XBee-WifiとPOL電源の対決
XBee Wifiという暴れん坊がいます。
この無線LANモジュールは、リセット後に大電流を消費して、周囲の回路の電源電圧を降下させるというからたまったものではありません。
過去に実験した結果は次のとおりです。
そこで、この大電流を退治するために、BellnixのPOL電源「BSV-3.3S3R0M」をつないでみました。
BSV-3.3S3R0MはFPGAやDSPなど、瞬間的な大電流を要求するIC向けに作られた電源モジュールです。もし、これでだめなら、XBee Wifiはどうかしているといえるでしょう。
しかし、その結果は惨敗。
リセット後、約12ms後に大きな電源電圧の落ち込みが見られました。
3.3Vから約2.5Vまで落ちています。
東信工業の低ESRコンデンサ(470uF)と積層セラミック(22uF)を入れると、最低電圧は約2.9Vになります。
ここでさらに、オリーブオイルじゃなくて、タンタルコンデンサを投入します。
XBeeを駆動するための電源は、POL+470uF+22uF+タンタル(33uF)になりました。
しかし、あまり結果は変わらず、電源電圧は2.9Vまで下がっています。
結局のところ、POL電源を使っても、低ESRコンデンサを使っても、XBee Wifiによる電源電圧降下を抑えることはできませんでした。
電源 | コンデンサ | 電圧降下 | 備考 |
---|---|---|---|
LDO | なし | 2.5V | |
LDO | 普通の470uF | 1.6V | |
LDO | 470uF | 1.2V | 東伸工業 低ESR |
LDO | 680uF | 1.6V | ルビコン 超低ESR |
LDO | 680uF+0.1uF | 0.7V | ルビコン 超低ESR + 積セラ0.1uF |
安定化電源 | なし | 1.6V | |
安定化電源 | 470uF+680uF+10uF | 0.6V | 電圧降下は抑えられるがコンデンサが多すぎる |
SW電源 | 470uF+22uF | 0.6V | RaXino基板+東伸低ESR+積セラ |
POL電源 | なし | 0.7V | |
POL電源 | 470uF + 22uF | 0.4V | 東伸 低ESR+積セラ |
POL電源 | 470uF + 22uF + 33uF | 0.4V | 東伸 低ESR+積セラ+タンタル |
現時点での結果をまとめておきます
- XBee Wifiの定常状態での消費電流は約120mA
- XBee Wifiはリセット解除後、約12ms後に大電流が流れる
- その結果、周囲の回路の電圧降下を引き起こし誤動作させるが、この電圧降下は、通常の電解コンデンサでは抑えられない
- どのような電源を使うかによっても、実験結果はかなり変わる
結論としては、「XBee Wifiを使う場合は、低ESRで500uF程度のコンデンサと、22uF程度の積層セラミックコンデンサを並列に入れれば、電圧降下は約0.7V程度に抑えらる」ようです。
しかし、それでも0.7Vもの電圧降下が生じてしまうので、マイコンの動作に影響を与えかねません。そこで、XBeeとマイコンを使う場合は以下のようにするのがベストではないかと思われます。
- XBee Wifiの電源には、低ESRコンデンサと大容量積セラを入れておく
- マイコンからXBee Wifiをリセットする
(ここでXBee Wifiが大電流を消費して、システムの電圧は降下する) - マイコンは、約15ms後に自分自身をリセットする
- マイコンはのスタートアップルーチンでは、2回目の起動(ソフトリセット)であることを調べて、今度はXBee Wifiのリセットを行わないようにする。
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