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2025.08.23

なひたふ技術と経営講座 ~第2回~ 年商の壁

さて、今夜は電気電子業界で起業する人向けに、技術と経営のことについて書いていこうと思います。前回「役員報酬は月収100万円以上」にしてくださいと書きました。どうやったら月収100万円以上の役員報酬を稼げるかということについて少しずつ書いていこうと思います。

まず、年商(年収じゃないよ。年の売上)が1000万円までと、5000万くらいと、1億以上では会社の戦略が変わってきます。例えば「効率化」とかを考えるのは1億超えてからで良いです。年商1億まではとにかく売上を増やすことを考えてください。

1000万年未満の会社を「夢の会社」と呼ぶことにします。夢を抱いて起業した段階です。この段階を抜け出せないと、夢のまま終わってしまいます。逆に次に1億以上の会社。これは組織として会社を再構築していかなければなりません。1000万円から1億の間はさらに細分化できます。
まず、年商1000万というのは月の売上に直すと80万円強です。受託開発メインの会社であれば、毎月コンスタントな受注があれば難しくないでしょう。


自社製品を開発して販売する会社や、他社から仕入れて小売りする会社であれば、1万円未満の製品を売っていては永遠に到達できないでしょう。10万円以上の製品が月に10個程度売れなければなりません。


ところで、一般的に、物が売れる価格には、10万円、20万円、30万円、100万円・・という壁があります。物やサービスを必要としているのは現場のエンジニアですが、それを決定するのは上司なので、その判断が入る壁が10,20,30,100万円にあるからです。

その理由の一つは固定資産になるかどうかです。10万円未満は消耗品なので買う側としても買いやすいのです。一括償却資産という制度があるので、20万円と30万円にも壁があります。これらの価格を超えると発注先企業のエンジニアは上司を説得するという手間が発生します。

100万の上には、官公庁などでは入札になってしまうかどうかの壁というのもあって、300万円、1000万円などがあります。1,2,3,5,10で階段状に難易度が上がっていくので、その少し手前に価格を設定するのもよいでしょう。

年商1000万円を超えるには月に100万円の売上(売れない月もあるから)が必要になりますが、1万円の商品を100個売るのか、100万円の商品を1個売るのかで、苦労が全然違います。

1万円の商品を100個売るとなると、販売の人が必要になるし、Excelでは管理しきれなくなります。帳簿も大変なことになるでしょう。100個も売れば顧客からのクレームも発生するでしょう。幸せな感じではありません。

それに対して、100万円の商品を買う人は、製品の機能や仕様を綿密に打ち合わせて納得してから買います。トラブルも少なく、広告や事後サポートにかけられる時間も多くなります。


小さい会社を起業した人は、できるだけ高い値段で、商品を少量販売することを考えてみてください。

請負の場合は確実に少なくとも100万円近くの売上を上げられますが、断られると心理的ダメージを受けます。心理的ダメージは少しずつ確実に社長の心を蝕みます。

仕様や内容を綿密に打ち合わせて、交渉の最後で価格を提示して「検討します」と言われてそのまま「見送りになりました」となると、今までかけた時間と知識を返せという怒りがこみ上げます。

請負を断られる心理的ダメージは交渉の後段階になればなるほど高まるので、価格を提示するのは交渉の一番最初の段階にするとよいでしょう。「これこれという仕様なら〇〇万円くらいですが、購入されますか?」と聞いてください。ここで、「検討します」とか言われたらスパっとあきらめましょう。

「いかがですか?」とか「どうでしょうか?」と聞くのではなく「購入されますか?」と聞きましょう。「いかがですか?」とか「どうでしょうか?」の答えは、「検討します」「考えておきます」「へぇ~いいですね」です。購入されますかの答えは、「はい」か「いいえ」です。

「いかがですか?」とか「どうでしょうか?」と聞くのではなく「購入されますか?」と聞きましょう。「いかがですか?」とか「どうでしょうか?」の答えは、「検討します」「考えておきます」「へぇ~いいですね」です。購入されますかの答えは、「はい」か「いいえ」です。

負を断られる心理的ダメージを軽減するには、お客に断れるのではなく、自分から断ることです。「購入されますか」と聞いて「いいえ」と言う人はいません。買う気がなく情報だけが欲しい場合や、買える予算がない人は「検討します」と答えます。そういうお客に対しては、自分からクローズしましょう。

購入する気がない人に対して売り込みをかけるのは、お互いにとって心理的にマイナスです。ですので、交渉の早い段階で購入する気がない or 購入する予算がない人を見つけて、関係が良好なうちにクローズしてください。後で買う気になったり、予算ができたら、顧客のほうからコンタクトをしてきます。

請負っぽい案件の話があったときには、まず、予算の上限の話をしてください。そして、購入する気がないか、予算がないか、上司の許可が得られないかどうかを見極めるのが重要です。受注に至る可能性が低いと思ったら自分から断って別の顧客の案件を探す勇気が必要です。

なお、大学や公的研究機関からの仕事は、科研費などの競争的資金が予算であるのが普通です。科研費の採択金額は発表されているので予算の上限はわかります。その余った金額の範囲内でしか受注はできません。


そんな感じで、年商1000万円を超えるまでは受託開発と自社商品のミックスで事業を進めていくことになると思いますが、収益の柱は受託開発となるでしょう。

受託開発は利益が出せるので飛びつきたくなりますが、自分のためにならないというのも留意しておいてください。受託開発はお客様の企業のためのものであって自分のためのものではないのです。自社の発展には、自社開発の商品がどうしても必要です。

受託開発というのは、自分の労働力をお客様企業のために使ってその対価として人件費を得ているものなので、自分のためにはなりません。でも、お金は入ります。ですから、受託開発で得られた資金を使って自社商品を作るのです。
受託開発というのは、自分の労働力をお客様企業のために使ってその対価として人件費を得ているものなので、自分のためにはなりません。でも、お金は入ります。ですから、受託開発で得られた資金を使って自社商品を作るのです。

受託開発だけやっていればお金は入るので、自社商品は不要と思うかもしれませんが、受託開発と自社商品のミックスで進めていくことは重要です。

なぜなら、受託開発した成果はWebサイトに乗せることができないからです。自社にどんな技術があるのか、どんなことが得意なのかを示すには自社製品を出していくしかありません。

受託開発と高額の商品は非常に近いものがあります。起業した会社が100万円の高額商品や受託開発を売りたいと思っても、よくわからない会社に100万円をポンと出せる会社は多くありません。

100万円の商品がどうやったら売れるかというと、
① 原価がそれなりに高価で、顧客も中身をよくわかっていて、性能に満足できなかったらバラして部品取りできる。売値と原価の差額がベンチャー企業の労働の対価として適正だと判断された場合。要するに使用部品が担保となる。悲しいパターン。

② 希少性が高く、ほかの会社では提供できない物や受託開発する場合。それがなければ顧客の目的が達成できない場合。
電気電子で起業していくなら②を目指していきましょう。労働の対価ではなく、知識や技術の対価として報酬が得られるからです。


いきなり、「100万円で私の商品やサービスを買ってください」と言うのは難しいかもしれません。100万円という階段は高くて一気に越えられません。なので、その間に小さな階段を作ってあげましょう。それが、自社製品の役割です。


買いやすい価格の商品を作って、自社の技術力や知識やサポート力をアピールして顧客からの信頼を得て、そのうえで高額な商品を売ったり受託開発につなげていくのです。

受託開発をメインにすると新規開拓のコスト(時間とお金と精神力)がかかるので、特定の企業への依存度が高まります。人件費はだんだん減ってジリ貧になります。あるとき会社を成長させたい思って高めの見積で出したら、なんでそんなに人件費がかかるのかと発注側企業に詰められたりします。

一方、自社商品だけでやっていこうとすると、1万円程度の安い商品は売っても豊かになれません。100万円の商品を売るのは困難が伴います。


自社商品を宣伝材料かつ階段のステップとして使い、受託開発で稼ぐことができれば、年商1000万円の壁を超えることはできるでしょう。

ちなみに、仕入れて売るだけの小売りでも1000万円を超えられると思うかもしれませんが、顧客は商品の価値をあなたの労働ではなく商品の原価に見出しています。その商売は模倣するのも簡単なので、すぐにライバルが現れて価格競争に陥ってしまします。

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