特殊電子回路の決意・RaXinoとRaXino-iの販売を終了します
いままで、特殊電子回路はRX62N/RX63Nの評価ボードとして、
● 究極のRX62Nボード
● RaXino
● RaXino-i
と、3種類のボードを販売してきました。
このうち、RaXinoとRaXino-iの販売を終了することにしました。RaXino-iは発売開始からわずか1ヶ月しかたっていないのですが、このような「安い系のCPU評価ボードの事業撤退」という決断をしました。
というのは、これからはRXマイコン評価ボードを販売するのではなく、良質なライブラリ(ミドルウェア)としてのRXduinoの開発に努めようと思ったからです。今後はライブラリの販売と、いままでお買い上げいただいたお客様へのサポートに注力していきます。
そもそも、この手の安い系の評価ボードは各社が値下げ競争をくりひろげていて、これ以上関わっていても消耗するだけです。「あっちは12$だ」とか、「○○は2400円だから、それに負けないように新しいのを作ろう」とか、そういう会話ばかり聞くようになりました。
RXマイコン系のボードがライバルなんじゃなくて、Cortexとか、NXPとか、Zynqとか、LPC何とかとか、すべてひっくるめて、安い系CPUボードの市場というもの全体が終わった感じがするのです。終わったのは安い系のCPUボードだけじゃなくて、電子回路系の各種の評価ボード市場がすべて終わったのかもしれないという感じさえあります。
自分もその流れに加担してしまった感じはあるので、後悔しているのですが、私がやらなくてもだれかがやったでしょう。世の中の流れですから。
次の図は、あくまでも私の主観的なイメージなのですが、CPU評価ボードの価格はこの2、3年で大きく下がりました。統計的に解析する方法はあるにはあるのですが、データをあつめるのが面倒なので、あくまでも主観です。でも、そんなに外れていないと思います。
かつて、2~3万円はしたはずの評価ボードが、いまや2~3千円台です。この1~2年くらいで何とかduinoと称するボードがたくさん出たし、その互換機もたくさん出ています。ETの会場で500円で売られていた評価ボードもあります。
こういったボードを趣味の人だけではなく企業で仕事で使っていらっしゃる方も多いのです。つまり、安かろう悪かろうではなく、安くてそこそこ質もよいものが数千円で出るようになってきた。そうなると、他社との差異を出すために、「基板の色を変えました」とか、「○○センサをつけました」とか「USBで書き込みできる」とか、そういう差異しか生じなくなってしまいます。他社製品の価格を念頭において、同じような価格で少しでもメリットを出そうという発想になります。
細かな差異はあるにせよ、おおまかな「価格帯」という枠内での機能追加なので、結局のところ価格競争であることには変わりありません。結局、世界でグローバルに戦っているわけですから、中国や東南アジアの人件費に勝てるわけないですよね。
これから先、「安い系CPU評価ボード」という市場がどうなるか。私なりの予測を立ててみると、
- どこのメーカーもすでに原価ぎりぎりでやっていてほとんど利益は出ていない。
- ローエンド・ミドルレンジの組み込みCPUという市場が、すでに性能的にも機能的にも成熟していて、大幅な機能追加や性能向上などを望まなくても、だいたいのことができるようになってきている。
- したがって、CPUを変えても(同一ベンダでアップグレードしても、他社製品に乗り換えても、)それほどできることに差はなくなっている。
- 利益を出すためにたくさん売るという発想になる。そのためには価格を下げるか、ちょこっとした差異を付けて他社との差異をアピールするようになる。
- しかし、すでに市場にはたくさんのCPUボードが溢れているので、思ったほど売れない。ライバルは、同じCPUを搭載したボードじゃなくて、CPUボード全体だからどうしようもない。
- 作ってしまった在庫を処分し、その損失をカバーするために、新製品を作ろうと企画する。そして1に戻る。
という感じの悪循環がますます進んでいくのではないかと思います。
だから撤退します。
特電は12月7日を以って、RaXinoとRaXino-iの販売を終了します。
さて、突然、RaXinoやRaXino-iを撤退してしまっては、いままでご購入いただいたお客様に申し訳が立ちません。そこで、既にお買い上げいただいたお客様がリピートでご購入いただけるよう何個か生産しておきます。RaXinoに関しては、現在お使いのお客様に限り、しばらくの間の注文を受け付けます。
今後のロードマップについて書きました。詳しくはこちらをご覧ください。
http://rx.tokudenkairo.co.jp/loadmap.html
RaXinoとRaXino-iの新規受注は12月7日の23時59分までです。それ以降はお買い上げいただくことができませんので、ご注意ください。
で、特殊電子回路がこれから何をするかというと、CANとイーサかなぁ・・・
来年はCANの勉強します。
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コメント
こんにちは RaXino。面白いとは思っていましたが、
私が注目したのは、「これから何をするか」という
部分です。
ルネサスもこれからどうなるか、すると
マイコンの寿命って案外短いのかということになり、
長期的にUSBとかイーサとか、そのあたりのソフトを
書いている人にとっては、「またディスコンか」と
いうことで同じ仕事を何度も繰り返さなければなら
ない。ハード屋さんもマイコンがディスコンすると
また一から作らないといけない。機能的には同じ事
をしたいだけなのに。
なので、FPGAを使ったUSBとかイーサとか、私が
利用させてもらっているのはPCI-Expressのコアとか。
そのような再利用可能でディスコンのないものをこれ
からも出していただけると非常にありがたいと感じ
ました。
よろしくお願いします。
投稿: 後藤 | 2012.12.05 11:51
今回のはマイコンのディスコンではなく、評価ボードのディスコンです。
RXマイコン自体は、今後10年、20年と続いていくと思います。H8のようにCPU自体はなくならないでしょう。だから、USBとかイーサとかのプログラムを開発したものは無駄にならないと思います。
ただ、評価ボードとしては、上位互換や後継デバイスが出ると、古いデバイスを使った評価ボードは目新しさがなくなってしまいます。RX63NはRX62Nをほぼ代替できます。次にでるRX700とかRZとかが出たときにどうなるのかはわかりません。
USBやPCI Expressなどの機能をディスコンのないIPコアとしてリリースしていくのはいいですね。特電の2013年戦略ともマッチしていますので、XILINX FPGAを使ってそういう方面に展開していくと思います。
投稿: なひたふ | 2012.12.09 17:15