コニカルコイル(円錐コイル)
6GHzアンプにバイアスを与える回路の設計でコイルが重要だと思っていたところ、コニカルコイルというのがあるというのを教えてもらいました。
コニカルコイルというのは下の写真の評価ボードに使われているようなコイルで、なんと、40GHzまで使えるとか!
気になったので原理を調べてみました。
コニカルコイルについては下記のEDNの記事が詳しいのですが、
https://www.edn.com/a-look-at-conical-inductors/
コイルを一巻ごとにLC共振回路とコンデンサであるとみなし、この回路を解いています。
記事にはBASICで書かれたシミュレーション用のソースコードが書かれていました。
これをC++で書き直して計算して自分でも計算し、EDNの記事と同じような傾向のグラフを得ることができました。
いろいろパラメータを振って試してみたところ、一番効いているのは、巻くごとにCm(信号線とパワーラインの間の容量)が減っていく係数でした。Ln(一巻のインダクタンス)の減る係数やCn(一巻ごとの浮遊容量)の減る係数はあまり影響がないようです。
わかってきたことは、
コイルを等間隔で巻いていくと、一巻ごとにLCの共振回路を形成してしまうので特定の周波数で自己共振を起こしてしまいますが、何回も巻かれていればその周波数でより強く共振を起こしてしまいます。
円錐コイルは、一巻ごとの半径が変わっていくので特定の周波数での共振を起こさず全周波数領域に分散されます。
また、コニカルコイルの周波数特性が良い、逆に通常のコイルの特性が悪いのは、Cm、つまり巻き線ごとに電源ラインやGNDへ接近して発生する浮遊容量が原因と思われます。コニカルコイルは巻ごとにパワーラインから遠ざかっていくのでCmがどんどん減っていき、高周波側の端ではCmが極めて小さくなります。
こういった理由で最高40GHzという驚異的な周波数帯域と1uH以上という大きなインダクタンスを実現できるのだと思われます。
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