技術と経営

2025.08.30

なひたふ技術と経営講座 ~第6回~ 初期費用

8/30

前回は、年商1000万円から3000万円に成長するためには、請負の人件費を高くしなければだめだということを書きました。電気電子エンジニアは希少性が高いのだから自信をもってSES業界の2倍から3倍は人件費をとるべきというのがざっくりした内容でした。→

とは言っても、人件費を高く見積もることは勇気がいることです。小さな会社やフリーランス、個人事業者だと、
「目の前の顧客の給料より高かったら断られるかな・・・」
「高い!!と一喝されないかな・・」
「これが自分の給料になると思われると、高いと言われないかな・・」
とか、→

わけの分からない心配をしてしまうものです。だからといってSES業界の「プログラマは人月50万」という基準で1日2.5万円とかの見積もりを出してしまうと、いつまでたっても豊かになれません。
一人で会社を経営していると自分の給料だけのことしか思い浮かびませんが、もし、従業員がいれば、→

事務や経理や広報の人の分まで稼がなければならないので、自分が欲しい給料の3倍の人件費を見積もらなければならないのです。顧客に個人事業やフリーランスや小さな会社であることがばれていると「本当にそんなに必要なのか?」という顔をされてしまう可能性がありますが、気にしてはいけません。→

「将来雇う人のための給料をいま稼いでいるんだ」という気持ちで強気の見積もりを出していかなければなりません。
・・と、精神論で語っても強気の見積を出すことは気が重いものです。そこで、人月単価以外の方法で見積金額を向上させる合理的な方法を紹介します。→

それはズバリ、【初期費用】です。
例えば、電車の料金って、初乗り料金があって、そこから距離に応じて料金が上がっていきますよね?なぜだと思いますか?(実際には直線的ではなく階段状だしカーブしていますが)

電気やガスや水道も、使った量に応じて高くなりますが、基本料金がかかります。(使用料や契約によって基本料金や傾きは変わりますが)

携帯電話も、プランによっていろいろあると思いますし、最近は上限が定額ですが、一昔前はこんな感じでした。

ざっくりいうと、インフラ整備にお金がかかるものは、初期費用や基本料によって設備投資がされていて、従量制料金の部分がオペレーションの費用なのです。もちろん各事業体ごとに戦略的に料金を決めているので基本料=インフラ整備と完全に一致するわけではありませんが。

 

こういった料金体系を、電気電子の設計業務にも取り入れればよいのです。

ところで、プリント基板の製造や実装を発注したことはありますか?昔はプリント基板を製造すると高い初期費用が取られました。今から20年くらい前に初期費用ゼロと言う業者が出始めて、次第に従量制の部分に初期費用を隠すようになってきましたが、基板製造や実装は設備にお金がかかりますので→

 

製造枚数によらない初期費用として機材購入や整備の代金を捻出しなければならないのです。中国の基板業者は価格破壊なのでこういう常識はあてはまりませんが、日本の実装業者に見積もりを依頼すると、大きい業者は初期費用も高めで小さい業者は安めです。→

 

同じような概念を、電気電子の設計や組み込みソフトウェアの開発の見積もり取り入れてみましょう。
例えば、あなたが組み込みマイコン用の3D表示アプリケーションの作成を得意とする会社を経営しているとします。そして、そのミドルウェアを30万円で販売しているとします。→

そこに「RasPiにセンサをつないで、結果を3Dで表示するアプリ」の開発依頼が来たとします。これは見事に得意分野とマッチングするぞと張り切って仕事をしたくなります。実質的な作業日数は10日くらいかと見積もります。仮に人月単価は5万円としましょうか。(安いと思いますが)

 

そこで、こういう見積もりをしてはダメです。

 

どこの会社に投げても5万円で10日かければ実装できるのであれば50万円でもよいかもしれませんが、このケースでは「組み込みマイコン用の3D表示アプリケーションの作成を得意とする会社」です。→

こういう案件を受託するということは、その会社が今まで培った組み込みマイコン用の3D表示アプリケーションのノウハウや実績があるから、10日でできるわけです。その費用が見積もりに含まれていません。ケースの設定として、その会社はミドルウェアを30万円で販売しているとあります。→

ですので、合理的な見積もりはこうなります。その会社がもともと販売しているミドルウェアとカスタマイズ費を初期費用として計上することで、作業時間とは別に、合理的な見積費用を計上することができるわけです。

フリーランスや零細事業者は工場や設備といった固定資産を持たないかもしれません。でも、あなたがいままでに培ってきた知識やノウハウは紛れもなく知的財産です。それを初期費用という形で正当な対価として請求しやすいように知財ベースの商品を開発していく必要があります。→
もし、「こんな初期費用は払いたくない。5万円×10日だけでやってくれ」と顧客がいうならば、きっぱりとお断りしましょう。初期費用はあなたの過去の努力に対するリスペクトです。それが出ない顧客とは付き合うべきではありません。→

作業時間とは別にベースとなる知識やノウハウを初期費用として乗せることで、適正な利益を出すことができます。機械装置ではなく知識を売りにしてください。私なひたふは、技術士として皆様の知財(特許に限らない)を武器にするためのお手伝いをさせていただきます。

 

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2025.08.29

なひたふ技術と経営講座 ~第5回~ 年商3000万円の壁の正体

前の記事で、年商1000万円の壁を書きましたが、1億までは遠く険しい道です。この間にいろいろな壁があり、もちろん会社の業種や業態にもよるので一概には言えませんが、3000万、5000万のあたりに壁がある気がします。→
今回はまずは3000万円の壁について説明します。ズバリ言うと、年商3000万円の壁を越えることが役員報酬100万円を取れるかどうかの分岐点です。そして、3000万円を越えるためには「技術を安売りしない」ことが肝心です。→

基本的には受託開発で人月単価を何円取れるかということですが、googleで検索したり、AIに聞いたりすると、プログラマーが40~70万円、中級SEが何円で・・みたいな単価が出てきます。→

これを真に受けて電気電子の見積で1か月70万円で・・とかいう見積もりを出すと、月の売上が100万円を超えられないので永久に3000万円の壁が超えられません。→

はっきり言って、電気電子のエンジニアは希少性がめっちゃ高いのです。WebプログラマとかSESの業界は、そこらへんの人を連れてきて1週間ほど研修して現場にぶち込んでいますが、それとは鍛錬している時間が全然違うのです。だって、一般のご家庭にはオシロスコープとか無いでしょ。→

ES業界と電気電子業界で同じ単価基準を用いることが間違っているのです。自信をもってください。電気電子で起業する人は奇特で希少な人材なのです。そう、あなたのことです→

その辺を、発注側も受注側も認識する必要があります。だから電気電子で起業する人は、最低でも「エンジニア 単価」で検索して出てくる基準の2倍の見積もりを出してもいいんじゃないでしょうか?見積もりが通らなければやらなければいいだけのことです。→

もし、見積もりが高くてお客さんからも連絡がなければ、大手には社内で仕事するふりをするために見積を集めるという仕事をする人もいますので、運悪くそれにあたっただけかもしれません。もしくはどこかの誰かが安請負したんだなーと忘れましょう。→

人月単価200万円で材料費入れて10本の請負をすれば、年商3000万円は達成できますよね?年10本は大変だから500万円の仕事を年に6本請けるか、それとも高額商品とのミックスにするかとか、そういう配分は会社ごとに異なると思います。→

見積もりが高いけど、どうしても発注したいので安くしてくれと泣きつかれたら脈はあります。妥協できる点を交渉してください。→

見積2倍キャンペーンが成功するかどうかは、技術をお金に変える
ことができるかどうかがポイントです。「エンジニア 人月単価」
で検索して出てくるような「プログラマ50万円、SE70万円、
PM100万円」というのは、労働時間をお金に変える値段だと思
ってください。→

電気電子で起業する人は技術をお金に変えなければならないので、厳密にいえば人月単価ではないのですが、日本の慣習的に人月単価の形で書かないと受け入れられにくいという面はあります。例えば、労働単価+基本ソフト料金などの形で見積もりを書いて、実質的な人月単価を上げるのです。→

あなたの持っている技術が他社に模倣しにくく安価な代替手段がないこと、即座に提供できることが顧客にとってもメリットであること、顧客が自力開発すると途方もない時間がかかること、そういったことを顧客にわかってもらえれば「時間」ではなく「技術」がお金になります。→

技術をお金に変えられるかどうかが3000万円の壁だと思います。私、なひたふは技術士(電気電子)として、その壁を超えたい人を応援します。

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2025.08.26

なひたふ技術と経営講座 ~第4回~

なひたふ技術と経営講座 ~第4回~
電気電子業界

電気電子業界、特に組み込み業界は斜陽産業です。この先、あまり良いことはないでしょう。消費者から見れば電子回路なんて中国から買えばいいでしょくらいの感覚です。すでにコモディティ化しているのです。→

繁栄した会社を作りたいならこんな業界は避けたほうが無難です。これからは、AIや宇宙です。それから防災減災や高齢化社会×テクノロジーです。そういうことをしていれば国からの補助金も若干、得やすいでしょう。

純粋に電子回路の設計がしたいとか、組み込みのファームウェアが作りたいとか、FPGAが好きとか、そういうのを商売にするのは下りのエスカレータを全力で駆け上がるようなものです。巷のビジネス本には成長する業界を選ぶべしとか書いてありますが、それは正しいことです。

電気電子(組み込み)を選ぶのはそれに真っ向から反します。
そういえば、秋のETという展示会がありますよね。20年くらいがピ
ークでしたでしょうか。→
東日本大震災を経てどんどん出展者が減っていき、そのうちエンベデッドだったのがエッジテックという名前に代わり、いまではAIと密接な関わりをアピールする感じになりました。→

私は25年くらいETを見ていますが、気になるので「2000年以降、電気電子・組み込み業界には大きく成長した会社がない」ということです。2000年以降で、小規模事業者を脱して真の中小企業になった会社(従業員21~300人)の会社ってあります?

組み込みの基板やツールを作っているあんな会社さんや、こんな会社さんって、それなりにたくさんの従業員が展示会に来られていますが、みんな2000年以前の創業ですよね。1980年代に起業した会社はそれなりに大きくなっています。でも、2000年以降は数十人の規模にまで成長した会社がない。→

1980年代~1990年代が電気電子・マイコン応用システム(組み込みの旧称)の花形だったのです。パチンコとか、デジタルカラーコピー機とかカーナビとか、ちょっとした流行り廃りはありましたが、業界全体が衰退期に入っているのであまり良いことがないのです。→

確かにAI関係で増資を一気に募って会社のガワだけ大きくした会社はいっぱいあります。でも、そういうのって消えてくのも早いんです。中小企業らしく堅実に利益の中から自己投資して成長している会社ってそういえば2000年以降ほとんど見ないですよね。→

電気電子・組み込み業界が斜陽なのは間違いないですが、私はこの業界で生きていきます。だって仕方がないじゃないですか。電子回路と組み込みが好きなんだから。そういう奇特な人は読んでください。斜陽でも人一人が食べていくだけの利潤は出ます。

私、なひたふはこの業界で技術を武器に起業したい人を応援します。

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なひたふ 技術と経営講座 ~第3回~ 「ターゲットを明確に定める」

さて、今夜も電気電子業界で起業したい人のために書きます。
なひたふ 技術と経営講座 ~第3回~
「ターゲットを明確に定める」ということ


経営の本を読むと、「ターゲットを明確に定めましょう」とか書いてある本が多いと思いますが、はっきり言いますが、あれは嘘です。嘘というのは言い過ぎかもしれませんが、「ターゲットを明確に定めましょう」としか言えないような本はゴミです。→

まぁ、たしかにターゲットを明確に定めるというのは間違いじゃないんですが、あれはすべてが終わってあとから振り返ったときに思い出していう言葉なのです。→

売上を向上させたくて我武者羅に頑張るときには、最初からターゲットなんて明確に定めずに、いろいろやってみて、そしてうまく行きそうな部分だけを残していくほうがはるかに良いのです。→
売上を向上させたくて我武者羅に頑張るときには、最初からターゲットなんて明確に定めずに、いろいろやってみて、そしてうまく行きそうな部分だけを残していくほうがはるかに良いのです。→

もし、これから経営を始めようとしている人に「ターゲットを明確にしてください」というアドバイスしかできない人がいたら、それは鬼畜です。失敗する方向に導いている悪い人です。全力で逃げてください。→

そもそも、最初から机上や想像でターゲットを定めることなんでできないのです。市場リサーチやSWOT分析をいくらやったって、何が売れるかなんてのは少し動いてみないとわからないものです。→

綺麗なパワーポイントを作ったって、そんなの社内コンペを通過するためのものであって、お客に伝わらないんです。偉い人にはそれがわからんのです

あと、神社仏閣に行って神頼みをするとか風水とか、目に見えない力も大切です。私は実際に数年間、広告を一切止めてみたのですが、神頼みと風水だけで売上を維持できました。でも、そういうことは一般化できないので書けません。→

では現実世界の努力として具体的に何をするかというのは・・・泥臭くて書けないんですね。買ってくれたお客様に感想を聞いて改善するとか、そういう綺麗ごとじゃない。例えば競合戦略なんていうのは相手がいることなので本やブログに書けませんよね。→

そういうのは本人を捕まえて直接話を聞くしかないんです。もちろんお金を払ってコンサルティングを申し込むという方法もありますが、いくらかかるか不明瞭です。→
タダで教えてもらうにはセミナーや展示会とかで本人に直接質問するのがいいのですが、スーツ着ている姿で捕まえたってしゃべってくれません。正しいやり方は、懇親会で飲ませて吐かせるのです。こんなやり方、本には書けないでしょ?→

ところが、出版社が入ってしまうと人は当たり障りのないことしか書けなくなります。だって、昨今は本当のことを書籍に書いたら炎上する世の中です。誰もがYESと言えるようなことしか商業誌には書けないのです。→


たとえ本当のことであっても、その記述が誰かを傷つけたら炎上して謝罪に追い込まれます。だから、本にも雑誌にも本当のことも書けない。出版社も商売ですから。→
事業をやっている人は、人には言えないような泥臭いことや、非科学的なことや、大人の事情で言えないようなこともいっぱいやっているでしょう。→
でも、炎上を恐れて、経営のコツは「ターゲットを明確に定めることだったなぁ」と書くのです。それなら誰も文句は言いませんから。私以外は。
「ターゲットを明確に定める」というのは、他の人も言っているから書いても叩かれることはない、出版する人に便利な安全な経営ノウハウだということです。この言葉に騙されてはいけません。

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2025.08.23

なひたふ技術と経営講座 ~第2回~ 年商の壁

さて、今夜は電気電子業界で起業する人向けに、技術と経営のことについて書いていこうと思います。前回「役員報酬は月収100万円以上」にしてくださいと書きました。どうやったら月収100万円以上の役員報酬を稼げるかということについて少しずつ書いていこうと思います。

まず、年商(年収じゃないよ。年の売上)が1000万円までと、5000万くらいと、1億以上では会社の戦略が変わってきます。例えば「効率化」とかを考えるのは1億超えてからで良いです。年商1億まではとにかく売上を増やすことを考えてください。

1000万年未満の会社を「夢の会社」と呼ぶことにします。夢を抱いて起業した段階です。この段階を抜け出せないと、夢のまま終わってしまいます。逆に次に1億以上の会社。これは組織として会社を再構築していかなければなりません。1000万円から1億の間はさらに細分化できます。
まず、年商1000万というのは月の売上に直すと80万円強です。受託開発メインの会社であれば、毎月コンスタントな受注があれば難しくないでしょう。


自社製品を開発して販売する会社や、他社から仕入れて小売りする会社であれば、1万円未満の製品を売っていては永遠に到達できないでしょう。10万円以上の製品が月に10個程度売れなければなりません。


ところで、一般的に、物が売れる価格には、10万円、20万円、30万円、100万円・・という壁があります。物やサービスを必要としているのは現場のエンジニアですが、それを決定するのは上司なので、その判断が入る壁が10,20,30,100万円にあるからです。

その理由の一つは固定資産になるかどうかです。10万円未満は消耗品なので買う側としても買いやすいのです。一括償却資産という制度があるので、20万円と30万円にも壁があります。これらの価格を超えると発注先企業のエンジニアは上司を説得するという手間が発生します。

100万の上には、官公庁などでは入札になってしまうかどうかの壁というのもあって、300万円、1000万円などがあります。1,2,3,5,10で階段状に難易度が上がっていくので、その少し手前に価格を設定するのもよいでしょう。

年商1000万円を超えるには月に100万円の売上(売れない月もあるから)が必要になりますが、1万円の商品を100個売るのか、100万円の商品を1個売るのかで、苦労が全然違います。

1万円の商品を100個売るとなると、販売の人が必要になるし、Excelでは管理しきれなくなります。帳簿も大変なことになるでしょう。100個も売れば顧客からのクレームも発生するでしょう。幸せな感じではありません。

それに対して、100万円の商品を買う人は、製品の機能や仕様を綿密に打ち合わせて納得してから買います。トラブルも少なく、広告や事後サポートにかけられる時間も多くなります。


小さい会社を起業した人は、できるだけ高い値段で、商品を少量販売することを考えてみてください。

請負の場合は確実に少なくとも100万円近くの売上を上げられますが、断られると心理的ダメージを受けます。心理的ダメージは少しずつ確実に社長の心を蝕みます。

仕様や内容を綿密に打ち合わせて、交渉の最後で価格を提示して「検討します」と言われてそのまま「見送りになりました」となると、今までかけた時間と知識を返せという怒りがこみ上げます。

請負を断られる心理的ダメージは交渉の後段階になればなるほど高まるので、価格を提示するのは交渉の一番最初の段階にするとよいでしょう。「これこれという仕様なら〇〇万円くらいですが、購入されますか?」と聞いてください。ここで、「検討します」とか言われたらスパっとあきらめましょう。

「いかがですか?」とか「どうでしょうか?」と聞くのではなく「購入されますか?」と聞きましょう。「いかがですか?」とか「どうでしょうか?」の答えは、「検討します」「考えておきます」「へぇ~いいですね」です。購入されますかの答えは、「はい」か「いいえ」です。

「いかがですか?」とか「どうでしょうか?」と聞くのではなく「購入されますか?」と聞きましょう。「いかがですか?」とか「どうでしょうか?」の答えは、「検討します」「考えておきます」「へぇ~いいですね」です。購入されますかの答えは、「はい」か「いいえ」です。

負を断られる心理的ダメージを軽減するには、お客に断れるのではなく、自分から断ることです。「購入されますか」と聞いて「いいえ」と言う人はいません。買う気がなく情報だけが欲しい場合や、買える予算がない人は「検討します」と答えます。そういうお客に対しては、自分からクローズしましょう。

購入する気がない人に対して売り込みをかけるのは、お互いにとって心理的にマイナスです。ですので、交渉の早い段階で購入する気がない or 購入する予算がない人を見つけて、関係が良好なうちにクローズしてください。後で買う気になったり、予算ができたら、顧客のほうからコンタクトをしてきます。

請負っぽい案件の話があったときには、まず、予算の上限の話をしてください。そして、購入する気がないか、予算がないか、上司の許可が得られないかどうかを見極めるのが重要です。受注に至る可能性が低いと思ったら自分から断って別の顧客の案件を探す勇気が必要です。

なお、大学や公的研究機関からの仕事は、科研費などの競争的資金が予算であるのが普通です。科研費の採択金額は発表されているので予算の上限はわかります。その余った金額の範囲内でしか受注はできません。


そんな感じで、年商1000万円を超えるまでは受託開発と自社商品のミックスで事業を進めていくことになると思いますが、収益の柱は受託開発となるでしょう。

受託開発は利益が出せるので飛びつきたくなりますが、自分のためにならないというのも留意しておいてください。受託開発はお客様の企業のためのものであって自分のためのものではないのです。自社の発展には、自社開発の商品がどうしても必要です。

受託開発というのは、自分の労働力をお客様企業のために使ってその対価として人件費を得ているものなので、自分のためにはなりません。でも、お金は入ります。ですから、受託開発で得られた資金を使って自社商品を作るのです。
受託開発というのは、自分の労働力をお客様企業のために使ってその対価として人件費を得ているものなので、自分のためにはなりません。でも、お金は入ります。ですから、受託開発で得られた資金を使って自社商品を作るのです。

受託開発だけやっていればお金は入るので、自社商品は不要と思うかもしれませんが、受託開発と自社商品のミックスで進めていくことは重要です。

なぜなら、受託開発した成果はWebサイトに乗せることができないからです。自社にどんな技術があるのか、どんなことが得意なのかを示すには自社製品を出していくしかありません。

受託開発と高額の商品は非常に近いものがあります。起業した会社が100万円の高額商品や受託開発を売りたいと思っても、よくわからない会社に100万円をポンと出せる会社は多くありません。

100万円の商品がどうやったら売れるかというと、
① 原価がそれなりに高価で、顧客も中身をよくわかっていて、性能に満足できなかったらバラして部品取りできる。売値と原価の差額がベンチャー企業の労働の対価として適正だと判断された場合。要するに使用部品が担保となる。悲しいパターン。

② 希少性が高く、ほかの会社では提供できない物や受託開発する場合。それがなければ顧客の目的が達成できない場合。
電気電子で起業していくなら②を目指していきましょう。労働の対価ではなく、知識や技術の対価として報酬が得られるからです。


いきなり、「100万円で私の商品やサービスを買ってください」と言うのは難しいかもしれません。100万円という階段は高くて一気に越えられません。なので、その間に小さな階段を作ってあげましょう。それが、自社製品の役割です。


買いやすい価格の商品を作って、自社の技術力や知識やサポート力をアピールして顧客からの信頼を得て、そのうえで高額な商品を売ったり受託開発につなげていくのです。

受託開発をメインにすると新規開拓のコスト(時間とお金と精神力)がかかるので、特定の企業への依存度が高まります。人件費はだんだん減ってジリ貧になります。あるとき会社を成長させたい思って高めの見積で出したら、なんでそんなに人件費がかかるのかと発注側企業に詰められたりします。

一方、自社商品だけでやっていこうとすると、1万円程度の安い商品は売っても豊かになれません。100万円の商品を売るのは困難が伴います。


自社商品を宣伝材料かつ階段のステップとして使い、受託開発で稼ぐことができれば、年商1000万円の壁を超えることはできるでしょう。

ちなみに、仕入れて売るだけの小売りでも1000万円を超えられると思うかもしれませんが、顧客は商品の価値をあなたの労働ではなく商品の原価に見出しています。その商売は模倣するのも簡単なので、すぐにライバルが現れて価格競争に陥ってしまします。

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2025.08.16

なひたふ技術と経営講座 ~第1回~ 社長の役員報酬

突然ですが、電気電子や組み込みソフト/ハードの設計を行う中小企業、とくに小規模事業者向けに「技術と経営」と題した講座を書いていきたいと思います。

私は技術士として電気電子のコンサルティングを行っており、高い技術を持った零細事業者やフリーランスがもっと報われる社会になってほしいと願っています。

まず第1回目の講座は、みんなが気になる役員報酬について書いていこうと思います。社長の役員報酬をしっかりいただくというのは事業を継続していく上で一番重要なことであるし、すべての価格設定のベースとなるからです。

 

中小企業、特に小規模企業(個人事業含む)を始めるときに社長の役員報酬を控えめに設定するのは絶対に間違いである。

少なくとも月額100万円以上にするべきである。

なぜならば、人件費単価を見積る際に社長の給料が40万円だと1日4万円程度の人日単価しか取れないからだ。

そんなの顧客にはわからないかもしれないと思うかもしれないけど、実は、国の委託事業を行う際には「健保等級ルール」というのがあって、その人が払っている健康保険の等級によって人件費単価が決められてしまうのだ。

役員報酬を100万円以上にしておけば1人日10万円とか15万円といった単価であっても通る可能性が高い。国じゃなく、一般企業への見積もりを書く際にも人日10万円というのが当たり前の感覚になる。稼ぎすぎたらどうしよう?と心配になる人もいるかもしれない→

それは大丈夫だ。会社が赤字になれば法人税を払わなくて済むだけだ。住宅ローンを組みたい場合でも、金融機関は会社の利益と社長の役員報酬を合算して見る。中小企業庁の計算でも付加価値額と言って、利益+人件費+減価償却費で見る。給料を高くしても付加価値額は減らない。→


社長の役員報酬を取りすぎぐらいにとっておかなければならない理由は、会社の経営には波があるからだ。売れないときもある。その時に個人の資金を会社に貸したり増資して乗りきらなければならない。そのための資金をプールしておくためにも役員報酬は絶対に100万円以上にしなければならない。

ただし、注意しなければならないことは、売上と比べて過大な役員報酬をとってはいけないことである。それをやると税務署から過大と判断される。例えば売上1000万円の会社で1000万円の役員報酬を取って会社が赤字なら、過大と見なされる可能性は高い。→

結局のところ、小規模企業(社長1人や個人事業含む)では会社の売上を増やして役員報酬を増やすべきなのである。その方法については長くなるので別のツイートで解説しよう。

さて、世間では一般的にどのくらいの役員報酬なのかという統計を、AIの力を借りて調べてみた。従業員5人以下の製造業では売上高は3000~5000万円で、経常利益は100~300万円、役員報酬は300~600万円というのが一般的だそうだ。→

売業(5名以下)は製造業と比べて少なくて、平均売上高は2000~4000万円。経常利益は30~120万円。役員報酬は200~500万円とのこと。経常利益率は、製造業のほうが小売業より高い。製造業のほうが専門性が高い。小売業は競争が激しいというのが理由である。

製造業の中でも電気電子に絞ってみると、製造業全体よりもわずかに高い。これは電気電子分野の専門性が高く参入障壁となるから、競争が起きにくいためだろう。

さて、中小企業庁の統計に「情報通信業」という分類が出てくる。小規模事業者が実際に何をやっているかというと、
・ソフト/アプリ開発
・Webデザイン/Web作成
・ITコンサル/運用支援/導入支援
・コンテンツ作成
・インターネット広告/マーケティングなど
である。→

従業員5人以下の製造業と情報通信業を並べてみると、わずかに情報通信業のほうが利益率が高いことがわかる。これは「仕入れや棚卸在庫がない」ことによるものだろう。

電気電子分野での小売・製造と、ソフトウェア開発に関して推計を作ってみた。小売より製造、製造よりソフトのほうが利益も人件費も高くなる傾向がある。専門性、競争回避、在庫や仕入れの有無が効いているのだろう。製造しながら小売りしたりソフトも作るような会社はこれらの間になる。

電気電子の分野で小売りをやっている企業は、オリジナル製品を開発するべきだし、ハードウェアを作っている会社はソフトも作るべきだということがわかる。

電気電子の製造業に関して詳しく見ていこう。モジュールを作っている企業の場合、部品原価にどのくらい乗せて製品価格にすればよいかが問題である。この分野の(生産者から見た)問題点は、部品の原価が購入者に推測できてしまうことである。→

したがって、単純なアンプや電源、データシート通りにICをのせた評価基板では原価の1.5~1.8倍くらいが売値となる。利用者に原価が丸見えであるのと、海外からの安い輸入品という競合があるため、この程度の利益しか出せず非常に危うい商売である。→

一方、高性能なCPU/FPGAを乗せたような基板や、高度なノウハウが必要な場合や、ニッチ性が高いものは原価の2.5倍くらいが狙えるとのこと。いや、実際にはそれ以上いけるだろう。小規模な企業であればニッチ性を高め、ソフトも乗せて原価の5倍で売るべきである。


電気電子分野の小売の場合。国内のメーカーから仕入れたり、海外から輸入して販売する際の粗利率は、一般的には10~40%程度である。非常に幅が広いが、基本的には高額な商品や専門性が高い商品ほど利益率は高くなる傾向がある。→

一般的な安価な家電や、アクセサリ類(ケーブル類)の粗利は10~15%程度。高付加価値な産業用機器だと30~40%である。ここでもニッチなものほど利益率が高くなる。小規模事業者ほどニッチを狙わなければならない。


例えば、月に100万円の粗利を出すには、家電やアクセサリ類だと1000万円売らなければならない。炊飯器なら月に30個、USBケーブルなら月に1万個売らなければならない。これは不可能に近い。逆に超ニッチで高額な産業用機器だと月に1個でよい。競合が少なければ十分に達成可能だろう。

「ニッチ、ニッチとはいうけど具体的にどうしたらええねん」と思うかもしれないけど、電気電子で起業しようとする人は、そもそも他の人が持っていない高い専門性と技術力があり、それ自体が競合を遠ざける参入障壁であり、出発段階でニッチ性があるのである。→

私は技術士として、電気電子分野で起業する人の製品や役務の魅力を高め、より高い売上と利益が得られるように支援していきます。電気電子の分野で起業する人はもっと栄えるべきなのです。

 

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2025.06.30

2024年度の決算

2024年度の決算を出し、提出しました。

なんというか赤黒い。

単年度で黒字ではあったけど、コロナ禍で作った大きな欠損金が埋まらないので「繰越欠損状態」から抜け出せていません。

営業利益はプラスだけど減価償却費が大きいからガクっとマイナスになって、そこにドバっと補助金が入って僅かな黒字。

減価償却費って怖いな・・・。

 

そして、次年度(現年度)も減価償却は〇百万円の予定となっている。つまり、通常の営業利益に加えて〇百万円を稼がなければ経常マイナスになってしまうというわけだ。

もし〇百万円を稼げだら、原則課税だからその10分の1が消費税で持っていかれる。

なんちゅーか、固定資産を持つと減価償却が発生して翌年度以降たくさん利益を出さないといけないというデバフがかかるんだな。怖いわ。

八方ふさがりだ。補助金怖い。消費税減税してくれ。

 

私は声を大にして言いたい。補助金は危険だ。減価償却費は数年間足をひっぱる。

終わった後、数年間はB/Sが滅茶苦茶になる。

そういえば今年の中小企業診断士試験って8月2日と3日だったのをすっかり忘れてた。あと1か月しかない。受験に申し込んだけどまだ全く勉強していない。

中小企業診断士になればこういうドタバタな会計をしなくて済むのだろうか。

明日から勉強するべ。

 

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