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2020.08.17

LCフィルタ設計の設計(3) インピーダンス変換

昨日設計した5次チェビシェフフィルタは、特性インピーダンスが1Ωで作られていた。

Lpf9

信号源はOPアンプなので1Ωでもいいのかもしれないが、このまま50Ωの負荷をドライブすると特性に変化が生じてしまう。

Lpf10

フィルタの特性インピーダンスを50Ωにするにはインダクタンスを50倍し、キャパシタンスを50分の1にすればよい。

 

プランとしては3つある。

① OPアンプの出力に49Ωの抵抗を入れて50Ω系にスケーリング

② トランスを使う

③ アッテネータや、ノートン変換、π-T変換を使ってインピーダンスを変換する

 

まず、最初の案のOPアンプの出力に49Ωの抵抗を入れることは避けたい。

Lpf11

なぜならば、OPアンプの出力電圧が半分に減ってしまうからだ。

次にトランスを使う案であるが、巻き数比が1:7のトランスを使ってインピーダンスを49Ωに変換してやれなくもない。

Lpf12

本物のトランスを使うと直流を通さなくなるので、ノートン変換を使って次のように変換したものを考える。

Lpf13

ノートン変換を使うとコイル→トランスという構成がπ型のコイルに置き換えられる。しかし、右側のコイルのインダクタンスが負の値になるし、コイルが増えることはあまり嬉しくない。よって、トランスとノートン変換というテクニックも使えない。

トランスとノートン変換は、主にBPFフィルタを作るときに便利なテクニックなようであって、LPFの場合には使いにくい。

 

今回使えそうなのが、「バートレットの2等分定理」というものである。これは「フィルタが左右対称で、両方のポートのインピーダンスが等しい場合」に使えるそうだ。このような場合、フィルタを真ん中で分割し、その片方のインピーダンスをスケーリングしても特性が変わらないそうだ。

確かに奇数次のLCチェビシェフフィルタは左右対称になっている。

真ん中の7.95nHを2つの3.98nHに分けて、右側だけ50Ω系にしてみよう。

元の回路と変換した回路は下の図のとおり。

 

Lpf14

気になる特性はというと、あらびっくり!

Lpf15

50Ωの負荷をつないだ状態で完璧に一致している!

すごい裏技だ

しかも、1Ωと50Ωだからほとんど減衰していない。50Ω系の負荷をつないでもOPアンプの出力電圧が半分にならない。

マジかよ・・

これでDAC出力用のアンチエイリアシングフィルタの作り方が確立できた。

現実に購入できる5.6nH、2700pF+180pF、200nH、56pF、270nHでシミュレーションしてみたところ、特性にほとんどずれはない。

Lpf16

入力の5.6nH以外はそれほど大きな誤差を与えないようだ。

これなら作れるぞ!

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