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2017.06.21

組み込み業界における平均的な給与を推定してみた

昨日は、組み込み業界の零細~中小企業の売上や利益について統計をとってみました。

その結果を要約すると、

  • 受託開発やハードウェアの開発をしている会社なら、一人あたり月100万円の売上があれば上出来

という結論でした。

世の中には、従業員は月給の3倍売り上げなければならないという都市伝説があったりするので、本当でしょうか。

しかし、給与のデータというのはなかなか出てきません。

そこで、データがない会社については、類似他社の原価率から推定したり、かなり恣意的に操作した統計を取ってみたところ、以下のような結果となりました。

Kyuuyo2

まず、総従業員数が一人とか二人とか、創業者とその関係者で行っているベンチャーの場合は役員報酬と給与を混ぜて統計とりました。この場合の給与報酬は比較的高いと言えます。

また、5人から50人くらいの会社では、一般の求人で従業員を集めていると思われるので、役員の報酬を除いて従業員給与を求めました。平均は20~30万円前後ではないだろうかという推測されます。

しかし、大きな会社になると、従業員数が正しく表示されていない(おそらく年間の延べ人数を表示していたり、臨時雇用や外注も含めている)ためか、平均給与が10万円未満というありえない統計になりました。青い部分の統計は信頼性がありません。

中にはASICの設計や検証をしているのに月給が20万円ちょっととか、目を疑いたくなるような会社もあります。上のグラフで緑で囲った枠内の会社はいずれも従業員ひとりあたりの月商は100万円前後なので、だいたい給与の3倍というのは正しいという感覚でした。

より詳しくみてみます。一人当たりの月商を、給与で割った倍率を見てみると、下の図のようになります。

商社は5倍から20倍程度売っていますが、開発会社はやはり3倍前後です。

Kyuuyo3

商社でも10倍売っていないところは経営が安定していなかったり、事業規模を縮小したりしています。

結論をいうと、

  • 開発会社なら給与の3倍売っている
  • 商社は15倍は売らなければきつい

といえるでしょう。

3倍というざっくりした統計は妥当でした。

ただ、必要とされる能力に応じて給与が安く、この業界はちょっと酷いかもしれません。

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2017.06.20

組み込み業界、零細~中小企業20社の財務情報を分析してわかったコト

電気電子・組み込み・ソフトウェア業界は参入障壁の低い業界です。

Kigyou_business_man

部品を買ってきて小さなモジュールを作ってネットで販売すれば一人前の業者になれるのですから、趣味が高じて起業したという人も多いでしょう。販売が得意な人、回路を作るのが得意な人、綺麗なWebサイトを作るのが得意な人、いろいろな得意分野で起業をすると思います。

かくいう私もその一人です。

しかし、会社がなかなか大きくならない・・と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

おそらく年商1000万円までは簡単にいくのですが、3000万円、6000万円、1.5億円と会社が成長するにしたがって4つくらいの壁があるように思えます。

ならば、壁を突破するときに具体的にどうすればよいのか?

参考になるのは、ビジネス書でもなく、過去の偉人の発言でも、整理整頓やトイレ掃除でもありません。(ただし風水は効く)

それは他社の情報を分析することです。自分より大きな会社がどのような商売をして大きくなっているのか、もしくは、どういう商売をすると伸び悩むのか。それを調べなければならなりません。

しかし、電気電子の大企業の動向を調べても全く役に立ちません。

知りたいのは、数千万円規模の会社がどうやって成長していくかという身の丈にあったデータなのです。なお、会社の情報は個人情報とはちがって、一般的には公開されています。非上場の零細企業であっても、調べようと思えば決算書を見ることができます。

そんな身の回りにある、電気電子組み込み業界の20社ほどの情報を十数万円かけて調べ、内藤の狭い見識で分析しました。

まず、元となるデータです。いろいろ配慮してモザイクをかけておきます。

Embcompanies_2

1人規模の個人企業から130人規模までの大手企業の情報を調べました。

まずは従業員数と売上の関係です。

Embcompanies1

全体的に人数が多いほうが売上も多い(そりゃそうだ)のですが、同じ人数規模でも10倍くらいの差があることがわかります。上のグラフは縦横ともに対数で直線に乗っているので、売上と従業員数は冪関数の関係にあることがわかります。

一人当たりの売上に直してみましょう。

Embcompanies2

まだよくわかりません。そこで、何をしている会社なのかで分けてみました。

例外はあるものの、第二次産業、つまり受託開発や自社ハードウェアを設計製造している会社の月当たり一人あたりの売上は200万円未満という結果となりました。

Embcompanies4

それに対して販売などの第三次産業に特化した会社は、一人当たりの売上は200~800万円程度で幅はあります。

次に原価率を見てみましょう。売上の中で仕入れがどれだけかかっているかという比率です。ちなみに、100-原価率=粗利率なのでグラフで下にあるほうが儲かっています。

Embcompanies5

受託開発といっても、自社でエンジニアをかかえて開発する会社もありますが、協力会社(ようするに外注)に任せたり、実質的な従業員が個人事業者として会社から受託するところもあります。そういうところは給与報酬が減って仕入原価は高くなります。各社とも外注との関係がいろいろなので、あまり特徴のあるグラフにはなりません。

経常利益率をみると、10%以上のスゴイところや、マイナスのところは除いてグラフにしてみると、概ね0~5%のところが多く、心の目で見ると人数に反比例するような傾向が見えます。つまり、大きい会社ほど間接部門が重くなっているのかもしれません。

Embcompanies6

特に、第二次産業か第三次産業かということで分かれはしませんでした。同族企業の役員報酬と従業員への外注を給与として計算するとまた別かもしれませんが。

調べた結果をまとめると、

  • 受託開発やハードウェア製造は、一人当たり月200万円いかなくてもめげることはない。一人100万円売れば存続はしていける。給料もそれなり。
  • 販売なら一人当たりの売上は高いけど、原価率が70%以上だと経営としては安定しない。原価率が50%台のところは伸びている。
  • 自社ハードウェアを作る会社も、受託開発も、私が調べた範囲では大差ない。

私の主観と偏見と狭い視野で見た限り、会社が伸び悩む壁とその原因は、

  • 500万円の壁・・・自分を安売りしすぎている
  • 1000万円の壁・・・社長のマンパワー分しか稼げていない
  • 3000万円の壁・・・販売数が少ない。人を効率的に使えていない
  • 6000万円の壁・・・効果的な広告が出せていない
  • 1.5億円の壁 ・・・市場が飽和している

こんな感じではないかと思いました。

逆に、一人社長で広告も出さずに1億を突破できるような会社はなさそうです。

本ブログでは言及しませんでしたが、ハードウェア製造や受託会社では、赤字や数年で大きく売上を落としたところも多くありました。ソフトウェアの輸入販売では、売れているうちは良いのですが売れなくなると大変厳しいだろうということが窺えます。大きく赤字になった会社は、人数が多いところは親会社に助けてもらったり、研究開発をやめてしまったり、創業者一族を残してリストラしているところもありました。

いろいろと分析していくと、どの程度の人数でどういう分野を進めていけば大きくなれるかということや、やってはいけないことがわかってきました。

もし、なひたふに直接会って話を聞きたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。より詳細な具体例や、どうすればよいのかということを含めてコンサルさせていただきます。

希望者が多い場合には「小規模組み込み業界研究会」と題したセミナーを開きたいと思います。

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2017.06.16

TexasInstrumentsのオンラインショップでADCを買う

1Gspsの超高速ADC、ADS54J60が16bitのデータを出してくれず、Digikeyの在庫がすべて事故品かもしれないという不安があったので、TIのオンラインショップで注文をしてみました。

すると、届いたInvoiceは・・

Ti_invoice

なんかDigikeyのと似ている。しかもミネソタ州Thief River Fallsの住所が書いてあって、これDigikeyじゃない!?

届いた袋も、シールも、Digikeyそっくりでした。

Ti_packing

チップのシルク印刷も、Digikeyで購入したときのものと全く同じ(AZ54J60 TI 594 ZRFK G4)でした。

Np1089_2

一応、TI Online Shopで購入したADCに貼り替えてみて、それでだめなら日本TIにサポートをお願いすることになると思います。

Digikeyは、倉庫業や販売代行業もやっているのですね。きっと。

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2017.06.14

ハードウェアフーリエ変換器の納品

FPGAを使ったハードウェアフーリエ変換器を納めに行ってきました。

Hwfft

Cosmo-Zの下に、18bit 8ch 5MHzのADCを搭載しています。

ZYNQのPL部分に2ch分のハードウェアFFT回路が搭載されていて、65536ポイントのFFTを毎秒150回程度で切れ目なく連続して行うことができます。

ただ、整数演算での16bit精度での演算なので、計算誤差が目立ちます。

次回は浮動小数点にしたいという要望をいただきました。

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2017.06.09

ADS54J60を交換してみたけれど

16bit 1Gsps 2chの高速ADC「ADS54J60」がどうも14bitの精度しか出ておらず、またTIのフォーラムにそのことを書いたら事故品かもしれない、という回答だったので、新しく購入したものと交換してみました。

以前の記事

これがそのADS54J60を搭載した基板です。

Np1089

しかし、その結果ですが、芳しいものではありませんでした。

入力が0Vのときのノイズのヒストグラムは4個に1個の櫛形になっているし、

Comb

ADCの機能を知らせるILASフェーズのデータを見てみても14bitであることを示唆しています。

Ilas

また、Digikeyで今回購入した部品も、前回購入した部品もシルクの印字が同じだったので、もしかしたら全部・・という不安さえよぎります。

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2017.06.06

ZYNQのAXI HPポートを250MHzで動かすにはレジスタが必要

古い設計で恐縮なのですが、ISE+XPSでZYNQの開発をするときの注意点を見つけました。おそらくVivadoでも同じだと思います。

こういう↓フーリエ変換マシンを作っていて、

Fft_machine

たまに起こる演算間違いをなくそうして、この問題に気が付いた次第です。

sun

さて、AXI HPポートを使ってPLからPSのDDR3メモリを読み出したいのですが、AXI HPポートのクロックを250MHzにすると、-1のスピードグレードのZYNQではタイミングエラーが出てしまいます。

-1グレードのZYNQは250MHzでHPポートを動かせない・・というわけではなく、XPSの設定画面を開いて、HPポートの各チャネルをFULLY_REGISTEREDにすればタイミングエラーは出なくなります。Vivadoの場合でもAXI Interconnectの中に似たような設定があります。

Interconnect Settings for BUSIFの中のS_AXI_HP1の設定で、以下の部分を変更します。

Fully_reg

ここのデフォルトの設定であるBYPASSというのは、AXIを100MHzとか125MHzで動かすためのものであって、クロック250MHzで動かす場合はレジスタを入れろと解釈できます。

レジスタを入れてレイテンシを増やして高い周波数でも動くようにするという当たり前の話です。

しかし、困ったことにAXIのプロトコルも変わってしまうのです。

下の図は、FULLY_REGISTEREDにしたときのAXIバスの波形です。DDR3メモリからデータを読み出すべく、バースト長256にして読み出しリクエストを発行しました。

Rvalid

何ということでしょう。

RVALID='0'なのに、RLAST='1'というパターンが出てきてしまうのです。

このパターンは出たり出なかったりなので、推測ですが、AXIのバーストリードを発行したものの、DDR3メモリがリフレッシュ等でデータを用意できないときに偶然、こういうパターンになるのかと思われます。

下の波形は、5回目のバーストまではうまくいっているのですが、6回目のバーストリードでLASTが出てしまってそれきりステートマシンがハングしてしまっています。

Last_5burst

データがまだ残っているのにLASTと判断しているため、この後の通信がハングしてしまっています。そこで、RVALIDが0ならば、RLASTは無視して、ステートマシンを止めないようにしたところ、続きから正しいデータを読み出すことができました。

このパターンはInterconnect Settings for BUSIFで各チャネルのUse RegisterをBYPASSにすると出ません。よって、FULLY_REGISTEREDにしたときに自動的に挿入されるロジックの問題だと思われます。

つまり、RVALID='0'かつRLAST='1'は無視して良いのだと思います。

このようにすることで、250MHzでAXI HPポートを安定して動かすことができるようになりました。

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