PCI Express基板がショートしていた原因
昨年のブログで、作った基板の内層がショートしていたりオープンになっていたという話を書きました。
- ガーバのミスか、内層が全然つながっていない
- なのに、電源入力5VとGNDとか、ありえない箇所がつながっている
という謎の現象でしたが、ようやくこの原因がわかりました。
私はProtel99SEを未だに愛用しているのですが、内層がつながっていないのはこのCADでの面付けのやりかたに問題がありました。
複数の基板を面付けしたときに、内層はメインとなる基板でのネット名でつながるので、つまり、メインとなる基板がAGNDという名前のネットをGNDプレーンに割り当てていて、サブ基板がGNDという名前のネットをGNDプレーンに割り付けていても、コピー&(スペシャル)ペーストしたときに内層への接続が解除されてしまうためです。
つまり、Protel99SEでのコピー&(スペシャル)ペーストは、コピーされた対象のデザインルールが適用されてしまうということでした。
電源がショートしているという件は、
このようにショートしているのですが、これは長穴の作り方に問題がありました。
L1層とL2(GND)層のガーバを見てみると
電源ジャックのVCCの部分はGNDの穴の周りに●の絶縁部分があるので、これだけならショートはしていないはずなのですが、●のサイズを越えて長穴をあけているため、長穴の淵の部分にスルーホールメッキがされて、L2、L3層とショートしてしまったようです。
では、今までの基板では大丈夫だったのかという問題になります。
下の図は別の基板のDCジャックの長穴の部分のGND内層です。3つのドリル穴があるのですが、真ん中のところしか内層がマスクされていません。
これだとショートしてしまうはずですが、過去に作った基板ではショートしていませんでした。
なぜかというと、P板.comの工場の人がデザイン・ルール・チェックで問題を見つけてくれて、修正をしてくれたからだそうです。ガーバ通りに作るとショートしてしまっていたそうです。
この基板は長穴の端の部分と真ん中の3か所に穴をあけたので、製造の人が気付いてくれたのかもしれません。失敗した基板のほうは真ん中だけにしか穴をあけていなかかったので、その微妙な差が明暗を分けたのでしょう。
さらに言えば、Protel99SEでは穴のあるPADを作る場合には、MultiLayerにしないといろいろな問題が生じます。これらの問題の起きた原因は、穴をあけるためのPADの存在するレイヤーがTopLayerになっていたからです。
様々な理由で基板に穴をあけたい場合、下の図のようなMultiLayerのPADにしておけば、内層には自動的にマスクが付くので問題はありません。
しかし、下の図のようなTopLayerの穴ありPADを作ると、内層のマスクが作られないのでショートします。
つまりまとめると、
- Protel99SEで、コピー&(スペシャル)ペーストを使って面付けすると、内層が切れることがある
- 長穴をあける場合は、内層は自分でマスクする。マスクされているかどうかを必ずガーバで確認する
- TopLayerあるいはBottomLayerの穴ありPADは、Protel99SEが自動で内層マスクを作ってくれないので、内層がショートする。
ということです。
この記事が、私と同じくProtel99SEを一生使い続けるつもりの人の何かの役に立てば幸いです。
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コメント
いつも、FPGAについての記事を参考に読ませていただいております。
私もProtel99SEで面付けの失敗をやらかしました。
基板Aでは内層1を+1.8Vネット、基板Bでは内層1を+2.5Vネットとしていました。
基板Aに、基板Bをペーストスペシャルをしたところ、基板Bの+2.5Vが全て未接続になってしまいました。
基板が納品されてから、このミスに気づいたのですが、あまりにショックでした。
面付けにかかった手間、基板製造完了まで1週間楽しみにしていた気持ち、諸々が、このミスに気づいた瞬間に全否定されて、ひどくショックを受けます。
Protel99SEは、ガーバデータの単純なコピー&ペーストではないので、本当に要注意ですね。
チャープレーダのFPGA基板設計とファーム作成に夢中の通りすがりの者の愚痴でした。
投稿: 面付け失敗 | 2019.10.18 11:13