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2025.08.16

なひたふ技術と経営講座 ~第1回~ 社長の役員報酬

突然ですが、電気電子や組み込みソフト/ハードの設計を行う中小企業、とくに小規模事業者向けに「技術と経営」と題した講座を書いていきたいと思います。

私は技術士として電気電子のコンサルティングを行っており、高い技術を持った零細事業者やフリーランスがもっと報われる社会になってほしいと願っています。

まず第1回目の講座は、みんなが気になる役員報酬について書いていこうと思います。社長の役員報酬をしっかりいただくというのは事業を継続していく上で一番重要なことであるし、すべての価格設定のベースとなるからです。

 

中小企業、特に小規模企業(個人事業含む)を始めるときに社長の役員報酬を控えめに設定するのは絶対に間違いである。

少なくとも月額100万円以上にするべきである。

なぜならば、人件費単価を見積る際に社長の給料が40万円だと1日4万円程度の人日単価しか取れないからだ。

そんなの顧客にはわからないかもしれないと思うかもしれないけど、実は、国の委託事業を行う際には「健保等級ルール」というのがあって、その人が払っている健康保険の等級によって人件費単価が決められてしまうのだ。

役員報酬を100万円以上にしておけば1人日10万円とか15万円といった単価であっても通る可能性が高い。国じゃなく、一般企業への見積もりを書く際にも人日10万円というのが当たり前の感覚になる。稼ぎすぎたらどうしよう?と心配になる人もいるかもしれない→

それは大丈夫だ。会社が赤字になれば法人税を払わなくて済むだけだ。住宅ローンを組みたい場合でも、金融機関は会社の利益と社長の役員報酬を合算して見る。中小企業庁の計算でも付加価値額と言って、利益+人件費+減価償却費で見る。給料を高くしても付加価値額は減らない。→


社長の役員報酬を取りすぎぐらいにとっておかなければならない理由は、会社の経営には波があるからだ。売れないときもある。その時に個人の資金を会社に貸したり増資して乗りきらなければならない。そのための資金をプールしておくためにも役員報酬は絶対に100万円以上にしなければならない。

ただし、注意しなければならないことは、売上と比べて過大な役員報酬をとってはいけないことである。それをやると税務署から過大と判断される。例えば売上1000万円の会社で1000万円の役員報酬を取って会社が赤字なら、過大と見なされる可能性は高い。→

結局のところ、小規模企業(社長1人や個人事業含む)では会社の売上を増やして役員報酬を増やすべきなのである。その方法については長くなるので別のツイートで解説しよう。

さて、世間では一般的にどのくらいの役員報酬なのかという統計を、AIの力を借りて調べてみた。従業員5人以下の製造業では売上高は3000~5000万円で、経常利益は100~300万円、役員報酬は300~600万円というのが一般的だそうだ。→

売業(5名以下)は製造業と比べて少なくて、平均売上高は2000~4000万円。経常利益は30~120万円。役員報酬は200~500万円とのこと。経常利益率は、製造業のほうが小売業より高い。製造業のほうが専門性が高い。小売業は競争が激しいというのが理由である。

製造業の中でも電気電子に絞ってみると、製造業全体よりもわずかに高い。これは電気電子分野の専門性が高く参入障壁となるから、競争が起きにくいためだろう。

さて、中小企業庁の統計に「情報通信業」という分類が出てくる。小規模事業者が実際に何をやっているかというと、
・ソフト/アプリ開発
・Webデザイン/Web作成
・ITコンサル/運用支援/導入支援
・コンテンツ作成
・インターネット広告/マーケティングなど
である。→

従業員5人以下の製造業と情報通信業を並べてみると、わずかに情報通信業のほうが利益率が高いことがわかる。これは「仕入れや棚卸在庫がない」ことによるものだろう。

電気電子分野での小売・製造と、ソフトウェア開発に関して推計を作ってみた。小売より製造、製造よりソフトのほうが利益も人件費も高くなる傾向がある。専門性、競争回避、在庫や仕入れの有無が効いているのだろう。製造しながら小売りしたりソフトも作るような会社はこれらの間になる。

電気電子の分野で小売りをやっている企業は、オリジナル製品を開発するべきだし、ハードウェアを作っている会社はソフトも作るべきだということがわかる。

電気電子の製造業に関して詳しく見ていこう。モジュールを作っている企業の場合、部品原価にどのくらい乗せて製品価格にすればよいかが問題である。この分野の(生産者から見た)問題点は、部品の原価が購入者に推測できてしまうことである。→

したがって、単純なアンプや電源、データシート通りにICをのせた評価基板では原価の1.5~1.8倍くらいが売値となる。利用者に原価が丸見えであるのと、海外からの安い輸入品という競合があるため、この程度の利益しか出せず非常に危うい商売である。→

一方、高性能なCPU/FPGAを乗せたような基板や、高度なノウハウが必要な場合や、ニッチ性が高いものは原価の2.5倍くらいが狙えるとのこと。いや、実際にはそれ以上いけるだろう。小規模な企業であればニッチ性を高め、ソフトも乗せて原価の5倍で売るべきである。


電気電子分野の小売の場合。国内のメーカーから仕入れたり、海外から輸入して販売する際の粗利率は、一般的には10~40%程度である。非常に幅が広いが、基本的には高額な商品や専門性が高い商品ほど利益率は高くなる傾向がある。→

一般的な安価な家電や、アクセサリ類(ケーブル類)の粗利は10~15%程度。高付加価値な産業用機器だと30~40%である。ここでもニッチなものほど利益率が高くなる。小規模事業者ほどニッチを狙わなければならない。


例えば、月に100万円の粗利を出すには、家電やアクセサリ類だと1000万円売らなければならない。炊飯器なら月に30個、USBケーブルなら月に1万個売らなければならない。これは不可能に近い。逆に超ニッチで高額な産業用機器だと月に1個でよい。競合が少なければ十分に達成可能だろう。

「ニッチ、ニッチとはいうけど具体的にどうしたらええねん」と思うかもしれないけど、電気電子で起業しようとする人は、そもそも他の人が持っていない高い専門性と技術力があり、それ自体が競合を遠ざける参入障壁であり、出発段階でニッチ性があるのである。→

私は技術士として、電気電子分野で起業する人の製品や役務の魅力を高め、より高い売上と利益が得られるように支援していきます。電気電子の分野で起業する人はもっと栄えるべきなのです。

 

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コメント

非常にハイレベルな技術者なのに、こういう過剰な忖度をする人は珍しいです。

投稿: | 2026.01.18 00:21

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