2026.03.09

日本人ファーストが留学生を特定類型に追い込む

経済安全保障を勉強していて重大な問題に気が付きました。

日本人ファーストによって「次世代研究者挑戦的研究プログラム」(SPRING)を今後(2027年度以降?)は日本人に限定することになり、留学生が日本政府からの資金援助を得ることが難しくなりました。

そうすると、留学生は出身国政府の奨学金に頼らざるを得なくなり、生活費の25%以上を外国政府に援助される「みなし非居住者」である特定類型②に該当してしまう可能性が高いです。

特定類型②というのは、日本に居住しながら非居住者として監視しなければならない対象です。

SPRINGの停止によって優秀な留学生が海外に流出するということを懸念する声は聞かれますが、出身国政府に頼らざるを得なくなって特定類型②に転落させてしまうというところまで深く論じている人は今までいなかったように思えます。

つまり、

  • 「日本人学生を支援したい(国内政策)」
  • 「機微技術の流出を防ぎたい(安保政策)」
  • 「優秀な留学生を呼び込みたい(国際政策)」

という3つの政策が互いに足を引っ張り合っている状態と言えます。

私が危惧しているのは、

 SPRING等の日本人限定化
   ↓
 自国政府奨学金への依存
   ↓
 外為法「特定類型②」による研究制限

というロジックです。

日本人ファーストによって出身国政府の影響を強めてしまい、皮肉なことに国家安全保障を危うくしてしまうのです。

 

「国内の福祉政策(奨学金)」と「国家安全保障(外為法)」が全く連携せずに動いた結果、理系留学生を実質的に「研究不能」な状態へ追い込んでしまったと言えます。まさに法制度のボタンの掛け違いです。

特定類型②に該当すると、理系の研究のほとんどは(リスト規制にかからない技術であっても2025年10月に改正された外為法では)キャッチオール規制の対象になってしまうので、ほぼすべての研究がストップすることになります。

学術領域は除外されるという規定もありますが、学術として除外されるのは天文学などのように純粋な学術領域であって、新しい化合物の物性を調べたり、半導体やロボットの研究は製品開発の技術と解釈されて除外されない可能性が高いです。特に、半導体、ロボット、電池、医薬品、宇宙は経済安全保障の重要分野です。学術による除外を適用するのは難しいのではないでしょうか。

このままだと、留学生の扱いがグレーゾーンで運用されることになり、特定類型②に該当するかどうかは本人の自己申告を元に判断されており、万が一の責任は大学や現場の教員に押し付けられます。

 

日本人を手厚くすることと外国人を切ることを直結させてしまった弊害と言えます。

この問題を解決するには、

  • 優秀な留学生に対しては日本政府から奨学金を出す
  • 留学生に限定して特定類型②の判断に除外を設ける
  • 企業が留学生を雇いやすくするよう、週28時間労働の規制緩和

といった政策が必要ではないかと思います。

日本の国家予算から言えば100億円はわずかです。年100億円の投資で将来的な親日家を増やせるのだから、ここは削減してはいけなかったと感じています。

 

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2026.03.07

未踏会議2026に出展しました

未踏会議2026に、半導体真贋判定装置「シン・IC」を出展しました。

多くの皆様のご来場ありがとうございました

流通市場のトレンドが、偽物半導体から、中古半導体、そして横流し品に移ってきているのではないかというお話をさせていただきました。

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2026.03.06

安全保障輸出管理実務能力認定試験を受験しました

安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)を受験しました。

CBTという方式のようで、自分の会社内のコンピュータでオンライン受験するものでした。最初、部屋の中に不審なものがないように確認するのかと思い、空っぽの部屋を借りて、そこで受験したのですが、そうではないようでした。

ノートPCのカメラを常時ONにして、目線を監視し、AIが不審な挙動がないかなどを常時見ているようです。どうやって不正監視しているのか気になってしかたがありません。

で、試験の手ごたえは微妙です。

問題文は配布されないので記憶が既に曖昧ですが、「日本からイギリスに輸出する物品で特別一般包括許可を得ていてアフガニスタンを経由することができるか」、みたいな問題が出ます。(特別一般包括許可では経由地も含めて申請するからアフガニスタン経由で特別の許可がそもそも出ているというのはおかしいので記憶違いかもしれません。)

非常に細かい例外や、例外の例外や、例外の例外が適用されない除外、みたいなところを突いてくるいやらしい試験です。

試験に受かることが目的ではなく、輸出管理を体系的に勉強するのが目的だったので、これで良しとしましょう。

 

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2026.03.05

STC Advanced試験のためのまとめ資料

明日のSTC Advancedのためのまとめ資料を作りました。

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テキストと過去問を解いていると、

・キャッチオール規制は中国やタイなどの一般国に対しても武器に使われるかもしれない物を輸出することまで制限していない

・仲介貿易は「ホワイト国でも武器はダメ」「非A国同士の大量破壊兵器はダメ(通常兵器はよい)」

・包括許可は、先進国の警察の治安維持に使う物をそのまま輸出してよい

・包括許可でも、中国の代理店にストック販売するときにはエンドユーザ要確認

とか、地域や目的ごとに異なる例外が聞かれます。

 

で、テキストと過去問をひととおり解けるようにしたところ、この過去問題集は第1回~第5回の試験のものであることに気が付きました。公式問題集は10年くらい前のものだったのです。

それに、公式テキストと公式問題集は2025年10月のキャッチオール規制の改正が反映されていない。今までは中国に対してはキャッチオール規制は緩くて武器に使われると思っていても輸出できていたのに、デュアルユースのことが導入されると武器に使われる可能性のあるものが輸出しづらくなります。16の(1)とか(2)とかいうやつです。

昨年の問題がCISTECで公開されていたので解いてみると、結構ボロボロ。

ん?ネット上にあるCISTECの過去問とその回答は2025年10月改正に対応している!?

まだまだ知識の穴があるようです。

 

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2026.03.04

輸出令別表1の14と15

輸出令別表1には14と15というのあります。それぞれ、その他と機微物品なので、あまり大したものではないだろうと思っていたのですが、大違い!

別表1の14は武器関連だったのです。

もともとワッセナーアレンジメントで武器となっているものが1と14に分かれているので、14は武器です。

15も機微物品といって、一発で戦況を変えるようなものが載っています。

別表1の14は武器として、15は武器に近いものとして扱うようなのです。

そう考えると少額特例が14に使えないとか、15は5万円までと制限されていたり、一般包括許可が使えなかったりする理由もわかってきます。

ワッセナーアレンジメントのSensitiveは各表の告示貨物に、Very Seisitiveは15になるようです。

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2026.03.03

輸出管理は外為法にまかせていてはいけない。自主基準を作るべき。

輸出管理を勉強していて、非常に抜け穴が多いことに気が付きました。

さまざまな抜け穴の存在を感じ、気になって気になって、そのたびに勉強が止まってしまいました。

貨物よりも技術の情報流出が深刻です。

  • 留学生、外国人労働者
  • PCの持ち帰り
  • 記憶や口頭ベースでの技術流出
  • etc

基本的には自己申告ベースの性善説に基づいているので、悪意のある奴が本気で情報を盗もうとしたらひとたまりもありません。

情報が盗まれた場合は取引ではないので、外為法では対処できません。せいぜい不正競争防止法で摘発するくらいですが、情報が流出した時点では流出に気づかないので情報を持って本国に逃げてしまいます。そして、流出に関わった日本人が見せしめに罰せられます。そんなニュースがよくあります。

 

そこで気が付きました。

外為法は、最低限の基準しか決めていないということです。

外為法や該否判定といったルールを守っていればOKなのではなく、法律よりはるかに厳しい基準で自主的に基準を決めて実行するべきだということです。

  • C国には、たとえキャッチオール規制OKな物品であっても輸出しない。
  • C国人留学生は、居住者であっても機微な情報は教えない。
  • 取引先の担当者の名前がC国風であったら警戒する。

法律が許すから良いというのではなく、「この技術や貨物がC国に渡ったらC国の技術発展に貢献してしまわないか」という観点から自主的に輸出や技術提供をストップしていくことが肝心であると思うのです。

あと、恐ろしいのは米国の輸出規制も守らなければならないこと。米国製品を使ったものがヤバイ筋にわたってしまうと、関与した日本人もみな一斉に処罰されます。サプライチェーン全体が連帯責任です。何千万とか億に達する罰金を米国に払わねばなりません。

 

外為法は、大量破壊兵器とか通常兵器といった兵器に関するもので規制するのが目的です。

しかし、我々一般市民にとっては兵器というのは身近な存在ではありません。産業上の優位を保つための技術情報(営業秘密)を守ることが重要です。

例えば、他社がまねできない秘伝の回路とか、FPGAのソースとか、秘密のソフトとかです

 

我々にとって大事なのは、日米欧の技術的優位性を今後も保ち続けることです。

日本のルールよりもはるかに厳しい基準の自主基準を作り、米国規制にも絶対に抵触しないようにしていくことが必要だと感じます。

具体的には、

  • 営業情報の入ったサーバは国内に置く
  • 重要情報は自社内に置く
  • 中国企業との取引はしない
  • 国内の取引でも、名前が中国風なら気を付ける
  • 取引してよい外国企業はグループA国のみとする
  • 輸出する場合は、グループA国でもエンドユーザと用途を要確認
  • 合法な取引であっても、不安を感じたら辞退する
  • 日本の外国ユーザリストだけではなく、米国エンティティリストを要確認
  • 国内の商社に販売する場合も海外に再販されないかどうかエンドユーザを確認する
  • 留学生や外国人は雇用しない
  • アクセス権は従業員ごとに細かく設定する
  • 部下に営業成績を上げるようプレッシャーを与えない
  • 取締役は退職して逃げても刑事上の責任から逃げられないことを周知する
  • リスト規制に該当しない製品(貨物)は、簡単な改造でリスト規制品にならないように設計段階で気を付ける

といった取り組みが必要かなと思います。

 

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2026.03.02

輸出管理は抜け穴ばかり!

STCの勉強をしていて、輸出管理は抜け穴ばかりじゃないかという気がしてきました。

それは、特定類型。

 

技術を提供する相手は、日本人か日本人じゃないかで許可の要不要が決まるのではなく、居住者か非居住者かで決まります。

その抜け道をふさぐために4年くらい前に作られたのが特定類型①~③というものです。

 

特定類型というのは、居住者を非居住者扱いするための制度なのですが、日本に住む日本人であっても、外国政府から依頼されて動く奴とか、外国政府から資金提供されていたりとか、外国企業と契約して勤務している者とかが非居住者となります。

例えば、カーネギーメロン大学の教授を兼務すると非居住者になる可能性があります(日本と外国の法律が競合した場合にどちらを優先させるかの契約が重要)。

外国政府からの資金提供というのは収入の25%という基準はありますが、一部の政治家とかひっかかりそうな気がしないでもないです。例えば街金で大量の借金をして外国政府がその穴埋めをしたとかなると、なかなか証拠がつかめないでしょう。本気でスパイをするなら特定類型なんてすり抜けるでしょう。

 

特定類型も穴だらけですが、外国人なのに居住者となして日本の技術を無制限に得られる人たちがいます。

それは留学生と、日本で働く外国人労働者です。
留学生は6か月日本にいれば居住者になります。
外国人労働者も、日本で雇用されたら即時に居住者になります。

中国人が日本で飲食店でもなんでもいいから企業を作って、そこで中国人を雇用すれば居住者の出来上がりです。
その人たちは国籍によらず、日本の技術情報を合法的に得られます。

恐ろしい手軽さです。

あと、ハニートラップにひかっかってしまった日本人。金銭的利益を得ているわけではないので特定類型にもあてはまりません。

大学等では留学生の受け入れ時に特定類型にあてはまるかどうかのアンケートをすると思うのですが、基本的には自己申告であって、性善説でそれを信じることになっています。深い調査ということはしません。だから、虚偽の申告をしていても誰も見抜けないのです。

それに、留学生が技術情報を持って自分のPCに入れて帰国したら・・・。もう誰も追うことはできません。

一番気を付けなければならないのは、留学生と外気国企業の日本支社であると気づきました。

 

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2026.03.01

少額特例があるから製品の値段を100万円以上にするアイデア

輸出管理の勉強をしています。

昨日勉強した知識では、輸出令には少額特例というのがあって100万円未満だとリスト規制品でも輸出許可が不要になるようです。

高度な科学技術を用いた物は少なくとも100万円以上にした方がリスク回避になるのではないかと思いました。

少額特例を使って抜け穴を作るのではなく、逆に、少額特例を使わせない製品価格ポリシーにするというのは良いのではないかと思うのです。

リスト規制になるような商品を作るとき、最初から定価100万円以上にしておけば、不正な輸出をしようとする商社(輸出者)の関心を惹く可能性が低くなるのではないかということです。

例えば、

・リスト規制品の自社の商品が110万円

・リスト規制品の同スペックのB社の商品が80万円

不正な輸出を企むものはB社のを買います。

自社のを買って別の案件で値引きするからということで100万円以下で出してしまうかもしれませんが、最初に関心を惹くのを避けることができ、不正な輸出に自社が絡んでしまうことを防げるのではないかということです。

もちろん、輸出した責任は輸出者(この場合は商社)がすべて追うので責任はないのですが、自社の製品が不正輸出に関与するというのは気持ちの良いものではありません。だから、あらかじめ不正なことを企てる人の関心を惹かないようにするというわけです。

 

まとめると、高度な新製品を計画するときには機能や顧客価値を充実させ、定価で100万円以上になるようなラインナップにしておくことで、自社の製品が違反に関与するリスクを少しでも回避しておけるのではないかと思った次第です。

 

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