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2016.03.07

18bit 8chのA/D変換ボード

18bit 8chのA/D変換ボードを作っています。A/D変換ボードとはいっても、Cosmo-Zに搭載するタイプの拡張ボードで、最大5Mサンプリング/毎秒です。

現状では、Cosmo-Zに搭載できる最高ランクのADCは、125MHz 16bitの「AD9653」です。

しかし、このAD変換は下3ビットくらいはいい加減な値が出てきます。下の図はデータシートに記載されているヒストグラムの図ですが、一定の電圧を入れても下の3~4ビットはノイズで揺らいていて、正規分布を作っているのがわかります。

Ad9653hist

        AD9653 (16bit 125Mサンプリング)のノイズ

実機で測ってみるとさらに悪く、データシート(↑の図)の2倍くらいのノイズがあります。

Ad9653hist2

さて、ここでCICフィルタというLPFを通して5MHzにダウンサンプリングすると、

Ad9653hist3

ゆらぎは1LSB程度(≒15μV)に減ります。

時系列でみてもほとんど±1しか変化していません!

Ad9653raw_2

16bitの125MHzでサンプリングしてLPFとデシメーションすれば、5MHzの意外と良いADCとして使えてラッキーと思うかもしれません。私もそうでした。

しかし、これはノイズを減らしているだけなのであくまでもフェイクです。LPFではひずみ率や、INL/DNLは改善しないので、真の16bit性能が出るわけはありません。

高調波はだいたい-80dB以下でノイズに埋もれて観測できないのですが、個体差によって調子の悪いやつがいると、-75dBくらいの大きいのが見えることがあります。

Spectrum

では、最初から18bitで5MHzのADコンバータ「AD7960」はどうでしょう。

Ad7960_hist

            AD7960 (18bit 5Mサンプリング)のノイズ

揺らぎは±2LSBで16bit版に比べて半分ですが、16bit版に比べて分解能は4倍になっているので、ノイズは約8分の1になっています。

また、ひずみ率はAD9653が-90dBなのに対して、AD7960は-117dBです。30dBも良いのです。

つまり、16bitの高速ADCのデータをどう処理しても、最初から18bitには敵わないのです。

そこで、中速でもいいから高精度のがほしいという方のために拡張ボードとして18bitのA/D変換ボードを作ることにしました。

東工大のアルバイト君に任せていたら、だいぶん良い感じの基板を作ってくれていました。彼はこの基板でまだ2作目なのですが、よくここまでできたと思います。

Np1084_1

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