LCフィルタ設計の設計(4) OPアンプの出力でLCフィルタをドライブする方法
昨日のLCフィルタ回路の特性がよかったので、OPアンプの出力につないでシミュレーションしてみました。
生のLCフィルタと、OPアンプを使った場合の回路図は下の図のような感じです。
ところが、OPアンプを使うと、全然違う特性になったのです。
60MHzまでの透過域での特性がめちゃめちゃ落ちてしまって、周波数特性が大変悪いDACができてしまいます。
直感的には、LCフィルタに入れる信号ソースのインピーダンスが高いとゲインが下がります。ちゃんと計算してみれば反射なども増えているでしょう。
試しに、同じフィルタ(5次チェビシェフ)でソースのインピーダンスが1Ωと10Ωで変えてみると、
インピーダンスがミスマッチしている場合は全体的にゲインが小さく、また、平坦な部分が失われています。
ちょうどOPアンプのときと同じようなゲインの落ち方をしていますね。
逆に、フィルタの特性インピーダンスよりソースのインピーダンスのほうが低いと、ゲインは高く出ます。
- ソースのインピーダンスが低い→ゲインが高いほうにずれる
- ソースのインピーダンスが高い→ゲインが低いほうにずれる
気になって、シミュレーションに使ったTHS4041の出力インピーダンスを調べてみると、
このように高域になるほどインピーダンスが高くなるというグラフが出ていました。
DCでほぼ0、10MHzで3.5Ω、50MHzで9Ωです。
1Ωの特性インピーダンスのフィルタに対して9Ωでドライブするわけですから特性もずれてくるわけです。
それならば、フィルタの左半分を10Ωにスケールアップし、当初のノッチ付きフィルタをOPアンプの出力から0Ωでドライブしてみます。
すると、50MHz以上ではほぼ特性が一致し、50MHz以下の透過域ではピーク(約6dB)が出ました。
つまり、50MHz~150MHzの範囲ではOPアンプの出力がインピーダンス10Ω以上になるのでフィルタの入力インピーダンス(10Ω)とマッチして設計どおりの値になり、それ以上だとOPアンプの出力がインピーダンスが再び上昇するのと、そもそもOPアンプがついてこれなくなるためゲインが設計値より低下すると解釈できます。
50MHz以下のゲインのピーク、特に20MHz前後を抑えるには、OPアンプの出力に5Ω程度の抵抗をいれればよいでしょう。
こうしてインピーダンスを補正したOPアンプドライブのLCフィルタ回路が出来上がりました。
特性は、
です。
少し減衰するのが速くなって50MHzで-6dBダウンしてしまいましたが、ゲインのピークは1dBに収まりました。
このあたりは元のフィルタの等リップル帯域を広くしたり、実際に作れるLCの値で調整したりでなんとかなるでしょう。
これまでの結論をまとめると、
- LCフィルタは、正規化フィルタをスケーリングして作るべき。
- Lに並列にCを入れるとノッチが作れて、遮断特性を急峻にできる(そのかわり阻止域の減衰は小さくなる)。
- バターワースやチェビシェフ、ベッセルなどの近代型フィルタでもこのテクニックは使える。もちろん厳密な特性ではなくなるが。
- バートレッグの定理を使ってインピーダンスを変換すると、扱いやすいインダクタンスになるし、50Ωで終端してもDC成分はほとんど減衰しないDC~RFに対応したDACが作れる。
- OPアンプの出力インピーダンスは周波数とともに変わるので、フィルタの特性も変わる。
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