12bit ADCは16bit ADCの代わりになるか?
昨日の実験で、12bit ADCでもLPFを通せば16bit ADCと同じような精度が出ることが確かめられました。それならば、16bit ADCは不要なのかということを考えてみたいと思います。
まず、KeysightのファンクションジェネレータEDU33212Aの信号を12bit ADCと16bit ADCで比較してみます。
下の図は12bit ADC + CICフィルタで取ったスペクトラです。
ほとんど差はありません。
500~1500kHzのあたりに-100dBクラスの高調波が何本も見えます。
次の図はVP7722Aの波形を12bit ADCで取ったものです。
次の図はVP7722Aの波形を16bit ADCで取ったものです。
基本的にどの波形もほとんど同じですが、EDU33212Aよりも高調波は少なくなっています。ただし、1300kHzや5000kHz付近に寄生発振かノイズか何かをひろっているのが見えます。
12bit ADCと16bit ADCのスペクトラムにほとんど差はないのですが、横に並べて比べてみると、16bit ADCのほうが5~10dBほどノイズフロアが低いことがわかります。
LPFを通してしまうと12bit ADCも16bit ADCもほとんど差はなく、高調波の差はない(歪率への影響はない)ことがわかります。その差はノイズフロアがわずかに減る程度であることがわかりました。LPFによって差の4bitに相当する信号が作り出されて滑らかになるためでしょう。
ただ、このことが言えるのは100MHzでサンプリングした信号を音声帯域~1MHzくらいまでしか使わない場合であるということを付け加えておきます。数10nsのサンプリング間隔でデータを利用したい場合は、やはり、16bit ADCを使わなければなりません。
まとめると、
- 音声帯域で使うならば12bit ADC+LPFと16bit ADC+LPFの差はわずかである
- 数十MHzのサンプリングデータをすべて使うなら16bit ADCを使う必要がある
ということです。
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