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2021.12.13

エミッタフォロアでGHzレベルの矩形波を送信!

Cosmo-Zを等価サンプリングを利用した反射波測定器にしようという案件が進んでいます。

パルスを送ってその反射波を測定して距離や媒質の長さを調べたりするのですが、矩形波のパルスの立ち上がりは鋭いほどよいのと、8ch同時に15mくらい同軸ケーブルで引っ張ってパルスを出すため、FPGAのI/Oを直接出すのは怖いので、パルス出力アンプを作ることにしました。

それがこの回路です↓。汚くてすみませんね。実験のため空中配線で作っているのと、40半ばで老眼なのかコンタクトレンズをしながら細かい配線が最近やりにくくなってきたのです。

Pulsecircuit

真ん中にある黒い物体が高周波トランジスタ。紫の配線の上にあるのがAC終端用コンデンサ。その下に埋もれているのがパスコンで、トランジスタの左にあるのがエミッタフォロア出力のダンピング抵抗です。

 

上の写真は完成形なのですが、最初に作った回路はこんな感じです↓。

Pulseamp2

ZYNQから出てくるLVCMOS18の信号を高周波トランジスタでエミッタフォロアして、SMAコネクタとADC用アンプの間に入れようとしました。エミッタフォロアの負荷抵抗はADCアンプの入力抵抗Riが兼ねているので、1つの抵抗に2つの役割を持たせたことでちょっとうれしくなっていました。

 

基本的にはエミッタフォロアの出力をアナログ入力に入れているだけなのですが、見事に発振しました。

Wave1_20211214005502

綺麗に振動していますね。200MHzくらいです。

ただ、これが本当に発振なのかどうかはわかりません。数百MHzの振動には発振と似たような現象がいくつかあって、

  • 本当の発振・・出力から入力に回り込み、ゲインが-1以上で位相が180度回転するなど難しい原因
  • リンギング1・・矩形波の高調波成分がLPFで見えなくなってsin 3ωの成分が残ることで振動しているように見える
  • リンギング2・・どこかに寄生したLC共振回路が励起されて電圧が振動する
  • 多重反射・・信号がいったりきたりして振動する

といった場合もあるからです。

だから、信号が波打つだけではアンプの発振だとは断言できません。本当の発振ならば指を近づけたときに周波数が変わったり弱まったりするのですが、今回はそんなに変わらなかったので発振ではない可能性が考えられました。

上のような振動する波形でしたが、8mの同軸ケーブルを分岐させてつないで反射させてみたところ、振動も一緒に反射しました。

Wave2_20211214010301

(カルガモの親子のようで可愛い波形です。寄生振動が一緒についてくることを何かに応用ができないでしょうか!?)

 

さて、回路に抵抗やコンデンサを切って貼ってして振動を抑える工夫をしていくのですが、その前にこの振動がホンモノの高速オシロでどう見えるかを見てみます。

あらためてCosmo-Zで測った波形が下の波形。CRを追加して少し発振を弱めています。

Wave3

同じものを20Gサンプリングで帯域2.5GHzのオシロ+アクティブプローブで見たものがこちら。

Eqs_20211214010901

完璧に一致していたので一安心です。Cosmo-Zの等価サンプリングが正しい波形をキャプチャしていたことが確認できました。ホンモノのオシロのほうが少し振幅が大きいですね。

 

いろいろな部分を触ってみて一番怪しかったのがトランジスタのベースです。ZYNQの出力に入っているダンピング抵抗の位置を変えたりベースを終端すると発振が弱くなります。

そこで、ベースをAC終端してみました。当初のエミッタフォロアが下の図のような回路になりました。

Pulseamp

終端のCとRの大きさはカットアンドトライで決めるしかないので、まずは3pFと100Ωでやってみました。かなり抑えられました。

Wave4

オシロで見た(今回はアクティブプローブではなくBNCケーブルで直結)波形はこちら。

Ac3p100ohm

AC終端によって劇的に振動が収まりました。やはりベースで多重反射していたのが原因のようです。オシロで見たほうが少しだけリンギングが大きく見えます。

 

次は10pFと100Ωの場合で↓の図。振動は収まったのですが波形の立ち上がりが鈍るようになってしまいました。(10pFの場合のオシロの波形は取り忘れた)

Wave5

 

次は7pFにしてみました。実際に取った波形が↓の図です。かなり理想に近い矩形波になりました。

7p100ohm

オシロで見てみると、

Ac7p100ohm

かなり良い。オシロで測った立ち上がり時間は1.2ns~1.8nsくらいでした。欲を言えば1nsは切ってほしかったけど、これ以上高速にするにはトランジスタを完全OFFや完全ONさせない微妙な電圧で動かすというのをやらなければならないのかもしれません。

  

これだけ綺麗な矩形波が出るなら反射波も綺麗に取れるかもしれないと思い、6mの同軸ケーブルをつないで反射させてみました。Cosmo-Zで取った波形が下の図。

Refrect6m

同じものを高速オシロで取ったものが下の図。

Ac7p100ohm2

Cosmo-Zの等価サンプリングで取れた波形と高速オシロで取った波形はほとんど同じでした。

 

これでFPGAのI/Oから直接ではなくトランジスタを介して、RiseTimeが1nsオーダーの立ち上がりのパルスを出力するということができるようになりました。次はこのトランジスタの出力回路を8個並べて、それでも同じように動くかどうかを検証しなければならないですね。・・・空中配線だとしんどい。

波形の振動が本当の発振なのか別の理由なのかという究明は行いませんでしたが、当初LVCMOSの信号をそのままトランジスタのベースに突っ込んだため多重反射でnsオーダーのリンギングが生じていたのではないかと思っています。

 

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