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2016.12.31

2016年を振り返って

2016年を振り返ります。

まず、2016年の初頭で述べた抱負ですが

    • Cosmo-Zをもっと使いやすくする → 半分達成
    • Kintex-7版のPCI Expressボード開発 → 達成
    • 1GHzサンプルくらいのA/Dボードを作る → 達成
    • 小型でネットワーク対応のJTAGアダプタを作る(MITOUJTAGや、MITOUJTAGオンラインからリモート操作するためのもの) →
    • 物理学実験向けの計測用電子回路の受託を伸ばしていく → 達成

でした。

何をやっていたかを振り返ります。

【1月】

  • 放射線用の信号処理回路(台形波形整形回路)の開発
  • Cosmo-Zのアクリルケースやアルミケースの開発
  • 従業員が2人増えた

【2月】

  • Cosmo-ZにMCA(マルチチャネルアナライザ)を開発
  • Cosmo-Z用のロックインアンプ開発

【3月】

  • 18bit 8ch 5MHzのAD変換ボード設計
  • 応用物理学会の付設展示会にCosmo-Zを出展
  • ハードウェアFFTマシンの開発
  • Cosmo-ZのWindowsアプリ

【4月】

  • 放射線信号処理回路(TFA、CFD等)をFPGAに実装
  • MITOUJTAG 3.0のリリース
  • おれデバ第2話のリニューアル

【5月】

  • Cosmo-ZのLabViewアプリの開発
  • MITOUJTAGの3D化
  • MITOUJTAGのロジアナ波形をVCD形式でエクスポート機能
  • ZynqBerryでLinuxを動かすなど

【6月】

  • 放射線信号処理回路の完成
  • Cosmo-Zのパルス計測機能の32ch化とMCA開発
  • Cosmo-ZデザインのVivado化

【7月】

  • おれデバ第3話を公開
  • FPGAにRadix-8のHyperVFFTを実装
  • Cosmo-ZのDACボード開発
  • プラスチックシンチレータとMPPCの実験開始

【8月】

  • 青函トンネルで宇宙線の計測
  • PCI-Xマシンの組み立てとSLC6のインストール
  • なひたふ自身がVivadoを触り始める

【9月】

  • Vivadoと格闘
  • Vivado版Cosmo-Zデザインの完成
  • MPPCアレイの開発開始
  • Cosmo-Kの開発開始

【10月】

  • Cosmo-Zで54GHzの等価サンプリング達成
  • 月刊特電Vol9発行
  • 1G ADCの設計開始

【11月】

  • 特電SATA IPコアが7シリーズで動作するようになった
  • Cosmo-Kの実装と、10Gbps光リンクの達成
  • MPPCアレイの動作
  • ET2016出展
  • 税務調査

【12月】

  • Cosmo-Kで40Gbps光リンクの達成
  • 基板年賀状の作成
  • MITOUJTAG Light 3.1リリース
  • 18bit 8ch ADCボードの特性評価

1年を通じて物理系の計測装置の開発という方面にだんだんとシフトしてきました。1GHzのADCや、40Gbpsでの通信など、ギガを超えるのがあたりまえになってきました。

私事としては、なひたふ自身がVivadoを使えるようになったのが大きいです。

それではみなさん、良いお年を。

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2016.12.28

Cosmo-Zを19インチラックに納めてみた

19インチラックに搭載して、工業用の組み込みPCとセットにしたCosmo-Zを作ってみました。

Cosmoz19inch

この装置単体で計測ができるようになるというわけです。

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2016.12.27

基板年賀状が出来てきた

基板屋さんで製造していた基板年賀状が出来てきました。

金フラッシュとシルクの出来は良いのですが、レジストが少し厚いのか、緑で描いた絵が光の加減で見えたり見えにくかったりします。

Nenga2017_2


本当はモザイクなしで出したいのですが、それはお正月までお待ちください。

Nenga2017_1

一応、部品を実装すると光るように作ってはいるのですが、その確認はまた明日。

2枚面付けで作っていますので、このままだと往復はがきサイズです。パキッと割って軽くやするをかけると、バリもなくなり良い感じのはがきサイズになります。

気になるコストですが、今回は1枚あたり900円くらいでできました。これを出す郵便料金は90円なので、1枚あたり990円の年賀状ということになります。

この年賀状は、今年一年間お世話になった方や商品をいっぱい買ってくれた方。Cosmo-Zを買ってくれた方、MITOUJTAG Lightを買ってくれた方などに送りたいと思います。

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2016.12.26

MITOUJTAG Lightの出荷を開始します

本日から冬限定バージョンのMITOUJTAG Light 3.1の出荷を開始しました!!

Mjl_shukka

内容物は、CD-ROM、Pocket JTAG Cable、USBケーブル、おれデバ小冊子、カタログ、アンケートなどです。

Bannerl31

今回の主なバージョンアップ点は、

  • ロジアナ波形のエクスポート
  • 基板検査機能の搭載(使用期限あり)
  • BLOGANA/BLOGANA2機能の搭載(使用期限あり)
  • 様々なバグの修正

などです。それ以外は、最新のMITOUJTAG BASIC/Pro 3.0に準じます。

様々なバグというのは、例えば、ロジアナ波形の画面で「ファイルに名前を付けて保存」のメニューが有効にならなくて、名前を付けて保存ができなかった・・・などです。

さて、MITOUJTAGはもともとDigilentのUSB JTAGケーブルにも対応していますが、TrenzElectronic社の各種ZYNQボードは、Digilentのライセンスを受けたUSB-JTAGが搭載されているので、MITOUJTAGからバウンダリスキャンや書き込みができます。

具体的なやり方を説明します。

まずXILINXのISEに付属のラボツールを入れておきます。そして、メインメニューの「オプション」から、XILINX Cable Serverの設定を選びます。

Dgcab1

下の図のようなダイアログが開くので、下の図のように設定します。

Dgcab2

ISEまたはラボツールのバージョンが14.7である場合でも、CSEサーバのバージョンは14.5にしてください。また、ケーブルタイプにdigilent_pluginを選んでください。

Dgcab3

すると、裏でCSEサーバというプログラムが起動して、MITOUJTAGからDigilentケーブルが認識されます。アイコンは便宜上、XILINXケーブルとして表示されています。

Dgcab4

自動認識すれば、ZYNQなどのFPGAが検出されます。

Dgcab5

Digilent USB経由でJTAGが使えるようになり、端子を見たり、波形を見たり、書き込んだりできるようになります。FPGAはもう煮るなり焼くなり好きにしろという状態です。

Dgcab6


このようなことができる便利なツール、MITOUJTAG Lightは、期間限定で49800円で発売しています。FPGAの開発をする人なら、絶対に持っておきたいツールです。

ご注文は、オンラインショップで承っております。

MITOUJTAG Lightの詳細はMITOUJTAG Light 3.1のページをご覧下さい。

期間限定かつ台数限定で、在庫がなくなり次第終了ですが、もう、予定数の半分くらいが売れています。ご興味をお持ちの方はお早目に

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2016.12.25

MITOUJTAGの波形エクスポート機能

MITOUJTAG Lightに搭載の「波形エクスポート機能」について説明します。

この機能はJTAGロジックアナライザでキャプチャ波形を、CSVやVCD形式で出力するものです。今までもVCD形式(Value Changed Dump)で出力することはできたのですが、VCDのビューワーで良いものがなかったので、CSVで出力する機能を新たに作りました。

実際のやり方を説明します。

まず、適当なFPGAボードを接続します。ここではZynqBerryを例に説明します。

Zb1

FPGAの端子が可視化できたら、ロジアナ画面を開いて、少し波形をキャプチャしてみます。

Zb2

はい。DDR3メモリの波形が見えました。なんだか激しく動いています。

ここで、保存ボタンの横の▼を押すと、「ファイルをエクスポートします」というのがあるので、このエクスポートを選びます。

Zb3

すると、ファイルを保存するダイアログが出るので、適当なファイル名を付けて保存します。

保存したファイルはユーザ・データ・フォルダの下のMITOUJTAGフォルダにあります。ユーザ・データ・フォルダとは、Windows7や8ではマイドキュメントなのですが、今後のWindowsではマイドキュメントがどこに移動させられるかわかりません。

そこで、ファイルメニューの「ユーザ・データ・フォルダを開く」を選択すると、一発で保存したフォルダが開くようにしました。

Zb4

ここにaaa.csvというファイルが保存されていますね。

Zb5

これをExcelで開いて見てみましょう。

このように、時間情報(一番左の列)と、値のデータがベタな数字で入っています。

Zb6

これをグラフ化して、一部分だけ見てみると、

Zb7

このように、ロジアナで取った波形を、すぐにExcelでグラフ化することができます。

この機能が真価を発揮するのは、アナログ的なデータを見る場合です。ADCの値でもいいですし、FPGAが内部で計算している数値計算の途中経過でも良いです。ロジアナの画面で波形が見れれば同じようにエクスポートできます。

下の波形は、18bit ADCでキャプチャしたデータです。

Adc1

このデータを見るためのFPGAのアプリケーションはまだ作っていないので、ロジアナで数字として確認するより他ありません。システムの開発中では、アプリケーションソフトを作りこむ前に、FPGAの中の数字をグラフ化したいということは良くあります。

そこで、CSVでエクスポートして、エクセルに取り込んでみました。

Adc2

この表形式のデータを範囲選択し、挿入→グラフとやると・・

このとおり、ADC値の時間変化を一瞬でグラフにすることができました。

Adc3

波形がカクカクしているのは、ロジックは250MHzで動いていて、ADCの波形は5MHzでやってくるため、50回に1回しか変化しないためです。

FPGAの開発において、アプリを作らずにアナログ的に波形を見る、という新たなRapid Development(迅速開発)ができようになるでしょう。

面倒な手間を避け、できるだけ楽して開発する。それを可能にするのがMITOUJTAGです。

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2016.12.24

AD7960を使ったADCシステムのS/N改善

THS4521をアナログフロントエンドに採用するとした場合、THS4521はレールツーレールとはいえども、0.1V~4.7Vくらいしか出せません。

AD7960には0~4.096Vの入力信号を与えたときにフルスケールになりますが、下の方が出ないため、フルスケールまで振り切れなくなります。その上、AD8253の出力特性にもひっかかります。AD8253の出力はVCC-1.4V程度です。

また、AD8253(ゲイン1)→THS4521(ゲイン1)→AD7960という構成では入力信号の振幅が±4.096Vになって、微小信号を扱うADCとしては大きすぎて扱いにくくなります。

そこで、2段目のTHS4521に5倍のゲインを持たせて、約1.0Vpp程度のフルスケールのADCへと改良をしてみました。

まず、改良前の回路で測られたノイズのスペクトラムです。

Gain1


前々回の記事でも書いたとおり、半値半幅で見るとノイズは62μV程度と見積もられます。

回路の全体の図は、下の図のようになっていて、AD7960自体で46μVのノイズが生じているほか、2つのOPアンプで45μVと4.6μVのノイズが発生しています。

Ad8253ad7960noise_2

これらのノイズは独立して発生しているので、二乗の和の平方根となるので、√45^2+4.6^2+46^2≒65μVとなって、結果とほぼ一致します。

AD8253のノイズはデータシートによると、ゲインによって変わります。ゲイン1の場合は最大45nV/√Hzですが、ゲイン10以上では12nV/√Hz以下に下がるようです。

Ad8253noise

次にTHS4521に5倍のゲインを持たせた場合の、全体のノイズヒストグラムです。

Gain5_noise

半値半幅は4.5本なので、ADCの部分で測ったノイズは139μVということになります。(入力に換算すると27μV)

しかし、前のモデルで計算するとAD8253のノイズ45μVも5倍されているはずですから、√225^2+23^2+46^2=230μVなければなりません。そう考えると、AD8253のノイズが45μVもあったというのが過大評価だったのかもしれません。

次にAD8253のゲインを10、THS4521のゲインを5に切り替えた場合です。

Gain50

半値半幅は13.5本ですから、ADCの部分で測ったノイズは418μVです。(入力に換算すると8μV)

逆算すると、AD8253が8nV/√Hzで8μV程度のノイズが発生して、80μVに増幅され、それがTHS4521で400μVにまで増幅されえいると仮定すると辻褄が合います。

データシートのノイズの値は、最大値で、実際にはより小さいと言えるでしょう。

結論です。

  • AD8253のノイズはデータシートに書かれている最大値ほど悪くはない。
  • ゲインを上げてフルスケールを1Vppとしたところ、入力換算ノイズは約27μVまで減らすことができた。
  • ゲインを上げてフルスケールを0.1Vppとしたところ、入力換算ノイズは8μVまで減らすことができた。

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2016.12.23

高精度AD変換向けOPアンプとひずみ率

昨日から引き続き、18bit AD変換器用のOPアンプ回路の検討をしています。

回路の構成は、こんな感じです。

Analog3

LTC6362、THS4521、THS4130の3種類のOPアンプのうち、どれが一番良いかということです。

AD7960をフルスケールに振り切るには、0.000V~4.096Vまでの振幅の信号を与えなければなりません。LTC6362はレールツーレールと言われていますが、0.013V~4.93Vまでの振幅しか出せません。THS4521も0.1V~4.7Vくらいです。THS4130はレールツーレールではなく、1.3V~3.7Vくらいしか出せません。

つまり、0~4.096Vをフルに出せるものはありません。

ひずみ率は50kHzのとき、LT6362が-80dB程度、THS4521とTHS4310が-110dB程度です。これだけで考えるとTHS4521がベストです。

実際に50kHzの正弦波を入れて測ってみました。

まずLTC6362のスペクトラム。入力信号の強度などは適当な値にしています。

Ltc6362_spec

二次、三次の高調波を見ると-80dBくらいの性能がありそうです。

次はTHS4521のスペクトラム。

Ths4521_spec_2

かなり綺麗です。-90dBはいけるでしょう。

最後はTHS4130のスペクトラム。

Ths4130_spec

二次高調波が目立ちますが、-90dBは出ています。

結論を言うと、THS4521が一番よさそうです。そこで、入力段にあるAD8253のゲインをいろいろ変えてみました。

まずはゲイン10倍。当然入力信号も小さくして、ADCの手前で同じ大きさになるようにしています。

Ths4521_spec_gain10

ゲイン1のときにノイズフロアが-130dBにあったのが、10dBほど持ち上がりました。しかし、新たなひずみが生じているということはありません。

次はゲイン100。

Ths4521_spec_gain100

低周波成分のノイズがうるさいようですが、それでも歪は-85dBはキープできています。

この結果は他のOPアンプでも同じなので、AD8253の部分の性能を見ているのでしょう。

結論はこうです。

① +5Vで動かすには、どれを使ってもフルスケールは出ない。THS4521かLTC6362が最も広い出力電圧範囲が取れる。

② ノイズやひずみ率的にはTHS4521かTHS4130が良い。

③ AD8253はゲイン1,ゲイン10で極めて優秀。このOPアンプので性能劣化は考えなくてもいい。

この結果から、THS4521を採用することにしました。

最も綺麗なスペクトルが取れる条件を探し、ひずみ率-100dBを達成できました。

Spec5khz

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2016.12.22

AD7960のアナログフロントエンド用OPアンプの選定

特電ではZYNQ搭載ADボード「Cosmo-Z」の拡張ボードとして、Analog DevicesのAD7960を使ったAD変換ボードを開発しています。

Ad18


前回の記事から大分時間が経ってしまいましたが、アルバイトのスタッフが動くようにしてくれました。

ADCのVREFには4.096Vを与えているので、このボードの入力電圧範囲は±4.096Vです。

ちなみに、複数の高精度ADCを並べるときにはVREFは外部から与えます。ADCの内蔵リファレンスは1つ1つばらつきがあるので、16bitや18bitのADCではそれが無視できないからです。しかも、VREFはパルス的に電流を吸い込むので、1つ1つのADCのVREFを各々のOPアンプでドライブします。そうしなければ隣につられてしまいます。これは定石です。

アナログフロントエンドには、ゲインをx1,x10,x100,x1000と切り替えられる可変ゲインアンプが付いているので、入力のフルスケールを±4.096V,±0.41mV,±41mV,±4mVと切り替えられます。

AD7960はEN0..EN3という端子があって動作モードを設定しますが、ベストな設定は0010(外部VREF 4.096V バンド幅制限なし28MHz)でした。0001(外部VREF 5V)にすると歪が増えます。また、0010(外部VREF 4.096V バンド幅9MHz)にすると、ノイズが増えます。

また、AD7960は入力フルスケールが±VREFなのですが、VREFは4.096Vまたは5Vにしか設定することができません。そのため、アナログフロントエンドでは0V~5Vまでフルスイングできるレールツーレールな低ひずみな完全差動アンプが必要になりますが、現時点でそのようなOPアンプのは世の中にありません。

レールツーレールといわれているOPアンプでさえも、本当は電源電圧ぎりぎりまで振り切ることができません。少なくとも高精度ADCでは「ふりきれない」ことが問題になります。また、電源電圧に近いところではひずみ率が悪化しますので、1/2VCCあたりのおいしいところで動作させなければならないのです。

本目的に何とか使えそうだと思えるOPアンプとして、Linear Technology社のLT6362、Texas Instruments社のTHS4521、同じくTIのTHS4130の3種類を選定しました。

これらのOPアンプを使ってどれが最も良い性能を出すかを比べてみます。

回路の構成としては、

  • CH1 入力→AD8253(可変ゲインアンプ)→LT6362→AD7960
  • CH2 入力→AD8253(可変ゲインアンプ)→THS4521→AD7960
  • CH3 入力→AD8253(可変ゲインアンプ)→THS4130→AD7960

となっています。

まずは入力を50ΩでGNDに固定して、ノイズのスペクトラムを見てみます。

プリアンプのゲインが1の場合、半値半幅(HWHM)は2LSBなので、ノイズで±62μV揺らいでいると言えます。

Gain1

赤がTHS4521、オレンジがTHS4130、茶色がLT6362です。THS4130のノイズは少し多いかもしれません。

次はゲイン10の場合です。

Gain10

ノイズによる揺らぎが増えて±5LSBくらいになりました。ゲインを上げてノイズが増えたということは、これはAD8253の入力のノイズと言えます。確かにノイズも増えますが1LSBの分解能も細かくなっているので、トータルで性能は良くなっています。ゲイン10では1LSB=3μVですから、揺らぎは±15μVです。

ゲインを10倍にしてもノイズが2倍にしかならないということから、初段のAD8253と後段のアンプ+ADCのノイズが計算で求められますね。

初段でゲインを稼いだほうが精度が上がりました。

次はゲイン100の場合です。1LSB=0.3μVで、フルスケールは40mVppレンジです。

Gain100

ノイズで非常に揺らいでいるように見えます。各チャネルとも半値幅はだいたい60LSBくらいなので、±30LSB揺らいでいます。1LSB=0.31μVなのでノイズは±9.3μVとなります。

最後はゲイン1000の場合です。1LSB=31nVで、フルスケールは4mVppのレンジです。

Gain1000

各チャネルともだいたい250LSBくらいの幅がありますので±4μVゆらいでいると言えます。

アルバイトさんが、より正確に半値幅を出してくれて、各OPアンプでの性能を比べてくれた結果をまとめたのが次のグラフです。

ヒストグラムの幅(半値半幅)を示しています。

Opamp3

ゲイン1の場合は個々のOPアンプのノイズ性能が顕著に出ていますが、ゲインが上がるにつれてOPアンプによる違いは見られなくなってきます。

微小信号を測るならば、初段のOPアンプが重要であるこがとがわかります。また、初段でゲインを稼ぐことでノイズを効果的に抑えることができることがわかります。

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2016.12.21

ピークに合わせたサンプリング

唐突ですが、こういう波形があります。

50ns(=20MHz)の繰り返し周波数で出ている鋭いパルスなのですが、この毎回毎回のピークの高さを測りたいというご要望がありました。

Pulse20mhz_2

波形の計測には、ZYNQ搭載の高速ADCボード「Cosmo-Z」を使うわけなのですが、Cosmo-ZのADCは最高でも125MHzですから、サンプリング周期は8nsです。波形全体をキャプチャして、後からピークを出すというわけにはいきません。

そこで考えたのが、ADCのサンプリング自体は80MHzくらいで行うものの、ピークの位置にぴったりと合わせてサンプリングすればいいのではないかということでした。80MHzのADCであっても、サンプリングの開いている時間はごく短い(≒1ns)なので、タイミングを合わせこめばできるはずです。

Peaksample1_2

実際ににやってみました。

まず、20MHzの繰り返し波形を、サンプリングポイントをずらしながらピークを見つけます。

その様子をご覧ください。

Peakadj_2

上のアニメーションは、この波形のサンプリングポイントを720psずつずらして取ったようすです。にゅーっと動くのがわかると思います。

実際には18psくらいのステップで動かして、最大値が出るピークを探します。見つかったピークの位置にぴたりとサンプリングポイントが合ったときのようすです。

Peak2

そして、4:1にデシメーションを行います。

Peak3

これで、ピークの位置ばかりがサンプリングできるようになりました。

実際には、4:1にデシメーションする際に3つを全部捨てるのではなく、ピーク系列とボトム系列で2つの信号を出力するようにしています。

高速ADCボード「Cosmo-Z」はFPGAで処理しているので、こういうこともできるという例でした。

1420690551_cosmoztop

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2016.12.18

MITOUJTAG Light 3.1を販売します

最近、Makerの集いやFPGAの勉強会などが盛んですね。個人の人でもFPGAなどを使った素晴らしい作品を作る環境が整ってきたと思います。

特殊電子回路では、JTAGを使った快適なデバッグ環境を、そんなハイレベルな個人の方にも体験していただきたいと思い、冬休み・お正月期間にMITOUJTAG Lightを提供することにしました。

Mjl31

従来の他社製品は百万円以上もしていたバウンダリスキャンを、ひとりひとりのMakerやエンジニアに使っていただき、個性的で優れた作品が日本から世界に発信されていくことを願って、このツールを提供させていただきます。

Mjlight31


海外製の百万円以上するJTAGバウンダリスキャンツールにもできなかったことや、できなかった快適さが、あなたのデスクトップで動きます。

今回のMITOUJTAG Light 3.1では、

  • Vivado対応
  • BLOGANA2機能
  • 基板検査機能
  • JTAGロジアナの波形エクスポート機能
  • XILINX 7シリーズへの完全対応

など、新機能も盛りだくさんです。

それなのに価格は、

  • MITOUJTAG Lightソフトウェア本体 \34,800(税別)
  • Pocket JTAG Cable \24,800(税別)

で合わせて62,600円(税別) = 67,608円(税込)のところ、12月中にこのセットでお買い上げの場合に限り、49,800円(税込)で提供させていただきます。

もちろん、送料も込みですから、銀行振り込みでお買い上げの場合、これ以外の費用は一切かかりません。

ただし、この価格でずっとやっていくのは正直難しいです。

そのため、期間限定・数量限定とさせていただきます。具体的には、2017年1月15日までの期間限定で、かつ、30個という数量限定で提供させていただきます。

何卒ご了承くださいませ。品切れの場合はご容赦ください。

詳しくは、こちらのページ

http://www.tokudenkairo.co.jp/jtag/lightv.html

をご覧ください。

ちなみに、12月31日までにMITOUJTAG LightとPocket JTAG Cableのセットををご購入いただいた方には、基板年賀状をお送りします。

Nenga2017

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2016.12.15

今年も基板年賀状を作ります

プリント基板年賀状というものがあります。

その名の通り、はがきサイズのプリント基板で、年賀状になっているものです。

下の写真は、平成24年(2012年)用のと、平成27年(2015年)のものです。

Nengakiban2Nenga2015

いろいろ悩んだのですが、今年も(来年の)基板年賀状を作ることにしました。

来年は酉年ですね。そこで、鳥を使ってデザインしてみました。

Nenga1

おっと!

まだ正月になっていないので、モザイクを掛けさせていただいております。

拡大すると、このような点描画で作られています。

Nenga2

今までの実績からも、このような技法でプリント基板を作って、ちゃんと濃淡は出ていたので今回も大丈夫だろうと思います。

今回は100枚ほど作ります。お世話になった方に出したいと思います。

皆様のお手元に元旦に間に合うように、明日(16日)、クイックコースで出図しようと思います。27日くらいに弊社に届くので急いで出せば、ぎりぎり間に合うでしょうか。

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2016.12.12

XILINX 14ピンリボンケーブルに代わるもの

XILINXのJTAGケーブルでは2.0mmピッチの14ピンリボンケーブルが使われます。XILINXのPlatform Cable USBとかを買うと1本付いてきますが、無くしてしまうと大変です。

それに、リボンケーブルは何本あっても良いものです。

このケーブルだけを入手するにはどうすればよいでしょう?

実は、XILINXのリボンケーブルはDigikeyで取り扱っているのです。

Digikey品番122-1476-NDです。

Xil_14

ところが、見て分かる通り有鉛品な上に、在庫数量も少ないようです。

そこで、代わりになるものを見つけました。3M製の158214-0120-HF625/14-D-6というケーブルで、Digikey品番は3M156021-HF14S-3M156021-6-NDです。

14pos

早速入手して見比べてみると、長さもほぼ同じ。

少し硬いですが、もちろんJTAGケーブル用としてちゃんと使えました。

14pin_cable

これで何本なくしても安心ですね?!

ちなみに、本日以降、MITOUJTAGのセットをお買い上げの場合には、このケーブルも付属して出荷することにいたします。

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2016.12.10

MITOUJTAGのアンケートをTwitterでやってみた結果

MITOUJTAGに関するアンケートをTwitterでやってみました。

MITOUJTAGに興味はあるけれども、使っていない理由を教えてくださいというものです。

結果は↓

Enquete

1番目の価格に関してと、3番目の使わなくても・・については表裏一体で、つまり、安かったら使ってくれる可能性があると。さらに言うならば、使用するメリットと比べて現在の価格が高すぎる、という意味でしょう。

欲しい機能がない、について0票だったのは幸いです。つまり、頑張ってマイナーな機能を追加しても、MITOUJTAGの利用率は上がらないことを意味します。

最後の「なひたふが作っているから」に票を入れた人が36%(11人)でトップでした。組織票なのか同一人物なのかわかりませんが、ある意味嬉しい結果です。

価格に関しては、一考すべき時期かと思います。

MITOUJTAGの現在の価格体系(BASIC 約10万円、Pro 約30万円)は、10年前にMITOUJTAGを販売し始めた時の価格体系とラインナップでした。

当時の業務用ソフトウェアは箱にCD-ROMが入って売られていて1本10~100万円くらいで、1台かぎりのPCにインストールして使うというものでした。フローティングライセンスというものもありましたが、基本は1台のPCで使うものでした。

しかし現在では、Microsoft Officeや、Adobe Illustratorをはじめ、ゲームソフトに至るまで、多くのソフトウェアが月単位や年単位での課金制のダウンロード&アクティベーションに移行しています。必要な時だけ使うことができるので、利用者としてはコストを下げることもできますし、常に最新の状態にアップデートして使うことができます。

MITOUJTAGについても、もちろん永久使用可能なパッケージ版は残しますが、可動なライセンス形態についても真剣に検討していきたいと思います。

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2016.12.07

高精度1GHzクロック源が動いた

1GサンプリングADC用のクロック源に、TexasInstruments社のCDCE62002という超高精度低ジッタクロック源を使っています。Cdce

CDCE62002は「0.5 ps RMS (10 kHz to 20 MHz) Output Jitter Performance」という超低ジッタで、ジッタクリーナーとしても使えるとのことです。つまり、外部から受け取ったクロックのタイミングを綺麗にして、ADCに与えてくれるというわけです。

25MHzの水晶振動子を外付けするだけで、最大1.175GHzまでの信号を生成することができます。LVDS、LVPECL、LVCMOSなどいろいろな規格で信号を出せるのもありがたいです。いろいろ便利そうなICなのですが、発熱が大きいのが問題。3.3Vで750mWも食います。

さて、このICを動かすにはSPIでパラメータを設定してやらねばなりませんが、Webのツールでできるとのこと。

現在開発している1GADCではSpartan-6にSPIの信号を出力させているので、それなりのステートマシンを作らなければなりません。アルバイトの学生さんが、このクロックジェネレータの使い方を解読して、動くようにしてくれました。

出てきたクロックがこれ↓

Cdce62002adc_clk

とても綺麗だったとのことです。

また、クロックを差動信号で出力してそれをSpartan-6に入れて、クロックを2分周した信号も見てみました。

驚くべきことに、

process(clk) begin
  if(clk'event and clk='1') then
    led <= not led;
  end if;
end process

程度の簡単なロジックだったら、Spartan-6は1GHzでも動いてしまうんですね。

Led

さて、1G ADCのクロックもできて、40Gbpsの光ファイバも動いた。いよいよJESD204Bを動かす準備ができました。

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2016.12.06

Kintex-7で、40G光ファイバモジュールの動作確認

XILINXのCoreGeneratorには、IBERTテストといって、高速トランシーバのエラー率をテストしてくれるモジュールがあります。これを使って、Kintex-7搭載PCI Expressボード「Cosmo-Kの40Gbps光通信機能の動作確認をしました。

これが40Gbpsのモジュールです。

Ftl410qe2c


しかし、40Gbpsという速度をFPGAから直接出すことはできません。

2016年12月現在、UltraScale+のGTYで32.75Gbpsが限度。ALTERAも28Gbps程度。まだ2値で40G出せるものはない。各社とも次世代はPAM-4といって4値でデータ転送を行い50G超えを狙うようだ。

40Gbpsの光ファイバは、実は10Gbpsを4本束ねたものなのです。中に4本のファイバが入っています。

40gbps

(この4つのレーザダイオードが、ものすごい速さでLチカしている)

世の中には、40Gファイバを10Gファイバ4本に分岐するという便利なケーブルがあるので、1本ずつループバックさせたり、2本ずつでテストを行うことができます。

Cosmok40g

CH2、CH3、CH4の結果は

Cosmokp_10g_2loopCosmokp_10g_3loop_2
Cosmokp_10g_4loop
(クリックで拡大)

と、アイが43.8%も開いていて、非常に良好です。15Gbpsくらいは平気で通りそうな感じです。

実はCosmo-K+の初期バージョンでは、CH1の送信と受信を間違えて作ってしまって、基板にはこのようなジャンパが施されています。

Jumper10g


ラッピングワイヤによる手配線のジャンパで、長さは2cmくらいあります。1mmで1.5nHですから、30nHくらいのインダクタンスにはなるでしょう。インピーダンスの整合も滅茶苦茶なはずです。

それでも、まったくIBERT試験の結果には影響がありませんでした。

Cosmokp_10g_1loop

より厳しい条件で試験を行ったところ、送信と受信の線を近づけたりペアになっている線の間隔を離すと結果は悪くなりますが、このジャンパでも十分に10Gbpsの信号が通るようです。

1ギガを超える配線は難しい・・という話を良くききますが、本当はそんなに難しいものではないのです。

なぜかというと、クロストークも、反射も、減衰も、すべて信号が走る距離に比例して悪化するからです。

このボードは、FPGAと光モジュールはごく近いところにあるので、距離が短く、信号の品質はそれほど劣化しないのでしょう。こんなジャンパでも10Gbpsが通ってしまいます。

Cosmokp_10g_summary

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