真贋判定装置の完成と検査実行
ようやくIC真贋判定装置が完成しました。
最初のターゲットは5月6日にWinSourceという流通在庫商社で買ったALTERA MAX2「EPM1270T144C5N」です。この部品は正規市場ではまず手に入りません。流通から買うしかないのです。
中央のバーン・イン・ソケットにMAX2を挿入していよいよ検査開始です。
なんだか、主人公が怪人に改造されてそうな絵図ですね。
このジャンパワイヤは何をしているのかというと、MAX2のVCCINTやVCCIOに2.5Vや3.3Vを与えるためのものです。
大量に並んだジャンパピンはソケットとCPLD間の配線を切ったりつないだりするのですが、下の図のような表をExcelで書いて、ジャンパピンのどこにVCCINTやVCCIO、GNDが来るかを整理しておきます。
そして、2.5Vや3.3Vを与えるべきピンにはジャンパワイヤで2.5Vや3.3Vの電源と接続するというわけです。
これで、電源とJTAGを通してスキャンしてみると・・・、ばっちり見えました!
発見されたのはEPM1270です。
流通在庫で購入したEPM1270T144C5NのJTAG IDCODEは紛れもなくEPM1270のJTAG IDCODEを持っていました。このICは本物であることが99.99%確定です。
もし、偽物のICや空っぽのICであればJTAGを認識すらしないでしょう。
もし、EPM240やEPM540のシルクを書き換えた模造品であれば、JTAGのIDCODEはEPM240やEPM540のものを示すはずです。中身まで書き換えることはできませんから。
そういうわけで、JTAGチェーンで認識されたというだけで99.99%本物であることが確定します。
最後に残る不安は、中古品を再生したものでI/Oが痛んでいるのではないかという懸念です。
この不安はJTAGバウンダリスキャンで払拭します。バウンダリスキャンというのは、ICを「工場出荷時のテストモード」のようなもので、JTAGのTCK,TDI,TMS,TDOの4本の線をつなぐだけでICの端子を自由に操作することができるモードです。ほぼすべてのCPLDやFPGAに内蔵されているので、バウンダリスキャンを使えば、FPGAやCPLDの中身を書くことなく、端子の接続検査ができるというわけです。
その結果は・・・
完璧でした。
一つのピンが欠けることもショートすることもなく、真贋判定基板上のCPLDと1対1での接続が確認されました。入力も出力も正常です。
すべての端子は活きています。
また、起動時の電圧・電流特性を測るため、電流の計測にINA180という便利なICを使ってオシロで記録しました。INA180はハイサイドの電流モニタ用ICで、抵抗の両端に生じる電圧を何倍かして電圧で出力してくれるというものです。本当は低い抵抗でいきたかったのですが4.99Ωの抵抗をVCC33とVCC18に挟んで、INA180B1(ゲイン20)で増幅して見ています。つまり、電圧で読んだときの100分の1が電流値[A]になります。
これが起動時の電流です。VCCINT(1.8V)への電流でチャタリングのように見えるパルス状の電流は、起動時に必ず7回起きるので、コンフィギュレーション回路なのでしょう。VCCIO(3.3V)はほとんど電流を消費していません。VCCINTのほうが電流を食うんですね。もし、偽物のICをつかまされていたらこんな電流にはならないでしょう。VCCとGNDがショートして数百mA流れているかもしれません。
かくして、流通在庫で購入したMAX2 CPLDは、真正なJTAG IDCODEを持っていて、かつ、すべての端子が正常に入出力できることが確認できました。
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