基板設計は楽しい
昨日設計したDAC変換基板を、P板に製造注文する予定です。
P板は祝祭日は営業していないので、今日出図しても明日しても、出来上がってくるボードの納期は変わりません。どうせなら別の基板を面つけして、いろんな基板を一緒に作ることで個々の基板にかかる費用を安くしようと思いました。
そこで、DA変換チップを、ADV7123からAD9753へ変更したボードを新たに設計しました。
上の図のように、構造は昨日の基板とほとんど同じです。
DACのチップだけ変更して、オペアンプの部分やDAを駆動するFPGAの部分などは使いまわしです。
2層基板なので配線が厳しいかと思われましたが、十分にGNDはベタっぽくすることができました。
こんな基板に300MHzもの信号を流して本当に大丈夫かと思われますが、それは作ってみて判断します。
周波数が高くなってくると、いろいろな問題がおきるのですが、特にディジタル回路では以下のような問題が発生します。
1. グラウンドバウンス
2. 電源の電圧降下
3. 信号波形の乱れ
4. 放射ノイズ
これらの問題のうち、1と2は電源のインピーダンスを十分に下げること、2は適切にパスコンを挿入することが効いてきます。基板を4層や6層にして、優秀な電源を使い、コンデンサをベタベタいれれば、それなりに解決できる問題でしょう。
3の信号波形の乱れが起きる原因としては、信号の反射、クロストーク、減衰、インダクタンスやキャパシタンスによる鈍りなどがあります。これが厄介な問題です。
これらの問題のいくつかには、インピーダンスマッチングや、リターンパスの確保などが効いてきます。
特に基板を4層や6層にすると非常に有効です。
なぜならば、電気信号は1本の線の上を伝わっていくのではなく、信号線とGND(など)の間の電界の変化として伝わっていくからです。つまり、多層基板にしてGND層を作れば、信号は表面のパターンとGND層との間の絶縁体の中を電界として伝わっていくことができるからです。
しかし、両面基板ではどうしても信号の裏側を完全なベタGNDにすることができません。そうなると、信号は、近くのGNDのラインとの間に電気力線を張りながら、苦しそうに伝わっていきます。結果として、反射や減衰、干渉などが酷くなります。
今回の基板は両面基板なので信号の通るパスの品質は最悪でしょう。本来ならば150MHzや300MHzのディジタル信号を流すべき環境ではありません。でも、波形の劣化に最も影響してくるのは、信号が走る距離だと考えていますので、なんとかなるかもしれません。
もし駄目なら駄目で、駄目な波形を見てみたいのでやってみることにします。
本当は専門の業者さんに多層で設計をお願いしたいところなのですが、このDAC評価はちょっと急ぎなので、自分で設計してP板.comに2日コースで注文します。
さすがにP板の2日コースは初めてです。
それにしても基板設計は楽しいですね。ついつい時間を忘れてのめりこんでしまいます。
| 固定リンク
コメント
こんにちは。
両面基板で300MHzは凄いチャレンジャーですね。
両面基板でのバス信号だとインピーダンスコントロールも
出来ないと思いますので波形がどうなるか全く予想できないですね。
成果報告楽しみにしています。
投稿: 美田 | 2007.01.09 14:44
コメントありがとうございます。
波形が汚くなっても、反射やクロストークが治まったころにクロックが来れば、上手く動く可能性はあります。信号の距離が2cm程度と短かいので、その可能性に賭けています。
両面基板でどこまでできるかの限界に挑戦です。
投稿: なひたふ | 2007.01.11 03:35