2024.06.30
2024.06.26
マイクロストリップラインでのバンドパスフィルタの設計
マイクロストリップラインでバンドパスフィルタを設計するやり方にはいくつかあるのですが、
- ヘアピン型
- λ/2の線路を並べるタイプ
- λ/4の線路を並べるタイプ
などがあります。
λ/4はコンパクトにできそうですが、各ラインの端をGNDにビアで接続しなければならないので、周波数が高くなると実現が困難になってくると思われます。
そこで、λ/2の線路を並べていくタイプのBPFを設計しているのですが、こんな感じになります。
おそらく、1つ1つの線路が透過させたい周波数のアンテナになっていて、アンテナの端っこが互いに電界結合しているのだろうと思われます。
比較的簡単に設計できるのですが、このタイプは回路が巨大になりすぎるという欠点に気が付きました。
1GHzくらいのフィルタを作りたい場合、30cmくらいになってしまいます。
マイクロストリップラインで1GHzのBPFを作ることは現実的ではないと悟りました。
2024.06.25
PINダイオードスイッチの改良
PINダイオードスイッチで16GHzを確実にON/OFFできるよう、ダイオードに並列にコイルを入れてみました。
「RFワールド No.28 マイクロ波回路の基礎/設計/製作法」によれば、ダイオードスイッチのOFF時の容量と共振するようなインダクタを並列に付けて、特定の周波数でのOFF比を高めるということでした。
それで、ダイオードに並列にインダクタを入れたのがこちらです。
インダクタだけだと直流を流してしまうので10pFくらいのコンデンサとインダクタを直列にして直流を阻止しています。10pFのコンデンサは16GHzにとってはほぼ導体ですから。
その結果ですが、いままではっきりとOFFできなかったものが、
こんなにしっかりとOFFできるようになりました。ON/OFF比は12dBくらいでしょうか。
なお、このPINダイオードはガラスパッケージで割れやすいので、取り扱いに要注意です。
2024.06.18
2024.06.14
偽物ICに関する書籍を入手して長文の理由書を提出
事業再構築補助金の事務局から「収益計画を出せ」という、交付規定にも乗っていない要求をされていたので、収益計画を作成しました。
そのときのいろいろな数値の根拠になったのはこの本です。
直訳すると、偽物集積回路という本なのですが、泣く子も黙るSpringerという超有名な科学記事の出版社の本です。
この本はさまざまな偽物ICに関する査読付き論文を集大成した本で、内容は科学的に真実であると考えられていることがまとめられています。
2015年の出版なのですが、偽物ICの市場は数十兆円になるし、偽物といっても中古品をリサイクルしてきたものから、半導体を製造委託した工場でデータが不正に流出してパチモンを作られたものから、いろいろあります。CPUのスピードグレードを改ざんしたものも偽物に入ります。
そう考えると市場規模は数十兆円になるかもしれません。
こうして作成した理由書がこちらです。↓
全体で15ページにもなりました。
偽物ICのうちFPGAに関する市場規模の推定や、需給の予測など、さまざまな企業秘密レベルの内容を盛り込んであります。
これで実績審査に通ってくれるといいのですが。
2024.06.09
Trenz社の在庫量をグラフ化するツールを作りました
TrenzElectronic社のFPGAボードは小型で高機能、そして安価なのですが、必要なときに在庫がなかったり納期がかかるので悩んでいる・・という方はいませんか?
そんなあなたのために、いつ発注すればいいかのタイミングを見極めるツールを作りました。
https://trenz.jp/からマイページにログインして、在庫検索を行います。
そして、小さなグラフアイコンをクリックすると・・
このような感じでメーカーの在庫数がグラフ表示されます。
実は、特電では2018年からTrenz社の在庫数量を毎日記録していたのです。それをグラフという形で可視化することにしました。
あんな製品や、
こんな製品。
在庫数がどのように変わっていくかを見ることができます。
もうすぐなくなりそうだな、と思ったら、無くなる前に発注してください。
ご注文お待ちしております。
2024.06.07
PINダイオードスイッチを作ったが、OFF特性が悪かった
PINダイオードスイッチを作りました。
ダイオードスイッチというのは、ダイオードを使った高周波スイッチです。
ダイオードは電流が流れている間はONで、電流が流れないとOFFするので、高周波信号に直流を重畳してON/OFFするというしくみです。
PINダイオードというのは、PとNの間に絶縁体のI層を挟んだもので、寄生するコンデンサ成分が小さくなります。
試してみたところ、3GHzではよい感じでON/OFFできていました。
しかし、ONやOFFする瞬間の波形がビヨンビヨンと跳ねるので、これは制御電圧が反射などによって波打っているからなのだろうと思われます。
使用したダイオードはMACOM社のMADP-000402-12530Pで、18GHzまで使えるはずなのですが、8GHzくらいからOFFしてもOFFにならないという問題が生じるようになってきました。
PINダイオードはOFFの容量が小さいといえども、0.05pFあるのです。
1pF@1GHzは160jΩですから、1pFの容量は16GHzで10jΩになります。
0.05pFは200jΩになります。50Ωに対する200Ωですから、OFFしていてもそれなりに漏れてしまうことが分かります。
物の本によれば「LC共振回路で阻止する」とのことです。
0.05pFに対して2nHを横に付ければ16GHzで半共振するので阻止できるというわけです。今度やってみることにします。
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