18bit 8chのA/D変換ボード
18bit 8chのA/D変換ボードを作っています。A/D変換ボードとはいっても、Cosmo-Zに搭載するタイプの拡張ボードで、最大5Mサンプリング/毎秒です。
現状では、Cosmo-Zに搭載できる最高ランクのADCは、125MHz 16bitの「AD9653」です。
しかし、このAD変換は下3ビットくらいはいい加減な値が出てきます。下の図はデータシートに記載されているヒストグラムの図ですが、一定の電圧を入れても下の3~4ビットはノイズで揺らいていて、正規分布を作っているのがわかります。
AD9653 (16bit 125Mサンプリング)のノイズ
実機で測ってみるとさらに悪く、データシート(↑の図)の2倍くらいのノイズがあります。
さて、ここでCICフィルタというLPFを通して5MHzにダウンサンプリングすると、
ゆらぎは1LSB程度(≒15μV)に減ります。
時系列でみてもほとんど±1しか変化していません!
16bitの125MHzでサンプリングしてLPFとデシメーションすれば、5MHzの意外と良いADCとして使えてラッキーと思うかもしれません。私もそうでした。
しかし、これはノイズを減らしているだけなのであくまでもフェイクです。LPFではひずみ率や、INL/DNLは改善しないので、真の16bit性能が出るわけはありません。
高調波はだいたい-80dB以下でノイズに埋もれて観測できないのですが、個体差によって調子の悪いやつがいると、-75dBくらいの大きいのが見えることがあります。
では、最初から18bitで5MHzのADコンバータ「AD7960」はどうでしょう。
AD7960 (18bit 5Mサンプリング)のノイズ
揺らぎは±2LSBで16bit版に比べて半分ですが、16bit版に比べて分解能は4倍になっているので、ノイズは約8分の1になっています。
また、ひずみ率はAD9653が-90dBなのに対して、AD7960は-117dBです。30dBも良いのです。
つまり、16bitの高速ADCのデータをどう処理しても、最初から18bitには敵わないのです。
そこで、中速でもいいから高精度のがほしいという方のために拡張ボードとして18bitのA/D変換ボードを作ることにしました。
東工大のアルバイト君に任せていたら、だいぶん良い感じの基板を作ってくれていました。彼はこの基板でまだ2作目なのですが、よくここまでできたと思います。
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