータ、SDRAMの制御信号などが見えます。CPUが動作しているのだということがわかります。

 さて、本題に入りましょう。
 このXScaleにはIntelの28F640というフラッシュROMが2つ接続されています。一つ一つは64Mbitなので、あわせて16MBytesの容量になります。
 これらのフラッシュROMは16bit幅ですが、それらを並列につないで32bitのメモリとして使っています。このため、これまで扱ってきたフラッシュROMとは少々使い勝手が違います。

XC2S300E評価キットと、XScale評価キットのROMの接続方法の違い

 具体的にいえば、例えばフラッシュROMのデータ線に0x0098というコマンド(CFIの読み出し)を与えたい場合には、XScale評価キットの場合は、上下の両方のROMに与えなければなりませんので、0x00980098を与えるのが正解になります。一方、これまでのXC2S300E評価キットのような場合は、データバスに0x00000098を与えるのが正解でした。


 評価キットの回路図を見ながらフラッシュROMとXScaleの接続方法を入力していきます。データ線やアドレス線は、そのままつなげばよいので難しくはありません。チップセレクトは、ALTERAのCPLDにつながっていますが、CSn0がフラッシュROM用です。それ以外のCSn1~CSn5はすべてPULLUPと指定しておけば、不要なメモリなどをdisableにできます。また、SDRAMのCSなどもPULLUPしておいたほうがいいでしょう。
 フラッシュROMの接続方法を入力し、このようなファイル(cq-pxa250.jfc)に保存しておきます。

メモリをダンプ
 これらの配線を入力すると、メモリのダンプが見れるようになります。アドレスの0x0000からARMの命令らしきものが書かれています。おそらく付属のデバッガ用のモニタプログラムでしょう。評価キットに付属のWatchPointを起動してメモリの0番地からダンプしてみると、MITOUJTAGで読み出したフラッシュROMの中身と同じ内容が見られます。

 さて、ここで勇気を出してフラッシュROMを消去してみます。このフラッシュROMは、IntelのStrataという品種なので、これまでのFUJITSU/AMD系のものとはコマンドが全く異なります。
 MITOUJTAG BASIC版では、フラッシュROMのアルゴリズムを、ターゲットボードごとにユーザがカスタマイズできるように配慮しています。

 このフラッシュROMでは、
  ・消去したいアドレス、データ=0x0020
  ・消去したいアドレス、データ=0x00d0
のコマンドを与えるとそのアドレスのブロックのデータを消去できました。

 ただしうまく消去されないときには、上のコマンドの前に
  ・消去したいアドレス、データ=0x0060
  ・消去したいアドレス、データ=0x00d0
という記述を追加して、ブロックの書き込みや消去に対するロックを解除しなければならないようです。

思い切って消してしまった

 フラッシュROMの0番地から書かれているデータを消してしまうと、WatchPointは動かなくなりました。また、起動時にLEDが変化しません。さらに、JTAGロジアナで見てもCPUはとまっています。フラッシュROMの先頭にはブートコードが含まれていたのでしょう。
 十分楽しんだので、ファイルに保存してあったデータをROMに書き戻します。

 書き込みの場合は、
  ・書き込みたいアドレス、データ=0x0040
  ・書き込みたいアドレス、書き込みたいデータ
とすると、1ワードのデータが書き込めます。

 消去してしまったモニタデバッガのプログラムも復旧できました。

 CQ RISC評価キット(XScale)のフラッシュROMがJTAG経由で自由自在にアクセスできるようになりました。

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2005.04.03

MITOUJTAGでフラッシュROM!!

 MITOUJTAGのフラッシュROMライタを改良しています。

 フラッシュROMには、データバスが32ビットのものや、16ビット、8ビットのものなどいくつかの種類があります。中でも、富士通/AMD系のフラッシュROMでは、半分のサイズのバス幅でアクセスできるようになっている品種もあります。

 たとえば、今回実験に使用するMEM29PL3200というフラッシュROMは32ビット幅ですが、16ビットでもアクセスすることができます。

 ところが、狭いほうのアクセス方法だと、アドレスバスにA-1という謎のアドレス線が登場し、さらにフラッシュROMに与える「555 aaa 555」といったコマンドがビットシフトしてしまいます。

 このため、従来のMITOUJTAG 評価版 0.3.1では「必ず広いほう」のアクセス方法でなければ動作しませんでしたが、MITOUJTAG BASIC版ではこれらの問題が改善され、どのような接続方法でもフラッシュROMにアクセスできるようになっています。

XC2S300E評価ボードをMobile JTAG Cableで接続 それでは、さっそく実験を行いましょう。まず、Mobile JTAG Cableを使ってCQ出版社のXC2S300E評価ボードとパソコンをつなぎます。

 MITOUJTAGを起動し、FPGAデバイスを認識させた後、フラッシュROMライタを起動します。

MITOUJTAG BASIC起動画面


フラッシュROMとの接続配線の指定 新しいフラッシュROMライタでは、FPGAやCPUなどと、フラッシュROMの接続構成を自動で判断して、バス幅が32ビットなのか、16ビットなのか、8ビットなのかを認識するようになっています。そして、フラッシュROMに与えるコマンドも、各バス幅によって適したものを選択するようになっています。(右の絵をクリックで拡大)

フラッシュROMに与えるコマンド フラッシュROMに与える「AAAや555」といったコマンドやアルゴリズムは、右の図のように、ユーザが編集することができるようになっています。
 中でも、富士通/AMD系で使用されている標準のコマンドはデフォルトで登録されています。もちろんユーザ指定のコマンドも実行できますので、セクタ保護の解除や、Hi-ROMの操作にご利用いただけます。

32bit幅でアクセス フラッシュROMに適当なデータを書き込んで、32ビット幅で読み出してメモリダンプすると、このようになります。(クリックで拡大)

16bit幅でアクセス 一方、16ビット幅で読み出してメモリダンプすると、このようになります。(クリックで拡大)

 もちろん、どちらのアクセス方法でも、デバイスIDコードや、CFIコードの読み出しが可能です。

 この進化したフラッシュROMライタを内蔵したMITOUJTAG BASIC版は、Version1.2.1として今週中に出荷を開始する予定です。是非とも、新しくなったMITOUJTAG BASIC版をご活用ください。

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