2021年のまとめ
今年の最初に立てた目標がどのくらい達成できたかを見てみます。
- Spartan-7ボードのサンプルデザインを作成し、量産開始
→48台まで製造したがMIPI CSIの回路に問題があり、量産は見合わせ。 - Cosmo-K DVIの量産開始
→同様にMIPI CSIの回路の問題、HDMI 1080pを2chで受信する際のクロックリソースの不足などが判明し、量産は見合わせ。Cosmo-K DVIはディスコンにすることに。 - Cosmo-ZのFPGAデザインの大幅な更新と、ユーザフレンドリなUIの開発
→デザインの大幅な更新はしていないが、ユーザフレンドリなUIは開発を開始。 - Trenz商品紹介サイトの高度化
→達成できたかも、 - HyperFADCのサンプルデザインの開発と販売開始
→旧デザインを動かしてみて問題があることは分かったが、それ以上の開発はしていない
ということで、100点満点中15点くらいでした。
さて、1月から順にやったことを見ていきます。
1月
某社からの受託開発をメインに行っていました。その中で任意波形が出力できるファンクションジェネレータが必要になったので、Cosmo-Z MiniのFPGAを改造して任意波形のファンクションジェネレータを作成していました。
また、Cosmo-K DVIの注文が入ったため、過去に起きた製造不良の原因究明を行い、XILINXのVideo DMAなど一連のVideo IPの使い方を調べていました。
2月
引き続き某社からの受託開発案件を行っていたようです。その案件では取り扱う電圧などをADCの生の値ではなく、FPGAの中のレジスタに格納する値などでも電圧として扱わなければならなかったので、かなり苦労していたようです。
そのほかには、NahiVivaを正式にリリースしたり、住宅ローンの申請などをしていました。
3月
Cosmo-K DVIの納品に合わせて、Cosmo-K DVIの回路を自分で設計しなおそうと考えていたようです。
また、このころから部品の入手が難しくなってきていたようです。KSZ9031Rの最終在庫をかろうじて入手したり、PericomのPI6PCIEB24ZDEXが入手できなくなって、Cosmo-ZやCosmo-Kの製造が危ぶまれるようになってきました。
あと、「ZYNQに100MのイーサをRMIIでつなぐ(前編)」などという記事もあります。Vivadoがアップグレードすると一部のIPコアがなくなってしまうようで、それの対策方法です。
4月
Cosmo-ZやMITOUJTAGの次の方針を考え始め、Cosmo-ZのAPIにTCP/IPで接続する方法を考えました。また、部品難が激しくなってきたので、手元にあって使われていなかったRXマイコンを再びヤフオクで放出しようと考えていました。また、ZYNQでCANを使う方法などを解析していました。
ショッキングだったのは、レベル変換ICのADC3308が発振してしまうということです。双方向レベル変換ICは使い方を間違えると発振します。WioTerminalというのを買って遊んでみようとしましたが、ほとんど手を付けていませんでした。
5月
Cosmo-ZのAPIにTCP/IPで接続する実験を始め、実際に波形の転送などができることを確認しました。Windowsで動くCosmo-Zのアプリを開発する下地ができてきました。また、Cosmo-Zでヒストグラムを取る際にノイズを定量的に測しました。
また、RasPiカメラをFPGAで操作するための方法をいろいろと調べてMIPI CSI2の実験をしていました。
他には、「Windowsのデバイスドライバをマイクロソフトに送って署名してもらう方法」という記事を書いたり、Trenz社の全製品をデータベースに登録して在庫を検索できるようにしたりしていました。
6月
マンションを購入し住宅ローン返済生活が始まりました。80歳で完済予定なのですが、そのころにはFP爺Aになれるでしょうか。マンションの購入の手続きや、引っ越しの準備、片付けなどで忙しく、あまり仕事はしていなかったようです。
あと、特電の役員の選任登記を怠っていたので10年分の登記を行いました。
7月
部品入手難が深まってきて、EZ-USB FX3のROMにAT25XEしか入手できなくなりました。AT25XEはデフォルトで全セクタプロテクトという変態デバイスでした。
また、特電製品のパッケージの梱包材を減らしてコンパクトな箱にするというエコ化をはじめました。決してSDGsが目的ではありません。箱を簡略化するのはスポンジ屋さんが高圧的だからという理由も少しあります。
他には、RasPiカメラをFPGAで完璧に操作できるようになってきたり、TrenzのTE0808のベースボードの設計方法などを書きました。
それから、はじめてACRiルームを使ってみました。Youtuberをはじめようと思って「なひたふJTAGチャンネル」というのを開設しましたが、音声にエコーがすごく入ってしまうのと、撮影が大変なので中身はありません。来年こそは何かやりたいです。
8月
Pocket JTAG Cableのケースの在庫が尽きてきたので、新しいケースの作成を検討しはじめました。昔作っていたシールがすでに作れなくなっているので、どうしたらいいものかと。また、MITOUJTAGのJTAGスクリプトが最新のC++環境でも使えることの確認と、来年以降のMITOUJTAGの方針などを考えました。
それから、Cosmo-ZのOSをUbuntu18にする検証を行ったり、ZYNQのLinuxで使えるUSB-WiFiを探したりしました。
他には、USB3.0 SuperSpeedの裏表切り替えの仕組みを調べて理解しました。
住宅ローンを通してくれた信金さんからコロナ関係でお金を借りることができるようになりました。このお金には後々大いに助けられることになります。ただ、借金であって、支援金や給付金ではないので、全額返さなければなりません。
9月
ZYNQのLinuxとWindowsでTCP/IPの「ひっかかる感じ」がなくスムーズに通信をする方法を研究していました。大きな理由は名前解決にあったようです。また、タカチの金属ケースにCosmo-Zを入れるための図面を描いていて、今までの図面では0.5mmほどずれている原因がわかりました。
10月
Cosmo-Zで実用的な等価サンプリングができるように研究開発を行っていました。Cosmo-ZのWindows版アプリの開発を始めました。
また、Trenz TE0808のベースボードを設計し、UltraScaleで動くMIPI CSIの回路やUSB3.0の裏表切り替え回路を設計していました。
今年になっていくつかの簡単な基板の設計を請け負ったものの、時間ばかりかかって利益が出ない原因を考え、その反省から「基板設計の見積もり失敗の研究」を書き記しました。
部品難が極まってきて、Spartan-6の製造を終了することにしました。
11月
HyperFADCの旧デザインを解析したり、Cosmo-Zアプリの開発などを行いました。等価サンプリングが実用的になってきました。また、等価サンプリング用の鋭いパルスを作る回路を考案していました。
他には、基板設計見積失敗の研究をさらにすすめ電子回路設計における見積失敗の研究を書いたり、3年前に契約した倉庫の片づけをはじめました。
それから、3カ月前に注文していたPocket JTAG Cableの新しいプラスチック箱が届きました。絶対にメーカーさんが忘れていたと思われます。
12月
Kria KV260で少し遊んでみたり、MITOUJTAGでバウンダリスキャンできることを確認しました。
また、Cosmo-ZアプリにはExcelのファイルをエクスポートする機能を付けたり、連続的な等価サンプリングができるようにしたりなど、機能強化を行いました。パルス出力基板も設計したり実験したりしました。
総括してみると、部品難の影響もあって古い製品群の整理ができました。倉庫にしまっておいた古い時代の遺品の整理にも着手しました。
起業して17年目にして、「電子回路の設計請負で儲からない理由」がようやくわかってきました。
いろいろ回り道しましたが、来年はCosmo-ZとMITOUJTAGに注力していけそうです。
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