Cosmo-ZとNaIで、ポジトロンのピークを見る
陽電子を放出する18F の放射線源が手に入ったので、NaIシンチレータ+PMTをCosmo-Z (Mini) につないで測ってみることにしました。
まず最初の感想として、すげー!のひとこと。
いままで宇宙線ばかり見てきたけれど放射性同位元素はやっぱり違う。シンチレータを近づけると毎秒20万カウント。家の中に帰って来るだけでカウント数が跳ね上がる。宇宙線やコンクリからのバックグラウンドが毎秒80カウントくらいしか出ていなかったので、いままで見たことのないカウント数。イベントカウンタを32bitにしておいてよかった。
まずは、18Fのない状態。4時間程度測っています。見えているのは40Kのピークのみ。
次に、かなり遠い場所に18Fがある場合。1046秒測定。
新たに表れたのが511keVのピークでしょう。
ここまでの解析はオフライン解析だったので、Cosmo-ZのFPGAを入れ替えてリアルタイムに見えるようにしてみます。
まず、18Fの線源から1メートルくらい離したときの計測。計測時間は178秒。
次に直近まで近づけたとき。わずか25秒でこのカウント数。うひょ。
さて、よくみるとピークの位置がすこし右側にずれています。
これはなんだろうということで生の波形を見てみると、パイルアップが多く起きていました。
パイルアップが起きない程度に離さないとピークの位置がずれますね。
あと、1us程度の幅の信号を80MHzでサンプリングしているのでノイズによるガタガタが目立ちます。波高値のみを見ているのでMCAのピークの幅が増えるという精度が悪化の原因になっているはずです。
そういうわけでTiming Filter AmpとBaseLineRecovererをONにしてみました。
波形がつるつるになってノイズが減っているわけですが、積分回路に通してこの波形をつくっているわけなので時系列的に見れば全体を平均化した値からピーク値を推定していることになるのでしょう。
TFAとBLRをONにしてMCAで測ってみたスペクトラムです。
少しだけ半値幅が減ったような気がしますが、パイルアップは消せません。
Cosmo-Zの次の目標としては、カウントレートが高い場合にパイルアップを消すためのフィルタを作るということと、リアルタイムMCAの使い勝手を向上させることだと思います。
さて、だいぶん一通りデータが取れたので、夜9時ごろの我が家の放射線のスペクトルを見てみます。
511keVと1461keVのピークがはっきりわかります。NaIの較正ができそうですね。
最後に翌朝に家の中を取ったものです。18Fの半減期は100分程度なので、翌朝にはほとんど残っていませんでした。
1日でほとんどすべて消えるというのも素晴らしいですね。
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