IPAXの所感
今年もIPAXが終わりました。
もう6回も出たので来年も出られるかどうかわかりませんが、また出たいです。
さて、2日目は、うちのブースにはあまりお客様がいらっしゃいませんでした。
1日目が凄かったのは組み込み系のセミナーが開催されていたためでしょう。
それにしても、IPAXは面白い。
なぜなら、IPAXは、ビジネス向けの一般の展示会と異なり、サイエンスと技術に少しのビジネスを絡めた展示だからです。

世の中の「技術的なこと」を、技術(工学)と技能と科学の3つに分類したとき、学会は科学を扱い、一般の展示会は技術と技能をビジネス的に扱うのに対し、IPAXの展示には「サイエンス的な要素が潜んでいるけど商売になるかもしれない」というブースが多く、非常に楽しめました。知的好奇心が刺激されます。
さて、この「技術と技能と科学の3つに分類する」という考え方を用いると、いろんなことが見えてきます。
まず、突っ込みを入れたいのが、ITスキル標準。
ここのセンターの人とも少しおしゃべりしてきました。
スキル=技能ですから、人間をモノ扱いするための基準のように思えてきます。
レベル5以上はもはやスキルとして測れないのではないかとか、新人は皆一律にレベル1~2というのは変じゃないかとか、情報処理試験との対応付けとか、プロフェッショナルの定義とか、いろいろ言いたいこともあります。
それは置いておいて一晩経って考えてみると、ITスキル標準では技術的な仕事や科学的な仕事をしている人は測れない、というのが私の見解です。
おそらく、人を大量に雇って大プロジェクトを遂行させるときに便利な尺度なのでしょう。
また、学生と経営者がIPAXで討論したとか何とかで騒がれているようですが、
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080528/304458/
仕方ないでしょう。
まず「IT技術者」とか「ソフトウエア技術者」という言い方がおかしい。
そこに登場するような大会社が欲しているのは素直な技能者でしょう。
金融系の巨大プロジェクトなんかで皆が技術を発揮させたら収拾がつかなくなる。
でもそういう経営者は技能なんて言葉を使うわけない。
「ソフトウェア技能者募集」なんて言ったらかっこ悪くて誰も来ないから。
そういう大企業が欲しているのは、泥のように素直に10年働く人材。
学生があこがれるのはエンジニアとか技術者と呼ばれるキラキラした職種。
しかし、学校で学んだコンピュータサイエンスなんて求められないし、
ミスマッチして50%の人しかやりがいを感じなくなってしまう。
学生のうちに未踏を取った人は技術者や科学者の卵なので、大企業に入って「出る杭」になることなく、独自の技術を発展させたり起業してほしいものです。
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