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2016.04.22

ベースライン回復回路

ベースライン回復回路(Base Line Restorer)という回路を作っています。

こういうパルスの高さを計測する場合を考えてみます。

Blr1

0Vからのパルスの高さを図りたいのですが、交流結合していると、ベースラインがシフトしてしまいます。

Blr2

ベースラインがずれると、パルスの高さが減ってしまうわけです。

放射線の信号は不定期に入ってくるので、真の値から少し減った値(しかも毎回異なる)が計測されることになります。

これでは都合が悪いので、ベースライン回復回路というものが間に入ることになります。Knoll本とかによればこういう回路なのですが、

Blr3

このスイッチを入れる条件がどうもわかりませんでした。

先日、市販のBLRハイブリッドICの回路図を見つけ、ようやくわかりました。

出力電圧が負になったときにスイッチをONにし、出力電圧が正の場合にはスイッチをOFFにすればよいのです。単純です。

つまり、出力が正の場合はCRの時定数が大きいのでゆるゆるにすべて通し、出力が負になったらスイッチを閉じてCを急速に充電し、0V付近にとどめるというわけです。

これをFPGA内のディジタル信号処理でやってみました。

Blr4

茶色が入力信号、緑が出力信号です。茶色の信号はTFAの出力で、0.1Vのバイアスが乗っていますが、BLRを通すとバイアスも消えます。

拡大すると、

Blr5

緑の線がちょこっとだけ持ち上がりますが、速やかに0Vに戻っています。

一方、台形波形整形回路の出力にBLRを通した場合は、

Blr6

一見、大丈夫なように見えますが・・・

Blr7


平らな部分でサグが出ています。時定数がある回路なので、正確な波形にはならないです。

今回実装したBLR回路は、絵に描けば、ダイオードを使ったような簡単なものです。

Blr8

ほかにも、いろいろなアルゴリズムがあるようです。この回路はShaperの後ろではなくTFAの後ろに入れるのが正しいのではないかと思います。

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