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2014.02.01

状態変数型の発振器と18bit ADC

今週の水曜日に、優秀なスタッフが状態変数型の発振器をサクッと作ってくれました。

18bit ADCの特性を見てみたいと思ったときに、市販のDDS型のファンクションジェネレータではひずみが大きいので、正弦波発振器がほしかったのです。

そこで、「トラ技などのバックナンバーを見て作って」と頼んだら、わずか半日で作ってくれました。いつも予想よりも短い時間で作ってくれます。

それを今日、ようやく試してみることができました。

Sinosc

上の写真の左下に映っているのがその発振器です。電池で動きます。

これはトラ技2003年7月号に乗っていた馬場清太郎さんの記事の回路を作ったものです。馬場さんの記事ではNJM4580だったので、周波数が1kHzで設計されていました。

今回は20kHzで発振させたかったので、周波数特性がよさそうで秋月で売っていたLME49860を選び、定数も計算しなおして変更したとのことです。

まず、オシロで見た波形。綺麗な正弦波に見えています。

Sinosc_0

ただし振幅が8Vもあります。もともと馬場さんの回路のとおりなのですが、ちょっと大きすぎるので、減らしました。

ADCで取り込んだ波形がこちら。

Sinosc_1

2.4Vくらいに減っています。そして、これをFFTすると・・

Sinosc_2_2

なんと、基本波の-26dBに対して3次高調波は-123dB。5次高調波も-123dB!!

97dBも下がっています。-97dBcということなのでしょう。

馬場さんの記事では『8VRMS出力時のひずみ率は0.0005%です。』ってさらっと書いてあるので、理想的には-100dBというわけです。無調整でそれに近い値が出ているのはすごいと思います。FETの最適な動作点を探したり、コンデンサやOPアンプを取り換えていけば達成できるかもしれません。馬場さんの回路すごい。

で、この0.0005%という値がどこから出てきたのかということなのですが、NJM4580のデータシートには1kHzでのひずみ率が0.0005%というグラフが描かれているので、おそらくその値なのでしょう。

ひずみが、発振器によるものなのか、ADCボード上のプリアンプなのかを切り分けるのが大変です。

今回の回路で発振器に使ったLME49860のひずみ率は0.00003%。なんと-130dBcです。

ADCボードにはOPA211とTHS4521という2つのOPアンプが乗っています。OPA211のひずみ率は、負荷が軽ければ-130dBくらいです。だから無視してよい。THS4521の3次ひずみは、20kHzでの規定は書かれていませんが、おそらく-110dBcくらいだと思います。

だから、得られた-97dBcという性能が、発振回路の問題なのか、THS4521によるひずみなのかはわかりまりません。

ちなみに、発振器を外した状態ではこんな感じなので、同軸ケーブル等が特にノイズは拾っているということはなさそうです。

Sinosc_3

オーディオマニアの人が低ひずみの発振器をこだわって自作する気分が少しだけわかりました。

P.S. あらためて2003年7月のトラ技を読み返してみると、昔のトラ技はめちゃくちゃ面白い。今のも面白いけど。

P.S.2 OPアンプの出力にLPFを入れてからADCボードにつないだりすると、逆にひずみが増えた。軽い負荷で動かすのが良いみたいだ。

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コメント

ひずみ率計で得られたアンプ単体のTHDは、ループバックしたものを A、アンプを通したものをBとしたら、(B^2 - A^2)^(1/2)したらよろしいのでしょうか。
それとも単純に B-A でしょうか。

まさかループバックしたものが 0.04%(能力としては 0.0004%だと仮定して)くらいしかないのを 0%として、アンプを通したものをそのまま測定値にしていいはずがないでしょうに。

投稿: たこ | 2024.05.12 20:17

さあ、どうなんでしょうねぇ

投稿: なひたふ | 2024.05.12 23:43

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