1000倍の可変ゲインアンプを18bit ADCにつないでみる
AnalogDevicesからAD8253ARMZという可変ゲインアンプが出ています。
AD8253ARMZは、差動入力のインスツルメンテーションアンプで、ゲインはx1、x10、x100、x1000と、プログラマブルです。ゲインの変更はA0とA1という2本のディジタル信号で設定するようになっています。
計測用のADCを作っているので、ゲインはやはり可変であったほうが良いので、このアンプを18bit ADCにつないでみることにしました。
このように秋月のピッチ変換基板を用いて実装し、数cmの配線を引き延ばしてつないでいます。拡大すると、
こんなふうになっています。
さて、さっそくゲインを1000倍(+60dB)にして無信号時の波形を取ってみました。
約50mVの振幅で揺れています。ゲインが1000倍なので、この元の信号は50μVだったはずです。実は、これはスイッチング電源から飛んでくるノイズです。
ゲインを変えて周波数解析してみると、ピークの周波数は40kHzくらいのところにあることがわかります。ゲインを1000倍(+60dB)にしてもそれほど大きなノイズは見えてきません。
ゲインx1のときには50μVくらいのノイズがもともとあって、それは18bit ADCでの約1LSBに相当します。ゲインx1000にすると50mV(1000LSBくらい)くらいと考えるとつじつまがあいます。
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50μVくらいのノイズがもとからあるのでは、1000倍する意味がありません。OPアンプの熱雑音もそれくらいなのですが、あきらかに特定の周波数で来ています。したがって、このノイズを減らす必要があります。
ピッチ変換基板を空中配線でつないでいるのがノイズの原因かもしれないので、電源にOSコンデンサをつないだり指で押さえたりしていたら、
1000倍増幅後のノイズの振幅は15mVくらいまでに減りました。周波数解析をしてみると、40kHzの成分は-83dBくらいにまで減りました。FFT解析しても際立ったピークが見えているわけではなくなりました。
つまり、このスイッチング電源からのノイズはおそらく空間を飛んできているのであって、適当につないだリード線が拾ってしまっているのでしょう。だから基板をしっかり作れば削減可能と思われます。
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AD8253ARMZは大変すばらしいアンプなのですが、4つほど欠点があります。
- ゲイン1では電圧換算ノイズが40nV/√Hzもある。これは18bit ADCの1LSBに相当する。ゲイン10以上では10nV/√Hzと小さいが。
- ひずみ率は-110dBと書かれているが、データシート上のグラフでは-87dBくらいに見える。よくわからない。
- せっかく差動入力なのに、出力はシングルエンド
- 入力バイアス電流はGNDに逃さなければならない。浮かせていてはいけない。
なので、現在採用しているOPA211AIDRのほうがよさそうです。ただ、ゲイン可変というのは魅力的なので、OPA211AIDRとAD8253ARMZを両方のせるのが良いのかもしれません。
- 低ノイズ・低ひずみの測定をしたいなら、OPA211AIDRを使う。
- nVオーダーの測定をしたいならAD8253ARMZで増幅しておく
- 高インピーダンスの差動入力にしたいならAD8253ARMZ
- 低インピーダンスの差動入力でよいならTHS4521
こういったのを選択できるような回路構成が良いのか・・
ただ、18bit ADCの分解能は30μVなので、これをADCボード上で1000倍に増幅して30nVが見えるかというと、それは難しいと思います。nVオーダーを測りたいなら、センサ側であらかじめ増幅しておくべきだと思います。
うーん、悩ましい。
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