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2015.11.21

展示会出展のコツ

この3日間の展示会を通じて、いろいろノウハウが固まってきました。

特電のような小さな会社では1コマのブースでやりくりすることになりますが、1コマは3m×3mで、とても狭い。このブースをどう使うかというのはノウハウがあります。

一番悪いブースは、左右がふさがった四角いブースをスタンダードパッケージプランで使うもの。これは、絶対に「ぶらっと来た人」が入らない。

どんなに面白そうなものがあっても、売り込まれるんじゃないかと恐くて入れないのです。

Tenji_ng

上の図のようなブースだと、展示物を見るためには奥まで入っていかなければならないから、必ずスタッフと話さなければならない。そこまでして見たくもないや、とお客様は去ってしまいます。

去年、2014年の特電ブースがまさにこんな感じでした。

そこで、今回の展示で採用したのは、

「角コマ斜め切り」

これしかないでしょう。

Tenji_ok


斜めに切ることで通路が広くなるので、お客様が通りやすくなります。また、2方向の遠くから見ることができるようになるわけです。

お客様の立場で考えてみると、ブースというのは、近づくだけで中からスタッフがでてきて、聞きたくもない説明を聞かされて無理やり名刺を奪われるイメージです。

スタッフがギラギラしているブースでは、たとえ見たい商品があっても、近づくことすらためらってしまいます。

それに、「弊社の製品は、こんなにすごいんです。どうですか~?」みたいな説明はただの自慢話なので、聞いている人がどん引きしてしてしまう。「ああそうですか、御社はすごいですね」とそれ以上の話に発展しません。

ブースの説明員は、「お客様はどのようなお仕事をされているのですか?」と聞く側に徹するべきです。

そこで、私が考えた、人が来やすいブースを作るには、

  1. 客引きはしない
  2. お客様からコンタクトがあるまで話しかけない
  3. 自社の製品を自慢しない
  4. 言葉で説明しない

です。ギラギラした客引きをせずにどうやってブースに来客を連れ込むのかと言われそうですが、お客様のほうから来てくれるような楽しさを出すのです。

特電が今回使った方法は、

  1. 第一印象のインパクト
  2. お客様が楽しめる企画を催す
  3. たまに音を出す
  4. 景品を渡す

です。

展示会では、「うちはこんなにすごい製品を作っているんです~」と自慢するのではなく、「会社名を覚えておいてもらう」ことに徹するべきです。

とにかく、お客様に楽しんでもらうことが第一。言葉での説明は12秒以内。

詳細な説明はWebに書いたり印刷された資料を渡せばよいのです。

それから、もう一つ、今回の展示でわかった法則があります。

「ブースに社長がいると、お客様は入らない。」

少し離れた場所にいて、私(なひたふ)を訪ねてきてくれた人がいたときに現れるくらいがちょうどよいのです。

ブースにいると、どんなに控えめにしていても、やはりオーラでわかってしまうのでしょうね。会場を一周してきたり、ごはんを食べにいっていると、不思議とお客様がたくさん来ます。

それから、もう一つ。

「N人のスタッフがN人のお客様に説明して飽和していると、N+1人目のお客様が入りやすい」

人が入っているとこに入りやすいという心理はありますが、新しく来たお客様は説明員につかまる恐れがないから、安心してみてくれるわけです。

社長だけでは展示会はうまくいかないということがわかった展示会でした。

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2015.11.20

ET2015は大成功でした

3日間のET2015を終えました。この3日間で、とてもたくさんのお客様にご来場いただきました。

特電の展示のメインは、オンライン版のMITOUJTAGでした。

3D表示で基板のイメージ画像がぐりぐりと動き、最高の臨場感でした。この3D表示機能は、アルバイトの学生さんがほとんど作ってくれました。

「この展示は何ですか」と聞いてくれたお客様には、マンガの冊子を手渡しました。これがBGAのピンで・・と説明するより、マンガで読んでもらったほうが100倍わかりやすいと思います。

彼ら彼女らのおかげでMITOUJTAGが非常にわかりやすくなったと思います。

Et2015_mjo

このMITOUJTAGオンラインは、お持ち帰りいただいたパンフレットやマンガ冊子の最終ページにログインのURLが記載されているので、ログインすればだれでも使えるようになります。

また、このオンライン版のMITOUJTAGにはガチゃ機能が付いていて、会場の大画面で電子部品ガチャを回して景品を配りました。

Et2015_day2_5

当たりがでると、特製トートバッグやハーゲンダッツアイス券がもらえるという企画でしたが、40個ほど用意したトートバッグは配り切ったようです。特製トートバッグはニッパやはんだごてを入れても破れない超丈夫な布で作っています。

この箱は、ブースの裏で3日間稼働していたサーバです。

Et2015_day3_3

会場からインターネットにはアクセスできないので、インターネット上のMITOUJTAGサーバの代わりをChromeBoxで実現していました。Ubuntu Linuxを入れて、ApacheやMYSQLを動かし、MITOUJTAGオンラインサーバを動かしていました。

こんな小型のサーバなので搬入や搬出がとても楽でした。

2日目に故障したCosmo-Zも夜中のうちに修理して、3日目は元気に稼働していました。会場へ飛来する宇宙線を検出するとLEDがフラッシュするというデモを行っていました。

Cosmo-Zを宇宙線の計測に使っているという大学研究者の方がいらっしゃって、実際に使えているという言葉をいただいたり、高エネ研や理研などの方もお越しいただいたり、とても充実していました。やはり、物理計測のためのFPGA活用ソリューションという方針は間違っていなかったと実感しました。

今までにない盛況ぶりで、3日目の16:40ごろまでお客様がひっきりなしにいらっしゃっていました。用意しておいた「総合カタログ」が尽きたので、午後14時ごろからは秘蔵の非売品「月刊特電」を配っていました。

Et2015_day3_2

驚くべきことに、閉会のときには、300冊用意したはずのマンガ冊子が残り30冊ほどになっていました。

Et2015_day3_1

270冊ほど配ったのですね・・

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ET2015に出展しています(2日目)

ET2日目は、おまちかねのETフェスタです。

でも、開始直前にアクシデント発生!!

Cosmo-Zに12VのACアダプタをつないでしまい、うんともすんとも言わなくなってしまいました。分解してみたものの、どうも、電源回路がショートしているっぽい。

「動かないCosmo-Zが見られるのは今日だけ」、と、前向きに考えていきましょう。

Et2015_day2_1

MITOUJTAGのほうは、今日も順調に展示しています。お客様も大勢来ていただいて、ガチゃもいっぱい回してもらいました。

Et2015_day2_2

ETフェスタでは、浅草の銘酒、電氣ブランを振舞いました。電気ブランというのは大正時代にハイカラだからという理由で電気という名前を付けたそうで、ブランデーのような消毒液のようないろいろ混ざっている味で何とも言えません。でも、好きな人にはたまらないようです。

Et2015_day2_3

ETフェスタでは、かつてないほど多くのお客様がいらっしゃいまして、ガチゃを引いたり歓談したり、楽しい1時間でした。

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2015.11.18

ET2015に出展しています(1日目)

特殊電子回路は今年もET2015に出展しています。

会場ではWebブラウザで動く『クラウド版のMITOUJTAG』と、高速AD変換ボードのCosmo-Zを展示しています。

開場した10時ごろから12時ごろまでは、全然来客がなくて、どうなってしまうんだろう・・と不安でしたが、午後に入ってからはどんどんお客様が来てくれるようになって、結果的に1日目は大盛況でした。

Et2015_day1_1

黒いスーツを着た人で埋め尽くされています。

MITOUJTAGは、大画面の55インチディスプレイで、基板上のFPGAの動作をリアルタイムに可視化していて、静かな大反響を呼んでいます。

Et2015_day1_3

オンライン版のMITOUJTAGには「ガチャ」機能があって、会場の大画面で「電子部品ガチャ」が動くように何とか間に合わせました。

ガチャというのは、一種のくじ引きのようなもので、一等を引いたお客様には「ハーゲンダッツ アイス券」を、二等を引いたお客様には「特製トートバッグ」を、どちらも出なかったお客様にはお菓子をお配りしております。

ハズレはありませんので、ブースにお越しいただいた際には、ぜひ、「ガチャ」を引いていってください。

それから、回路マンガ「おれデバ ~俺のデバッグがこんなに簡単なはずがない~」の印刷された冊子を300冊ほど作ってきました。これも会場でお配りしています。

Et2015_day1_2

「この展示は何ですか?」と聞かれて、「このマンガで説明しています。どうぞご覧ください。」と渡すとウケが良いです。よくあるブースのように聞かれてもいないのに説明員がしゃべり続けるということがありません。

また、Cosmo-Zの展示は、ET2015会場でミューオンの検出を行っていて、シンチレータがミューオンを検出するとLEDフラッシュが光るというデモを行っています。

Et2015_day1_4

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2015.11.16

MITOUJTAGオンラインの操作性向上

三次元表示と二次元表示を切り替えたり、複数のPCで同時に開いて見れるようにしたりしました。

Mjo_1116

ポイントは、画面右下に表示されているこのパネル。

Ctrlpng


タッチパネル式のPCや、タブレットだと、マウスホイールがないので、「マウスホイールで拡大・縮小」という操作にしてしまうと、操作性が悪くなってしまいます。なので、拡大・縮小は独立したボタンにしました。

また、通常動作時も3D回転してしまうとちょっと困るので、回転角度を変えたいときだけモード切替できるようにしました。

↓のPLCCは、実物をスキャンしています。

Plcc

このような角度で見るための操作が楽になりました。

ちゃんと3D表示で色がチカチカと切り替わります。

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2015.11.14

MITOUJTAG オンラインの表示改善

今はもうあまり使われないであろうPLCCのICもちゃんと表示できるようになりました。

Mjo1114_1Mjo1114_2_2

ルネサスのRX62Nのように、真ん中のピンがないBGAもこのようにきちんと表示されます。

Windows版のネイティブのMITOUJTAG BASICでは、

Mjw_rx62n

オンライン版では

Mj2d_rx62n

Mj3d_rx62n









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2015.11.11

回路マンガ「おれデバ」の第2話を公開しました

回路マンガ「おれデバ」の第2話を公開しました

マンガはこちらのページからご覧いただけます。↓

http://www.tokudenkairo.co.jp/manga/

今回は、ET2015に向けての展示会特集です。

Oredeba2

特殊電子回路は、10年ほど前からETなどの展示会に出続けてきました。

その際に得られたノウハウや、あるある集、失敗例などを、今回のマンガに凝縮しました。展示会に出展する出展者様の皆さまにも、展示会にご来場いただくご来場者の皆さまにもお楽しみいただける内容になったと思います。

http://www.tokudenkairo.co.jp/manga/

どうぞ、お楽しみに。

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2015.11.10

MITOUJTAGオンラインが完成に近づく

今、MITOUJTAGオンラインというWebブラウザ版のJTAGバウンダリスキャンソフトを開発しています。

Mjo_2d

Webブラウザの中で、JavaScriptとHTML5とCSSで動いています。

こんな画面ですが、ゲームではありません

真面目な回路デバッグツールです。

使用できるUSB-JTAGケーブルは、

  • XILINX Platform Cable USB
  • ALTERA USB-Blaster (互換品も可)
  • Digilent HS-JTAG
  • 特電 Pocket JTAG Cable

です。

ブラウザの中からUSB-JTAGケーブルと通信できるようActiveXを使っているため、ユーザが何かを明示的にインストールすることなく、Webサイトを見るだけで自動的に使えるようになります。

※ ActiveXを使いたくない場合や、使えない方のために、USB-JTAG接続用のアプリケーションを配布したり、Raspberry PiをLAN-JTAG化するプログラムを配布する計画もあります。

なんらかの方法で、JTAGケーブルがネットにつながれば、このブラウザの中から操作できて、貴方の作った回路のFPGAやCPUはもちろん、地球の裏側にある基板まで可視化してしまおうというわけです。

ちょっとしたお楽しみ機能として、電子部品ガチャという機能も作りました。

Gacha

◇欲しいカードが入ったらどうなるのか?

どうやったらガチャが引けるのか?

◇そもそも、いつ・どこで公開されるのか?

謎は尽きないと思いますが、詳しくは当ブログをこまめにチェックしていてください。

なお、3次元版も開発中です。3次元版はWebブラウザの中でOpenGLを使う、WebGLというものなので、2次元版よりもたぶんサクサク動きます。

Mjo_3d

お楽しみに!

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2015.11.01

Kintex-7 PCI ExpressのTLP受信回路

Kintex-7でPCI Expressの回路を作っています。

まず、CoreGeneratorでPCI Expressのコアを生成すると、下の図のような構造のファイルが作られます。

Pcie1_2

これらのファイルはCoreGenのXCOファイルをプロジェクトに追加しているときには見えません。XCOを外して、\ipcore_dir\pcie_7x_v1_9\example_design ディレクトリの中にあるファイルをプロジェクトに追加すると、見えるようになります。

生成されたコアは、pcie_7x_v1_9というブロックと、pcie_app_7xという2つの大きなブロックに分けられ、pcie_7x_v1_9にはEndPoint BlockやGTXなど、人間が触る必要がない部分が入っています。

ユーザが作るべき回路はpcie_appに入っています。CoreGenで自動生成すると簡単なPIOのサンプルが作られているので、これをもとに改良していくことにします。

今回は受信回路の動作を解析します。受信回路はPIO_RX_ENGINE.vhd です。

ホストパソコンからMemory Writeを行ってみたときの波形をMITOUJTAGでキャプチャしたものを下図に示します。

Pcie2

XILINXのコアは、受信したデータm_axis_rx_tdataに乗せ、m_axis_rx_tvalidとm_axis_rx_tlastを使ってデータの有無とパケットの終端を示してきます。

XILINX 7シリーズのPCIeコアはデータバスが64bitです。m_axis_rx_tdataからは40000001 0000000F F0600000 00010203という4DWのデータが出てきていることがわかります。

パケットの先頭を示すフラグはないので、PIO_RX_ENGINE.vhdの中ではin_packet_qという信号と、sopという信号を作ってパケットの先頭の位置を割り出しています。

in_packet_qはm_axis_rx_tvalidでアサートされ、m_axis_rx_tlastでデアサートされます。もちろん、ユーザ回路が準備可能であることを示すtready_intも絡んできます。

sopが'1'のとき、パケットの先頭であり、このときのデータバスの[31:0]の値を見て、パケットの種類を判別しています。ステートマシンのコード(state_decode)も0→2→8→0と動いています。上の波形では40000001なので、長さ1のメモリライトとして解釈しています。

しかし、次の場合はどうでしょう。これは長さ64バイトのCombied Writeを発行したときの波形です。メモリライトなのですが、先頭の4DWは40000010となっていて、長さフィールドが0x10です。

Pcie3

この場合、ステートマシンが反応していません。

その原因は、下記のコードにあります。

if ((sop = '1') and (m_axis_rx_tvalid = '1') and (m_axis_rx_tready_int = '1')) then
  case (m_axis_rx_tdata(30 downto 24)) is
    when RX_MEM_RD32_FMT_TYPE =>
      m_axis_rx_tready_int <= '0' after TCQ;
      if (m_axis_rx_tdata(9 downto 0) = "0000000001") then
        state        <= PIO_64_RX_MEM_RD32_DW1DW2 after TCQ;
      else
        state        <= PIO_64_RX_RST_STATE after TCQ;
      end if;

    when RX_MEM_WR32_FMT_TYPE =>
      m_axis_rx_tready_int <= '0' after TCQ;
      if (m_axis_rx_tdata(9 downto 0) = "0000000001") then
        state        <= PIO_64_RX_MEM_WR32_DW1DW2 after TCQ;
      else
        state        <= PIO_64_RX_RST_STATE after TCQ;
      end if;

先頭のデータの[9:0]は長さフィールドで、これが1の場合しかステートマシンが反応しないようになっています。これゆえ、Combined Writeのときのように4バイトを超えるデータを書き込もうとしたときに対応できないのです。

つまり、書き込みパケットが4バイトに制限されるから、ものすごく遅い。PCI Expressの速度のメリットがないコアであるといえるでしょう。

どうすればよいかというと、まず、最初の条件のところから長さに関する制約を取り払います。そして、長さフィールドをremainという新たに作った信号に代入します。

    when RX_MEM_WR32_FMT_TYPE =>
      m_axis_rx_tready_int <= '0';
      remain <= m_axis_rx_tdata(9 downto 0);
      state        <= PIO_64_RX_MEM_WR32_DW1DW2;

そして、ステートがPIO_64_RX_MEM_WR32_DW1DW2に遷移したら、次のような内部ステートfstateを作ってここにとどまります。

最初の1回目のときには書き込みアドレスをフェッチする。二回目以降は書き込みデータをフェッチする。3回目以降は書き込みアドレスをインクリメントしていきます。

when PIO_64_RX_MEM_WR32_DW1DW2 =>
    if (m_axis_rx_tvalid = '1') then
      m_axis_rx_tready_int <= not m_axis_rx_tready_int;
      if(fstate = "00") then
          wr_addr_p        <= region_select(1 downto 0) & m_axis_rx_tdata(10 downto 2);
          fstate <= "01";
      else
          fstate <= "10";
          if(m_axis_rx_tready_int = '1') then
              wr_data_p        <= m_axis_rx_tdata(63 downto 32);
          else
              wr_data_p        <= m_axis_rx_tdata(31 downto 0);
          end if;
          remain <= remain - 1;
          wr_en_p          <= '1';
          if(fstate = "10") then
              wr_addr_p(8 downto 0) <= wr_addr_p(8 downto 0) + 1;
          end if;
          if(remain = 1) then
              state            <= PIO_64_RX_WAIT_STATE;
          end if;
      end if;
    else
      state<= PIO_64_RX_MEM_WR32_DW1DW2;
    end if;

また、データバスm_axis_rx_tdataは64ビットですが、ユーザ回路には32bitで渡すので、上と下とに分けて受け取らなければなりません。この回路では、データを受信するためのこのステートでm_axis_rx_tready_intをバタバタと動かして、AXIバスに2サイクルに1回だけデータを送るようにさせています。

Pcie4

このようにして、長いデータも受信することができるようになりました。

PCI ExpressのGen1でつないだ場合、170MB/secくらい出ているようです。

Pcie5

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