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2023.07.09

Cosmo-Z Mini2でゲイン可変回路を使った場合の歪

Cosmo-Z Mini2のゲイン可変回路で、OPアンプにLMP7715を使った場合、大きな歪(-70dB程度)が出ることがわかりました。

歪が出る条件は、

  • LMP7715を使用する
  • 入力電圧が0.3~0.5V付近で大きくなる
  • 周波数が300kHz~1MHzで出てくる

というものです。

OPアンプの出力をオシロで見てみると、こんな小さな歪があるんですね。

Scope_35

周波数を上げていったり、

Scope_33

振幅を増やしたりするとこの歪が徐々に大きくなっていきます。

Scope_36

 

Scope_39

Scope_37

結果的に、こういう大きな歪が生じてしまいます。

おそらくレールツーレールの回路を実現するために、上側と下側の両方の回路が中に入っていて、それを切り替えるところで歪が生じてしまっているのでしょう。17MHz帯域のOPアンプではありますが、実際に使えるのは100kHzといったところでしょうか。振幅を下げれば歪は生じないのですが、それだと0.5Vくらいのアプリケーションで困ってしまいます。

 

このように歪を生じているのですが、入力のアナログスイッチでこのOPアンプを使わないモード(bypass)にしても、歪が出てきてしまいます。

Gainsw

それは、使っているアナログスイッチはOFFのアイソレーションは十分なのですが、端子間容量が20pFもあるのです。

1MHzでは20pFの容量は8kΩですから、このOPアンプが歪だらけの信号を出していると、アナログスイッチをOFFにしても歪が漏れてきてしまうというわけです。

この問題はなかなか対処が難しく、LMP7715を使わなければよいのですが、代わりになるOPアンプがなかなか見つかりません。

ADA4841というのも計測用のメジャーなOPアンプでイイ感じなのですが、入力バイアス電流が3~5.3uAもあります。入力の50Ωを切り離すと1MΩとの間で3V~5.3Vもの電圧を発生させてしまいます。

LTC6252とLTC6228も同時に試しましたがどうしてもバイアス電流と1MΩで生じるオフセットが大きくなってしまいます。

1MΩの入力インピーダンスでも正確な電圧が測定できて、50MHz以上の帯域を持ち、歪もノイズも増えない、というアナログフロントエンド回路を作るのは楽じゃないですね。

たかが倍率x1のバッファを作るのがどうしてこんなに難しいんでしょうね。

 

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