Cosmo-Z Mini2でゲイン可変回路を使った場合の歪
Cosmo-Z Mini2のゲイン可変回路で、OPアンプにLMP7715を使った場合、大きな歪(-70dB程度)が出ることがわかりました。
歪が出る条件は、
- LMP7715を使用する
- 入力電圧が0.3~0.5V付近で大きくなる
- 周波数が300kHz~1MHzで出てくる
というものです。
OPアンプの出力をオシロで見てみると、こんな小さな歪があるんですね。
周波数を上げていったり、
振幅を増やしたりするとこの歪が徐々に大きくなっていきます。
結果的に、こういう大きな歪が生じてしまいます。
おそらくレールツーレールの回路を実現するために、上側と下側の両方の回路が中に入っていて、それを切り替えるところで歪が生じてしまっているのでしょう。17MHz帯域のOPアンプではありますが、実際に使えるのは100kHzといったところでしょうか。振幅を下げれば歪は生じないのですが、それだと0.5Vくらいのアプリケーションで困ってしまいます。
このように歪を生じているのですが、入力のアナログスイッチでこのOPアンプを使わないモード(bypass)にしても、歪が出てきてしまいます。
それは、使っているアナログスイッチはOFFのアイソレーションは十分なのですが、端子間容量が20pFもあるのです。
1MHzでは20pFの容量は8kΩですから、このOPアンプが歪だらけの信号を出していると、アナログスイッチをOFFにしても歪が漏れてきてしまうというわけです。
この問題はなかなか対処が難しく、LMP7715を使わなければよいのですが、代わりになるOPアンプがなかなか見つかりません。
ADA4841というのも計測用のメジャーなOPアンプでイイ感じなのですが、入力バイアス電流が3~5.3uAもあります。入力の50Ωを切り離すと1MΩとの間で3V~5.3Vもの電圧を発生させてしまいます。
LTC6252とLTC6228も同時に試しましたがどうしてもバイアス電流と1MΩで生じるオフセットが大きくなってしまいます。
1MΩの入力インピーダンスでも正確な電圧が測定できて、50MHz以上の帯域を持ち、歪もノイズも増えない、というアナログフロントエンド回路を作るのは楽じゃないですね。
たかが倍率x1のバッファを作るのがどうしてこんなに難しいんでしょうね。
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