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2013.11.27

A-D/D-A変換ICの実用技術: 高性能を引き出す回路の作り方と実装方法 を買ってみた

アマゾンでたまたま「A-D/D-A変換ICの実用技術: 高性能を引き出す回路の作り方と実装方法」という本を見つけました。

http://www.amazon.co.jp/dp/4789842894/

Addabook


アナログデバイセス著で、あの黒田徹さんが翻訳されています。

これは世界的名著に違いないと確信し、速攻でお急ぎ便で注文しました。この本を買って、まえがきを読んで初めてCQ出版のトラ技編集部の編であることに気が付きました。今月初めに出た新刊だったようですね。

まだ第1章の最初の部分だけを読んだだけですが、すばらしい知識とノウハウが詰まっていることに気が付くまでに時間は要しませんでした。

第1章はADCをドライブするためのOPアンプの話からはじまっていますが、ADCがサンプリングするときに過渡電流を生じさせることとそれが及ぼす影響、完全なレールツーレールのOPアンプなど存在しないことなど、1年半かけて経験して頭の中にぼやっと入っていたことがしっかりと明文化されていました。

次に第4章をざっと読んでみたところ、OPアンプのゲインを決める抵抗が自己発熱によってゲインが変わってくること、そして16bitADCではその自己発熱でゲインに温度特性が生じ、誤差を生じることなど、いままでの実験でも経験してきたことです。

16bit ADCでは、1個800円もするLinear Technology製のマッチングのとれた抵抗を使うというのは、やはり正しい選択だったようです。

この本を読むとアナログ回路とADCの原理と本質を理解することができ、よりよい回路設計のための手助けになります。確かにこの本で出てくるOPアンプやADコンバータはAnalog Devicesの製品ばかりですが、決して自社製品の宣伝のための提灯記事を集めたものではありません。この本で書かれていることはTIやLTのOPアンプやADCを使った場合でもまったく同じように応用できます。この本の著者には正しい技術を広く普及させたいという使命すら感じます。これが洋書の素晴らしさで、私も含め日本の筆者諸兄も見習わなければならない点だと思います。

大変すばらしい本なのですが、A4版で640ページもあるので全部読むには相当の時間がかかりそうです。本当はこの本を全部読んでからADCボードを設計したかったのですが、その時間はなさそうですので、ボードを試作してみてから再び振り返って読んでみたいと思います。

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