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2017.06.20

組み込み業界、零細~中小企業20社の財務情報を分析してわかったコト

電気電子・組み込み・ソフトウェア業界は参入障壁の低い業界です。

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部品を買ってきて小さなモジュールを作ってネットで販売すれば一人前の業者になれるのですから、趣味が高じて起業したという人も多いでしょう。販売が得意な人、回路を作るのが得意な人、綺麗なWebサイトを作るのが得意な人、いろいろな得意分野で起業をすると思います。

かくいう私もその一人です。

しかし、会社がなかなか大きくならない・・と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

おそらく年商1000万円までは簡単にいくのですが、3000万円、6000万円、1.5億円と会社が成長するにしたがって4つくらいの壁があるように思えます。

ならば、壁を突破するときに具体的にどうすればよいのか?

参考になるのは、ビジネス書でもなく、過去の偉人の発言でも、整理整頓やトイレ掃除でもありません。(ただし風水は効く)

それは他社の情報を分析することです。自分より大きな会社がどのような商売をして大きくなっているのか、もしくは、どういう商売をすると伸び悩むのか。それを調べなければならなりません。

しかし、電気電子の大企業の動向を調べても全く役に立ちません。

知りたいのは、数千万円規模の会社がどうやって成長していくかという身の丈にあったデータなのです。なお、会社の情報は個人情報とはちがって、一般的には公開されています。非上場の零細企業であっても、調べようと思えば決算書を見ることができます。

そんな身の回りにある、電気電子組み込み業界の20社ほどの情報を十数万円かけて調べ、内藤の狭い見識で分析しました。

まず、元となるデータです。いろいろ配慮してモザイクをかけておきます。

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1人規模の個人企業から130人規模までの大手企業の情報を調べました。

まずは従業員数と売上の関係です。

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全体的に人数が多いほうが売上も多い(そりゃそうだ)のですが、同じ人数規模でも10倍くらいの差があることがわかります。上のグラフは縦横ともに対数で直線に乗っているので、売上と従業員数は冪関数の関係にあることがわかります。

一人当たりの売上に直してみましょう。

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まだよくわかりません。そこで、何をしている会社なのかで分けてみました。

例外はあるものの、第二次産業、つまり受託開発や自社ハードウェアを設計製造している会社の月当たり一人あたりの売上は200万円未満という結果となりました。

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それに対して販売などの第三次産業に特化した会社は、一人当たりの売上は200~800万円程度で幅はあります。

次に原価率を見てみましょう。売上の中で仕入れがどれだけかかっているかという比率です。ちなみに、100-原価率=粗利率なのでグラフで下にあるほうが儲かっています。

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受託開発といっても、自社でエンジニアをかかえて開発する会社もありますが、協力会社(ようするに外注)に任せたり、実質的な従業員が個人事業者として会社から受託するところもあります。そういうところは給与報酬が減って仕入原価は高くなります。各社とも外注との関係がいろいろなので、あまり特徴のあるグラフにはなりません。

経常利益率をみると、10%以上のスゴイところや、マイナスのところは除いてグラフにしてみると、概ね0~5%のところが多く、心の目で見ると人数に反比例するような傾向が見えます。つまり、大きい会社ほど間接部門が重くなっているのかもしれません。

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特に、第二次産業か第三次産業かということで分かれはしませんでした。同族企業の役員報酬と従業員への外注を給与として計算するとまた別かもしれませんが。

調べた結果をまとめると、

  • 受託開発やハードウェア製造は、一人当たり月200万円いかなくてもめげることはない。一人100万円売れば存続はしていける。給料もそれなり。
  • 販売なら一人当たりの売上は高いけど、原価率が70%以上だと経営としては安定しない。原価率が50%台のところは伸びている。
  • 自社ハードウェアを作る会社も、受託開発も、私が調べた範囲では大差ない。

私の主観と偏見と狭い視野で見た限り、会社が伸び悩む壁とその原因は、

  • 500万円の壁・・・自分を安売りしすぎている
  • 1000万円の壁・・・社長のマンパワー分しか稼げていない
  • 3000万円の壁・・・販売数が少ない。人を効率的に使えていない
  • 6000万円の壁・・・効果的な広告が出せていない
  • 1.5億円の壁 ・・・市場が飽和している

こんな感じではないかと思いました。

逆に、一人社長で広告も出さずに1億を突破できるような会社はなさそうです。

本ブログでは言及しませんでしたが、ハードウェア製造や受託会社では、赤字や数年で大きく売上を落としたところも多くありました。ソフトウェアの輸入販売では、売れているうちは良いのですが売れなくなると大変厳しいだろうということが窺えます。大きく赤字になった会社は、人数が多いところは親会社に助けてもらったり、研究開発をやめてしまったり、創業者一族を残してリストラしているところもありました。

いろいろと分析していくと、どの程度の人数でどういう分野を進めていけば大きくなれるかということや、やってはいけないことがわかってきました。

もし、なひたふに直接会って話を聞きたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。より詳細な具体例や、どうすればよいのかということを含めてコンサルさせていただきます。

希望者が多い場合には「小規模組み込み業界研究会」と題したセミナーを開きたいと思います。

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