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2022.01.19

JTAGバウンダリスキャンを使ったFPGAの真贋判定サービスをはじめます

2022年に入ってからも電子部品の需給が相変わらず厳しい状況が続いています。現在の状況を一言でまとめると、Artix-7以降のFPGAであれば時間をかければ正規品が入手できますが、昨今の状況下ではそれ以前のFPGAの正規品はまず入手できません。

しかしながら、工場のラインなどでは10年、20年前に製造された機器はSpartan-3やSpartan-2、初代Spartanなど旧世代のFPGAを使用している基板のも多く、これらの製品はいまだに現役で稼働しています。そのような基板の再製造や保守には確実に旧世代のFPGAの需要も存在しているのですが、FPGAの流通在庫品の利用には偽物をつかまされるリスクがあります。

一般的にICの偽物には、異なるICのシルクを書き換えたものや、そもそも何も入っていないもの(石にピンを生やしただけの物)など、様々なバラエティがありますが、もし、偽物のICを知らずに実装してしまうと基板全体が動作しないばかりか、基板の他の部品を損傷したり、接続する他の装置を損傷するといった危険性があります。

Nisemono

昨今はマイクロスコープによる光学的確認や、X線による透視、I-V(電流電圧特性)カーブトレーサを用いた真贋判定が行われていて、真贋判定に特化したサービスを提供する会社もあり、それぞれの方法にはメリットデメリットがあります。

Juurai

これらの検査はどれも素晴らしいもので多くの真贋を判定できますが、XCS30とXCS40の違いや、XCF04SとXCF02Sのの違いなど、同一メーカー、同一ファミリで型番が異なるの判別ができません。なぜならば、同一メーカー、同一ファミリの製品では電源ピンやI/O、特定機能ピンの配置が同じであり、I-V特性もほぼ同じであるからです。

たとえば、Spartan-2のXC2S50のシルクを書き換えてXC2S150と称して流通在庫に流れてしまった場合、上記の従来の方法では判別することができません。

そこで、特殊電子回路では「同一ファミリ」内の贋物でも見分けられる方法として、JTAGバウンダリスキャンによる真贋判定を提案します。

その具体的な方法を説明します。まず、下の図のような検査基板を作成します。検査基板にはICソケットがあり、ここに検査対象のICを装着します。ICソケットにはQFP100,QFP144,QFP208,QFP240,BGA225,BGA324,BGA484,BGA676などを用意する予定です。また、検査基板はどんなICにも使えるよう、電源ピンの配置などは組み換え可能であるように設計します。

Kiban

この基板を介してICに通電することで消費電流を測ることができるので、シルクを書き換えた偽物ICや「中身なしIC」は即座に判別できます。

次にJTAGを通じてIDCODEを取得します。JTAGはほぼすべてのFPGAにあらかじめ組み込まれている機能で、ICの種類や、端子の状態を知ることができる、いわば工場出荷時の検査モードを実現するためのものです。JTAGのIDCODEはICの種類ごとに決まっているので、正常のIDCODEを読み取ることができれば、ICの中身は入っていて、少なくとも他のファミリでないことは判断できます。

Idcode_20220120034701

JTAGのIDCODEではデバイスに固有なので、メーカーはもちろんファミリや型番の違いが判別できます。

偽物を流通市場に流す悪徳業者は、安価で購入したICを高価なICに偽装するため、基本的には安価な偽造手口を使います。JTAGの回路やIDCODEを偽装したICを中に入れるということはまずありません。偽物のICであれば、電源投入時に電流異常で判断できるか、JTAGにアクセスできないか、もしくはより安いIC(例えばXC3S200Eを購入したつもりがXC3S50Eだった、など)のIDCODEが読み出されます。

このため、偽物のICかどうかが確実に見分けられるのです。ただし、XC6SLX45T-2とXC6SLX45T-3など、スピードグレードの違いや温度特性の違いはわかりません。

 

さらに、JTAGバウンダリスキャンを使えば、FPGAに何もプログラムされていない状態であっても、I/O端子を動かすことができるので、I/Oの端子のテストも可能です。中古品の正常性判定では、内部のワイヤが切れてなく正常に接続が維持されているかや、静電気や過電圧でI/Oが故障していないかどうかの判断などが可能です。

従来の方法とJTAGによる方法をまとめると下の表のようになります。

 

Hikaku_20220120032901

特殊電子回路では、このような「JTAGバウンダリスキャンによるICの真贋判定」というのを、サービスとして提供しようと考えています。

具体的にはお客様からFPGAをお送りいただいて、当社でJTAG検査を行います。当社ではIDCODEの照合と、全I/Oピンの入出力検査を行い、判定結果とFPGAをお返しするという形になります。

したがって、お客様はFPGAの現物をお送りいただくだけで良く、FPGAを使う回路の詳細や基板の仕様の提出は必要ないのでお客様の機密は保たれます。また、ツールを購入する必要も使い方を習得する必要もなく、現物をお送りいただくだけで利用可能です。

Flow

流通市場で入手したICが本物であるかどうかを確認する必要がある際には、ぜひとも特殊電子回路が提供する「JTAGバウンダリスキャンによる真贋判定」をご検討ください。

 

P.S. 

もし、このサービスにご興味がおありでしたら、Twitterで行っているアンケートにご協力ください。

https://twitter.com/nahitafu/status/1483635036624547843

 

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