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2025.08.30

なひたふ技術と経営講座 ~第6回~ 初期費用

8/30

前回は、年商1000万円から3000万円に成長するためには、請負の人件費を高くしなければだめだということを書きました。電気電子エンジニアは希少性が高いのだから自信をもってSES業界の2倍から3倍は人件費をとるべきというのがざっくりした内容でした。→

とは言っても、人件費を高く見積もることは勇気がいることです。小さな会社やフリーランス、個人事業者だと、
「目の前の顧客の給料より高かったら断られるかな・・・」
「高い!!と一喝されないかな・・」
「これが自分の給料になると思われると、高いと言われないかな・・」
とか、→

わけの分からない心配をしてしまうものです。だからといってSES業界の「プログラマは人月50万」という基準で1日2.5万円とかの見積もりを出してしまうと、いつまでたっても豊かになれません。
一人で会社を経営していると自分の給料だけのことしか思い浮かびませんが、もし、従業員がいれば、→

事務や経理や広報の人の分まで稼がなければならないので、自分が欲しい給料の3倍の人件費を見積もらなければならないのです。顧客に個人事業やフリーランスや小さな会社であることがばれていると「本当にそんなに必要なのか?」という顔をされてしまう可能性がありますが、気にしてはいけません。→

「将来雇う人のための給料をいま稼いでいるんだ」という気持ちで強気の見積もりを出していかなければなりません。
・・と、精神論で語っても強気の見積を出すことは気が重いものです。そこで、人月単価以外の方法で見積金額を向上させる合理的な方法を紹介します。→

それはズバリ、【初期費用】です。
例えば、電車の料金って、初乗り料金があって、そこから距離に応じて料金が上がっていきますよね?なぜだと思いますか?(実際には直線的ではなく階段状だしカーブしていますが)

電気やガスや水道も、使った量に応じて高くなりますが、基本料金がかかります。(使用料や契約によって基本料金や傾きは変わりますが)

携帯電話も、プランによっていろいろあると思いますし、最近は上限が定額ですが、一昔前はこんな感じでした。

ざっくりいうと、インフラ整備にお金がかかるものは、初期費用や基本料によって設備投資がされていて、従量制料金の部分がオペレーションの費用なのです。もちろん各事業体ごとに戦略的に料金を決めているので基本料=インフラ整備と完全に一致するわけではありませんが。

 

こういった料金体系を、電気電子の設計業務にも取り入れればよいのです。

ところで、プリント基板の製造や実装を発注したことはありますか?昔はプリント基板を製造すると高い初期費用が取られました。今から20年くらい前に初期費用ゼロと言う業者が出始めて、次第に従量制の部分に初期費用を隠すようになってきましたが、基板製造や実装は設備にお金がかかりますので→

 

製造枚数によらない初期費用として機材購入や整備の代金を捻出しなければならないのです。中国の基板業者は価格破壊なのでこういう常識はあてはまりませんが、日本の実装業者に見積もりを依頼すると、大きい業者は初期費用も高めで小さい業者は安めです。→

 

同じような概念を、電気電子の設計や組み込みソフトウェアの開発の見積もり取り入れてみましょう。
例えば、あなたが組み込みマイコン用の3D表示アプリケーションの作成を得意とする会社を経営しているとします。そして、そのミドルウェアを30万円で販売しているとします。→

そこに「RasPiにセンサをつないで、結果を3Dで表示するアプリ」の開発依頼が来たとします。これは見事に得意分野とマッチングするぞと張り切って仕事をしたくなります。実質的な作業日数は10日くらいかと見積もります。仮に人月単価は5万円としましょうか。(安いと思いますが)

 

そこで、こういう見積もりをしてはダメです。

 

どこの会社に投げても5万円で10日かければ実装できるのであれば50万円でもよいかもしれませんが、このケースでは「組み込みマイコン用の3D表示アプリケーションの作成を得意とする会社」です。→

こういう案件を受託するということは、その会社が今まで培った組み込みマイコン用の3D表示アプリケーションのノウハウや実績があるから、10日でできるわけです。その費用が見積もりに含まれていません。ケースの設定として、その会社はミドルウェアを30万円で販売しているとあります。→

ですので、合理的な見積もりはこうなります。その会社がもともと販売しているミドルウェアとカスタマイズ費を初期費用として計上することで、作業時間とは別に、合理的な見積費用を計上することができるわけです。

フリーランスや零細事業者は工場や設備といった固定資産を持たないかもしれません。でも、あなたがいままでに培ってきた知識やノウハウは紛れもなく知的財産です。それを初期費用という形で正当な対価として請求しやすいように知財ベースの商品を開発していく必要があります。→
もし、「こんな初期費用は払いたくない。5万円×10日だけでやってくれ」と顧客がいうならば、きっぱりとお断りしましょう。初期費用はあなたの過去の努力に対するリスペクトです。それが出ない顧客とは付き合うべきではありません。→

作業時間とは別にベースとなる知識やノウハウを初期費用として乗せることで、適正な利益を出すことができます。機械装置ではなく知識を売りにしてください。私なひたふは、技術士として皆様の知財(特許に限らない)を武器にするためのお手伝いをさせていただきます。

 

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