MITOUJTAG更新:SPI ROM対応品種追加とPADファイルの読み込み機能修正
MITOUJTAGの更新パッチを作成しました。
今回の修正点は、
① XILINX FPGAに接続されたSST社のSPI ROMへの書き込み機能
② Spartan-6におけるPADファイルの読み込み機能修正
です。順番に説明します。
更新パッチはこちらのページからダウンロードできます。
http://www.tokudenkairo.co.jp/jtag/sp.html
一番上にある「● MITOUJTAG 2.4x 向けSPI ROM & PADファイル読み込み強化パッチ 」というのがそれです。
まず、MITOUJTAGは、XILINX FPGA(Spartan-3E以降)に接続されたSPI ROMに間接的に書き込む機能を持っています。これまでは、ATMEL、ST/Numonyx、Winbond、SSTなどの各種デバイスに対応してきましたが、SST社のSST25VF64Cという品種には対応していませんでした。
SST社のSPI ROMの32Mbitまでの品は、他のSPI ROMとちょっと違って書き込みアルゴリズムが素朴でした。ページ書き込みという概念がなく、1Byteごとに書いていく感じのアルゴリズムでした。
従来のMITOUJTAGでも、SST社の16Mbit品や32Mbit品への書き込みはできました。
SST社の16Mbit品と32Mbit品はちょっと嬉しくない感じのデバイスでしたが、64Mbit品は他社に引けを取らない高速な書き込みができるようになったのです!SST社の本気を感じます!今回MITOUJTAGが対応したのはこの64Mbit品です。(なお、SST25VF64CはMicrochipから発売されています)
このSST25VF64Cは8Mバイトの容量がありますが、メモリ全域にJTAG経由で書き込んだ場合、約4分でできました。1分間で約2Mバイトの書き込み速度といえます。XC6SLX45のデータを書き込むのであれば1分未満でできます。
(なお、MITOUJTAGでSPI ROMに書き込む際には、事前にiMPACTを使ってBit→MCSに変換する必要はありません。Bitファイルを直接書き込んでくださればOKです)
また、SST25V64以降ではSecurity IDという32バイトの領域がメインのメモリアレイとは別に用意されています。メーカーが書き込んだ8バイトのユニークなIDコードのほかに、ユーザが自由に書き込める24バイトの領域があります。この領域は書き換えできないようにロックダウンできるので、セキュアな機器を作りたい場合に使えると思います。
なお、このSST25V64Cへの書き込み機能はお客様からのご要望がトリガとなって対応しました。そのお客様がお使いになるのは8ピンのSST25V64Cなのですが、Digi-Keyで品切れになっていたため、16ピンのものを購入してピッチ変換基板で特電Spartan-6ボードにつないで実験しています。
もうひとつの改良点は、Spartan-6におけるPADファイルの読み込み機能の修正です。
以前ブログに書いたように、Spartan-6のバウンダリスキャンには問題があります。端子の入出力方向を決めるセルのビットの内容が正しくないのです。
しかし、XILINXはこれを問題だとは認めてくれませんでした。FPGAがコンフィギュレーションされる前のバウンダリスキャンは面倒みるけど、コンフィギュレーション後は知らないという感じでした。「仕様です。それならBSDLANONというツールを使って全部の端子をつぶして見えなくしてください。それで解決です。」的な回答だったと記憶しています。だから、普通はコンフィギュレーション後のSpartan-6は、正しくバウンダリスキャンはできません。
そこで、MITOUJTAGはこの問題仕様に対応するため、ISEが出力するPADファイルというのを読み込んで、Spartan-6の端子の入出力方向を調べ、正しくスキャンできるようにしました。
※Spartan-6のバウンダリスキャン仕様は特別なので、このことを知らないMITOUJTAG以外のJTAGツールでは正しいスキャン結果が得られないでしょう。いつだったかのトラ技の記事にも「Spartan-6はなぜかスキャンできない・・」的なことがかかれていました。
ところが、あるお客様からの連絡でわかったことは、このPADファイルを読み込む機能が、TQFP144ピンのSpartan-6で正しく動作していなかったのです。QFP版のSpartan-6は完全に盲点でした。
というわけで、今日、その修正を施し、QFP版のSpartan-6でもPADファイルを読み込んで、端子の入出力方向が正しく見えるようにしました。
先日のロジアナ機能の強化やALTERA USB Blasterへの対応もそうですが、MITOUJTAGの機能はお客様からのご要望でどんどん進化します。ぜひとも「あんな機能が欲しい」「○○はできないの?」というご意見をお寄せください。
お待ちしています。
◆今回の更新パッチはこちらのページからダウンロードできます。
http://www.tokudenkairo.co.jp/jtag/sp.html
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コメント
対応ありがとうございます。
以前に代理店のオネー様からBGAパッケージ移行は当然の時代の流れと一蹴されたのですが、予算の都合から可能ならQFPでという要求もありますので助かりました。
投稿: とあるユーザー | 2012.03.02 14:57