所得税と社会保険料の計算
年収○万円の壁とか五公五民などと言われていますが、社会保険料も高いですよね。。。
で、年収1億のときにどのくらい税金で取られるかって即答できますか?
そんな計算をするプログラムをPythonの練習もかねて作ってみました。
まずは、給与所得100万円から1億円までの所得税や社会保険料をグラフにしてみます。
税と社会保険のしくみを簡単に言うと、
① 給与の金額に応じて社会保険料が決まる
② 給与から、基礎控除と給与所得控除と社会保険料と配偶者控除などを引いた金額を所得とする
③ 所得に応じて所得税の累進課税の税率が決まる
④ 所得の10%が住民税となる
となっています。
住民税の計算に使う所得と所得税の計算に使う所得は少し異なりますが、だいたい同じです。
さて、年収1億の場合、約51%が税金となります。所得税率は45%、住民税は10%、そのほかに社会保険も撮られますが、給与所得控除があるためトータル51%となっています。ここまで年収が高ければ社保なんてゴミのようです。
さて、年収2000万円までを詳しくみてみましょう。
青い線が社会保険料ですが、階段状になっているのが分かります。
社会保険料は等級(ランク)というのがあって、同一ランク内では定額だからです。そのため、ランクが上がると急に社会保険料が高くなったような感じになります。また、月給で140万円以上になるとランクがカンストするのでそれ以上は増えません。社保を節税するなら月給を140万円以上にするとよいです。
次に手取り額を見ていきましょう。
下の図は年収1000万円から2000万円までの手取り額をグラフ化したものです。1000万円のときは281万円ほどが差し引かれ、2000万円のときは713万円が差し引かれているのがわかります。
年収1000万円から2000万円の間では税負担は28~35%、おおよそ30%といえるでしょう。
次に、税率を詳しく見てみましょう。
ここで、税率だけ考えても苦しさの本質は見えてこないので「増分」というのを考えてみます。
増分とは私が勝手に定義した用語ですが、収入が1万円増えたときに税負担がどれだけ増えるかというのを%で表したものです。
式で表すと、
増分(%)=税(収入+Δ収入)÷Δ収入
です。
例えば、収入が1万円増えたときに税負担が4200円増えたら、増分は42%です。
青い線がトータルの税率で、オレンジの線がその増分です。
上のグラフを見ると、たくさんのスパイク状のものがあることが分かります。これが壁です。
たくさんの壁は社会保険料のランクアップに起因していますが、左のほうは所得税の控除に関するものもあります。
年収1000万円から2000万円を詳しくみていきます。
いかがでしょうか?
トータルの税負担率に比べて増分のほうが大きくなっています。
税負担率は30%前後ですが、1万円の所得増加に対して42%の税負担が増えるので、稼いでも稼いでもしんどくなるのです。
このゾーンの給与所得者はふるさと納税などをするのがおすすめです。
【割安感のあるゾーン】
逆に、増分が税率より安いゾーン(概ね年収650万円まで)では、収入を増やしても税負担はそれほど増えません。
【重税感のあるゾーン】
増分(オレンジ)の線が税率(青)より上にあると、重税感を感じます。 このしんどいゾーンにいる人は、ふるさと納税をはじめとした各種控除を有効に活用して、節税を行うことが有効です。
これらのことから、
・年収650万円までは、割安に感じる
・年収1050万円以上は重税感を感じる
という原因が、税負担率と増分の乖離によるものではないかと思われます。
なお、シミュレーションプログラムと、全年収での結果表は
https://github.com/Nahitafu/koujo
のページにあります。
シミュレーションプログラムは概ね正しいと思われますが、以下の点で誤差があります。
- 住民税の調整控除が正しくないので2500~5000円ほどの誤差が出る場合がある。
- 収入が少ない場合の住民税の計算はチェックしていない。
- 復興特別消費税の計算は自信がない。
誤差は多くても1万円以内です。
全体的に、課税標準所得などを計算する際の1000円や100円未満を切り捨てる処理に自身がありません。また、 所得税と住民税の基礎控除の違いについてはちょっと端折っています。計算自体には問題がないと思いますが。
配偶者控除や扶養控除、ふるさと納税、政党寄付などがある人や、事業所得や金融所得などがある人は少し変わってきますが、全体的に横にスライドするだけでグラフの傾向に大きな差はありません。
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