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2023.05.03

IC真贋判定装置で様々なFPGA/CPLDを試す

IC真贋判定装置を開発しています。

今日は144ピンのデバイスを中心に動作確認を行います。

この真ん中のソケットにFPGAやCPLD、マイコンを挿して、周囲にある大量のスイッチで電源やGNDを与えられるようになっています。

Qfp144_20230504005701

まずはSpartan-6のTQ144ピンです。型番はXC6SLX9-2TQ144C。

Sp61

無事に認識されてバウンダリスキャンもできました。

Sp65

HSWAPENというピンを操作すると、I/Oピンがプルダウンになったりオープンになったりするのが切り替えが見えて面白いと言えます。

Sp62 Sp63

 

次はALTERA(INTEL)のMAX5。型番は5M570ZT144C5Nです。

Max51

このように電源を与えるとJTAGでも認識され、バウンダリスキャンで操作した端子の状態と、IC検査装置で測った端子の電圧は一致するようになりました。

Max51_20230504004101

 

次はIntelのCyclone4。

Cy43

Cyclone4のQFP144ピンパッケージは裏面にEパッドという145本目のパッドがあります。実は、このパッドは内部で他のGNDにつながっていないようなので、GNDに接続してやらなければなりません。そのため、ソケット基板を改良してラッピングワイヤで作ったバネでEパッドに接触させるようにしたら動きました。

Cy42

電圧はVCCIOだけではなく、VCC=1.2V、VCCAやVCCD_PLLで2.5Vなど様々な電圧が必要です。でも、当社のICテスタは任意の4種類の電圧を与えられるので問題ありません。

Cy43_20230504004301

大変苦労しましたが、これも問題なく認識してくれました。

Cy44

JTAGバウンダリスキャンで見た端子の状態と、ADCで測った端子の電圧が一致しています。

Cy45

 

最後はBGA256ピンのCyclone10です。これまでにMAX2、MAX5、Cyclone4などで練習してきた甲斐があってALTERAの電源接続にも慣れてきました。

Bga2561

ICが薄いのでソケットに少し工夫が必要でしたが、

Bga2563

このICも、JTAGで認識してくれて、

Cy101

JTAGバウンダリスキャンで端子を操作し、その値をADCで読み取るということができました。

Cy102

 

結果として、BGA256、QFP144、QFP100、BGA324の様々なICをソケットに装着して、電源を投入し、JTAGバウンダリスキャンでIDCODEを見たり端子を操作したりするということに成功しました。

もし、偽物のICであればJTAGのIDCODEが違っていたり、そもそもJTAGを認識しなかったり、電源に異常な電流が流れたりするのでわかります。

また、このIC検査装置ではバウンダリスキャンでICの端子を動かして、その結果の電圧をADCで測れるので、端子が活きているかどうかを調べることができます。

偽物ICなら一発でわかるというわけです。

 

流通在庫の偽物ICよ、かかってこい!

 

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コメント

偽物ってこの範囲の測定で判別しきれるのだろうか?
半導体不足以前からの有名どころだと、FT232などでオフィシャルドライバが破壊作業(動作しないIDへの書き換え)を実装するくらいには互換性はありつつ挙動は違う互換ICが流通してたらしいけれど、そういうのだと表面的な挙動自体は同じで細かいアナログな測定値やUSBプロトコルより上の何処かにある挙動の違いを見なきゃならんだろうし(しかも正規品にもリビジョン差があるので正解パターンのリストアップも必要)、
フラッシュメモリ界隈で市販品に不正品が載ってて話題になった奴だと「正規品の不合格品が流出したのを載せたらしい」みたいな話のもあって、そういうレベルだとメーカーの選別作業レベルの診断しないと違いが見えなさそう。
書き込み機とかが騙せる騙せないの境界辺りでそもそも動かんレベル付近の奴は見えるだろうけど、初見では動く奴はどの位判別できるんだろう?
こればっかりは偽物市場のトレンド次第よな……だから、CPLD/FPGA界隈ならこういうので測れるって前提があったり、そもそも正規品と偽物の挙動情報データベースって大仕事が必要だろうからそのあたりでこの辺は対処するのかなぁ……?

投稿: とおりすがり | 2023.05.06 18:35

>偽物ってこの範囲の測定で判別しきれるのだろうか?

この範囲で十分です。

まず、現状の半導体の真贋判定はX線や開封しての顕微鏡検査や外観検査が主流で、FPGAやCPLDに対して意味のある電気的な検査ができるところはありません。既存の会社にFPGAの判定を依頼すると、マニュアルプローバで適当な端子2~3本に電圧かけてI-V特性を測るという検査方法を提案してきます。既存の電気的検査というのはそのレベルです。

それに比べて圧倒的にレベルの高い検査を提供するのが本事業です。

メーカーから不合格品が流通した場合は残念ながら判別できません。ただし、XILINXの比較的新しいFPGAであれば1個1個にふられたDEVICE DNAというのがあるので不正流出品かどうかはわかります。(XILINXから不合格品が流出するようなことはないと思いますが)

数百円のシリアルROMにも1個1個にユニークなIDがふられているくらいですから、そういうIDを取得してメーカーに照会すれば何かわかるかもしれませんね。

OPアンプや電源ICの偽物って、似たようなピン配置で単純な機能だから、作るのも簡単で、偽物が出回っているそうです。こういうのは本装置では判別は難しいでしょう。
FTDIの偽物ようにみんなが使うICは、作る方も相当な気合とコストをかけて作っているのでしょうね。よほど売れる自信がないと作る意味はありません。

FPGAやCPLD、CPUの偽物をウェハから作るのはコストがかかりすぎて誰もやりません。まぁ、国家ぐるみで国営企業を使ってスパイ品を作って相手国の防衛製品に入れるような覚悟があれば作れるでしょう。実際にやっているかもしれませんし、それは判別できないかもしれません。Device DNAを取得すればわかりますね。

だから、FPGAやCPLD、CPUの偽物って、詳しくは言えませんが、既存の中古品を洗浄したりマーキングを書き換えたりして作られているはずです。そういうのを見分けるのが本装置なのです。

投稿: なひたふ | 2023.05.06 19:55

レスありがとうございます。
中古品は判別できるんですね。
IDとマーキングとロット情報の矛盾から判定する感じだとすると、抽出元が単一ロットでその情報を再現してデッドストック名乗られたりさえしなければカバーは出来そうですね。
不合格品の流出はintelのフラッシュも流出の可能性が疑われてる事と、ザイリンクスがファブレスである事を考えるとあんまり油断は出来ない気もしますが、現状出回るルートが構築されていないのであれば当面は問題なさそうな感じはしますね。
ウェハから作られる可能性はコスト的に無いってのはその通りですね。ちょとこの辺は話を混ぜ過ぎました。
ウェハレベルで偽造する相手だと既製品潰して抜いたデータ入れて製造くらいもしてきそうですが、コスト的にウェハ作るよりチップ入った製品の方で小細工する方が圧倒的に安そうで想定不要っぽいのは同じですね。

なるほど、不合格品流出ルートの確立とか、Device DNAの脆弱性が見つかって改竄可能になっちゃう等の、現状では未確認の脅威が発生しなければほぼ問題ないんですね。

投稿: とおりすがり#1 | 2023.05.07 13:11

大変失礼なことを申しますが、利益はどうやって出すのでしょうか。

たとえば真贋判定のために高い判別装置を、しかもICごとに治具を購入するのは割に合わない気がします。

大企業ならそもそも商社があるので贋物を手にしてしまうことはないでしょうし、
おのずと贋物をツカまされる中小企業に需要があると思います。

装置販売ではなく、贋物判定サービスにはなると思いますが、都度送って真贋判定を出すというサービスに、いくらの価格を設定するのか。

IC本体価格より高いなら依頼側にも疑問符がつきます。

変な話ですが、ジャンクで安価なICを大量に買って真贋判別したものを販売するという、半導体デバイス商社の道具として使った方が、よっぽど利益が見込まれるような、変な話ではあります。

もっとも単価が大きいのは半導体検査市場でしょうが、寡占市場ですね。

投稿: あ | 2023.05.20 03:06

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