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2007.01.05

アナデバの高速DAC

高速なDA変換ボードを作ろうとしています。

目標とするサンプリングレートは300MHz。精度は10bit程度です。

調べていくと、超高速なDAコンバータの中には「Interpolating」と書かれた品種がかなり多く存在することがわかってきました。最初、DACのInterpolatingが何のことかよくわからなかったのですが、データシートによれば、サンプリングレートは1.2Gspsだけどデータ入力速度は150MHzまでとかいうのが多いようです。
それらに共通する特徴としては、チップの内部にフィルタや、SINやらCOSの生成回路、そして乗算器が入っています。

下の図は、AD9777というInterpolating型DAコンバータの等価回路の一部です。DACの前段に、HALF-BAND Filterや、SIN、COS、そして乗算器が入っているのが確認できます。

インタポレーションタイプのDAコンバータ
アナデバのサイトから引用

近年の高速な通信(ADSLなど)では、許された帯域を最大限に使うため、デジタル変調が使われることが多くなっています。ディジタル変調では、元の信号にSINやCOSをかけるという作業がよく行われますが、どうやらこれらをDAコンバータの中でやってくれるようです。
そうなると、例えば、DAコンバータの出力は1Gサンプリング/秒であっても、入力する信号はその半分や、4分の1、8分の1のレートになります。つまり、DAC内部でSIN、COSと掛け算して出力するので、DACに入力するレートは出力レートよりも遅くなるわけです。
こういうInterpolating型のDAコンバータは、ディジタル通信に使う場合では便利なのかもしれませんが、逆に与えたデータを素直にDA変換して欲しいときには邪魔になります。

というわけで、「Interpolating」は不可。300MHz以上で8bit以上という条件で再度調べます。
この条件にマッチするDAコンバータを調べたところ、アナデバとMAXIMで何種類かヒットすることがわかりました。

そこで注目したのが、AD9753とADV7123。

AD9753は普通の素直な12bit-DAコンバータですが、データの入力するポートが2ポートあり、中でインターリーブして切り替えてくれるようです。つまり、300MHzのサンプリングレートで出力したい場合でも、それぞれのポートに150MHzの速度でデータを入力すればよいらしいです。
こうすることで、基板上のシグナルインテグリティが多少は容易になるものと思われます。

恐ろしいのは、ADV7123。
ADV7123は10-bit 330MHzのDAコンバータが3個入ったチップです。
何が凄いかっていうと、330MHzのレートで、しかも標準的なTTLレベルで10bitのデータを入力するようなのです。
しかも、アナログ電源しかないのです。
アナログ電源とディジタル電源が分離されていないのです!
ADV7123のピン配置

うーん、はたしてちゃんと動くのでしょうか。
ADV7123は通信用途じゃなくビデオ用とのことなので、多少データが化けたとしても、画像の淵が汚くなるくらいだから致命的ではない、と考えて設計されたチップなのでしょうか・・
それとも、330MHz TTLレベルの信号でも、信号の走る距離が短ければデータは化けないと考えているのでしょうか。

非常に興味があるので、このDAコンバータをとりあえず動かす基板を設計してみました。
DAコンバータの後ろには、超高速の電流帰還オペアンプが載っています。

設計した300MHz DACボード

この基板の上を300MHzのTTLレベルの信号が走るわけです。

4層にしようかと思いましたが、納期が1日長くなるのと、アナログ部は十分にベタパターンっぽくできたので、両面基板でいくことにしました。
P板に2日コースで発注しようとしたら、3時を回っていたので、今日は断念。
来週の火曜日の朝いちで、別の基板と面付けして出図することにします。

今回の基板は急ぎの実験用なので、次の設計ではAD9753を使った基板で、6層、等長配線で作ると思います。さすがに330MHz TTLは怖いです。

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コメント

ADV7123は、3Vopでは330MHzCLKですが、5Vopでは240MHzCLKMaxですね。
デジタル電源が無いのは初段がデータラッチも兼ねた差動回路で内部はほとんどアナログ構成だからではないかと想像します。

投稿: ぱう | 2007.01.14 00:43

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