トランジスタ技術2018年11月号に掲載されました
発売日になるまで黙っていましたが、トランジスタ技術11月号の特集「私の人工知能チップ製作」の第1章から第3章に、記事が掲載されました。
今回の特集記事では、トラ技の本来の趣旨である「プロのビギナーのための記事」に徹し、人工知能(AI)の基礎とFPGA化のやり方を中心に執筆いたしました。
最初に考えた記事のプランでは、NNとCNNを両方作って比較したり、リアルタイム性にこだわってカメラ画像→DDRメモリ転送→即座にAIで推論、とかいうのをやろうと考えていたのですが、それだと初心者を置き去りにしてしまうのではないかと思われました。
現在のFPGAによるAI実装の最先端は、すでにビギナーの方には追い付けないほど先に進んでしまっています。
「FPGAが如何にすごいか」「こんなすごいものを作ったぞ」というスタイルで記事を書くと、すでにわかっている方にしか理解できない記事となってしまいます。トラ技の目指すところを念頭において初心者向けに何度か書き直しました。
はじめてFPGAやAIに接する人でもわかりやすくなるよう、自分がAIの勉強を始めたときの気持ちを思い出しながら、用語解説やAIの基本的な部分を中心に執筆いたしました。バリバリのプロの方には物足りないかもしれませんが、ご容赦くださいませ。
幸いなことに第4章にマーシーさんが書いてくれたCNNの記事があるので、全体として見れば第一線のプロの方でも満足いただけるような構成になっているかと思います。
●記事で使用したFPGAボードについて
本特集3章の内容は、CMOSカメラで撮った猫画像をFPGAで認識させるというものです。
使用したFPGAボードはRasppberry Pi型のFPGAボード「Zynqberry(ジンクベリー)」です。ZynqberryにUbuntu LinuxとSDSoCをいれて猫画像を認識させています。
写真1 Raspberry Pi型のFPGAボード「Zynqberry(ジンクベリー)」
Zynqberryのようなユニークなボードにも焦点が当たればよいなと感じています。
●記事で使用したCMOSイメージセンサについて
本記事では、Raspberry Piカメラを使用して画像をキャプチャしています。Raspberry Piカメラの入手は大変容易です。
写真2 どこでも手に入るRaspberry Piカメラ
Raspiカメラは、Amazonや秋月、千石などで互換品も含めて簡単に入手できます。なお、本記事で試したのはRaspiカメラのV1.3です。2.1では試していません。
下の写真は、猫画像を認識させているときのようすです。
カメラで撮った画像を1280×720→32×32に縮小しているわけですが、画面いっぱいの画像を32×32に縮小してからNNに入れるので、なかなか距離感が難しいです。
写真3 「Zynqberry」にCIFAR-10を入れて猫画像認識
現時点では全く実用的なAIではありませんが、SDSoCのソースは公開しているし、超絶技巧は使っていないので、わかりやすいと思います。
ぜひいろいろ試してみてください。
この記事が、これからFPGA×AIをしようという人の一助になれば幸いです。
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