ディジタルロックインアンプに必要なADCのビット数
事業再構築の申請も無事に出せたので日常業務に戻ってきました。
今日は、ディジタルロックインアンプを作るときに、12bit、14bit、16bitのADCで差が出るかどうかを検証しました。
やり方はKeysightの任意波形発生器(AWG)で正弦波を作り、その正弦波の振幅を0.5mV~50mVまで少しずつ大きくしていくというものです。
まず、12bitのADCを使った場合。振幅5mVppくらいの時の波形は少しカクカクしています。
0.5mVから50mVまで振幅を上げていったところ、綺麗な直線に乗ります。
この計測値が直線からどれだけずれているかを差分を取ってみてみると、下の図のようになりました。
誤差は多くても0.12mVくらいといえます。
この誤差はAWGの中でレンジが切り替わるときに出るもので、AWG自身の誤差です。
誤差が大きく変化するときにはAWGからカチッという音がします。AWGはDACと乗算器で信号を作っているのではなく、抵抗のアッテネータがいくつもあって、それを切り替えることで様々な振幅の正弦波を作るようになっているからです。DACをフルに近い振幅で出力させることができるのでS/N的に有利になるかだと思われます。
つまり、ロックインアンプを作ることで、KeysightのAWGが出す振幅の誤差を測れるようになったというわけです。
ADCを14bitにすると生波形でのカクカクは見えなくなります。
ロックインで測ってみると、
同じような傾向のグラフが得られます。
16bit版のADCで測っても、
やはり、同じ電圧のところでギザギザします。
ADCのビット数が多少悪くて量子化誤差が出ていたとしても、ロックインアンプのように長時間積分するタイプの計測では均されてしまって影響がでないのだと思われます。
この12bitのADCの1LSBの分解能は244μVですが、それよりはるかに小さい10uV未満の信号を図ることができます。
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